55 お休み
「お身体は、大丈夫そうですか?レンさん。」
「あぁ、大丈夫大丈夫。この通りじゃ。」
セルベロ達『ベレノ』の襲撃より5日、その情報を聞き入れたケレットがレンの元を訪ねていた。ケレットはセルベロの攻撃で壊れたレンの家の代わりに代わりの家を用意し、そこにレンは身を置いていた。
「大丈夫そうで安心しましたよ。」
「じゃが、魔力の流れがいいとはいえんなぁ。」
「それも次第には治ると思いますよ。」
「そうじゃな。」
「でも、まさかセルベロがあなたに接近してくるとは…。」
「わしも驚いたわい。」
「でもなぜ、あなたの元へ?」
「どうやら、奴らの仲間のなんと言ったかのう……そうじゃ!『ナソ』などという者がやられたようで、それは誰による仕業かと、わしに聞きにきたわ。」
「『ナソ』ですか…。後でネットさんに掛け合ってみます。でもそれならネットさんの元に行けばよかったのでは?」
「ネットは神出鬼没。ツテなしでやつを探すにはいくら時間があっても惜しい。それを探すぐらいなら確実性の高い、わしを訪ねるじゃろうな。」
「それもそうですね。」
2人はお茶を啜った。
「セルベロ。存在は知っておったが、あれほどとはのぉ。」
「強かったですか?」
「強い。実際、奴が最後にわしに毒の抗体を打ち込まなければ、わしはあの場で100%死んでおったわ。」
「………」
「そんな奴が復讐に燃えながら動く。大変なことじゃわい。」
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「では、帰ります。」
「また来い。いつでも暇をしておるぞ〜。」
「失礼します。」
そう言って、ケレットは馬車に乗り帰って行った。
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地獄・トバルカイン魔法学校
「エクサー、長期休みは何するです?」
「特に決めてないや。」
最近の学校は全体的に浮かれ気分だった。それもそのはず長期休みという学生切っての大イベントに足を突っ込もうとしているのだ。
人間の学校に比べて何十倍も自由な学校だったが、それでも長期休みと呼ぶものにテンションが上がるのはどこも共通だった。
「私は久しぶりにうちに帰るです。」
「あぁ、そっか。クーも下宿組か。確かドラギナも。」
「ドラギナもそうです。」
この学校で過ごすにあたり下宿を選択する者は在籍者全体の3割ほどいた。クーとドラギナはその割合に入っていた。ちなみにドラギナは親からの命令で、一足早く家に帰っていた。
「じゃあ、また呼んでよ。家行ってみたいから。」
「是非来るです。」
そう言って2人は左右に分かれた廊下で二手に分かれた。
そしていよいよ、長期休みが始まった。
ーー終ーー
書いたか書いてないか忘れたので書いておきます。
ケレットは、ヴァットと父であるグガットの会社を円満に合併し、そのトップに立っています。一応『〜王』の称号はつくかと思いますが、あれは悪魔たちが勝手に言うものなので、まだないです。まだです。そのうちできると思います。