41 出陣
『ケルベロス』
魔獣族の血統であるF,Dの一種の形態。形態は3つあり、通常時の『人型』、今現在の『獣型』、『人獣型』がある。
「わ゛あぁぁぁぁぁぁーー!!」
風を切って進むF,D。
その背中に乗る、今にも後ろに流されそうなエクサーとそれを何とか阻止するためにエクサーの手を掴むピアノ。
「ちょっと早くないーー?」
「我慢しろ、急ぎだ。」
スピードを落とすどころかどんどん加速して進むF,Dだったが、いきなり山を登り始め、中腹で足を止めた。
「見ろ、あそこがサランカスだ。」
山から見るその先には、いくつかの黒煙の上がっている街があった。さらにそこには、唯一、高いビルが一つ存在していた。
「ピアノ、地形と都市構造は理解しているか?」
「はい。」
と3人の耳にS,Bから『フォン(phone)』で連絡が来た。
「「みんな、大丈夫そう?」」
「あぁ、順調だ。」
「「エクサー、大丈夫?」」
「何とか。」
飛ばされないように耐えたエクサーはすでに疲労困憊。頭の上にひよこがクルクルと回っている始末だった。
「「やっぱり、サランカスが怪しいわね、感染の広がりとその予測を見ても、おおよそサランカスを中心としているわ。」」
「わかった、ほぼ確実と見てサランカスに行く。」
「「そうして、それとフォルテの位置は未だ不明。見つけ次第連絡するわ。」」
フォルテは帰ってこないエクサーを探しにピアノとは逆方向を探しに行ったきり、消息を経っていた。そのため、フォルテ探しも同時進行で行われていた。
「了解。よし、行くぞ。目指すはサランカスのあのビル、ヴァットの元だ。」
「「はい。」」
そう言うとF,Dはサランカスに向けて進んでいった。
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地獄・サランカス
「キリがないです。」
「だな。」
『バブルス』に感染し凶暴化した悪魔たちに襲われているクーとドラギナは徹底抗戦を続けていた。魔力的にも底をつくことはない2人だったが、単純に倒しても倒してもキリがないと言う状況は精神的にも応えるものがあった。
「他に感染してない奴はいないのか?」
「それすらもわかんないです。」
周りの状況を確認したくてもできない状況が続いていた中、遠くから足音が聞こえてくることにクーは気づいた。
「誰か来るです。」
「何!?」
襲いくる悪魔たちの攻撃を防ぎながらクーは音のする方を見ると、大きな『ケルベロス』が見え、そこにエクサーっぽい悪魔が乗っているのが見えた。
「エクサーっぽい悪魔がケルベロスに乗ってきたです。」
「ん?」
「ん?」
2人は顔を見合わせ「本当か?」みたいな顔をした。
ーーーーー
地獄・サランカス
「ついたぞ。」
3人はサランカスについた。
「とりあえず、あのビルの頂上にヴァットがいる。何でもいいから奴を連れ出す。いいな。」
「「はい。」」
「よし、行くz「「フォルテが見つかったわ。」」
S,Bからの連絡が来た。
「どこだ。」
「「4つ隣の街、マネキスよ。でも気をつけて、フォルテもこのウイルスのようなものに感染している可能性が高いわ。」」
「通りで反応がないわけだ。よし、俺が向かう。」
「頼んだわ。」
「エクサー、フォルテ、お前たち2人でヴァットの捕獲に努めろ、俺はフォルテをところに行く。」
「「はい。」」
そう言うと、F,Dは反対方向に向かって走り去っていった。
「エクサー、行きましょう。」
「うん。」
2人は感染した悪魔たちを捌きながらヴァットのいるビルに向かって走っていった。
ーー終ーー