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DeViL 悪魔生転物語  作者: オクラ
 3章 『黒腕』
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 40 感染報告


 地獄・ガルガの丘


 エクサーが目を開けるとハッとして飛び起き、『アレクトーン』に手をかけた。


 エクサーはゆっくり丁寧に魔力を流した。心の中でガルガへの感謝と敬意を示した。そして、丁寧に丁寧に上へと引っ張り始めた。


 すると、ゆっくりゆっくり『アレクトーン』も抜け始め、そしてついに、『アレクトーン』は全容を露わにした。


 『アレクトーン』を抜いたエクサーの感想は相当に軽いということだった。抜く時とは打って変わるほどの軽さに認められたことを実感したエクサーは、試しに剣を振るってみた。


 自分でも驚くほどに剣術が様になっていることを認識した。ガルガとの修行の際には集中していて気づかなかったが思った以上に、自分が実感できるほど、エクサーの剣術は隙がなく成長をしていた。


 「おっほーーー!!」


 ウッキウキで思わず剣を振り回すエクサーの元にピアノがきた。


 「エクサー、ここにいたのですね?」

 「あっ!ピアノ。」

 「心配しましたよ。城に帰らないときは一報入れていただけるよう、次からお願いします。」

 「え?」

 「?」


 エクサーはてっきりまだ気絶した日と同じ日にちだと思っていたが、時は流れてあれから2日が経過していたらしい。

 そこからエクサーはあれから2日経っていることを聞いて、一旦驚き、何があったかを話した。


 「ではこれが、『アレクトーン』なのですね。」

 「そうそう。」

 「何とか抜くことができてよかったです。それでは帰りましょう。」

 「ピアノは何で来たの?」

 「エクサーの捜索がてら散歩ついでに歩いてきました。お姉さまは私と反対方面でエクサーを探しています。」

 「そうなんだ。ごめんね、なんか。」

 「いいんです。帰りは飛んで帰りましょう。その方が早いです。」


 2人は空を飛んで城へと帰っていった。


 ーーーーー


 「ピアノ、ピアノ聞こえるか?」


 クリスト城に向かった空を飛び、順調に帰宅をしていた時、ピアノは誰かから、脳内に直接話しかけられた。


 「はい、旦那様。」


 脳内に直接話しかけてきたのはF,Dだった。

 F,Dの声はどこか緊張感と焦りのようなものを含んでいた。だから、ピアノはそれを汲み取って少しだけ、気を張って話を聞くことにした。


 これは『フォン(Phone)』と言う魔法で、あらかじめ設定していおいた者と者を魔力を介して会話できる魔法。魔力は会話を持ちかけた者のみが消費する。設定人数が多いほど、距離が離れているほど魔力消費が大きい。


 「地獄中にウイルスのようなものが撒かれた。感染者は秒単位で増殖中。症状は凶暴化。体内に『バリア』を貼ることで防げることが判明している。」

 「そうですか。」

 「詳しいことは帰ってきてからだ。早急に城まで帰ってこい。」


 そう言ってF,Dとの会話は終わった。


 ピアノは自分の体内に『バリア』を貼ると、スピードを落とし、エクサーと並走を始めた。


 「エクサー、『バリア』は使えますね?」

 「うん。なんで?」

 「それを体内に薄く貼ることはできますか?」

 「わかんない。やってみるけど…」


 エクサーは、自分の体内に意識をむけ、そこに薄い『バリア』を貼るイメージをして、それを現実にした。


 「できた。」


 エクサーの魔法センスと技術で難なく『バリア』を体内に貼ることができた。


 「さすがです。それでは、スピードを上げます。」


 そう言って2人は猛スピードで城へと向かっていった。


 ーーーーー


 地獄・クリスト城


 「ピアノはまだか?」


 城の中ではS,BとF,Dが帰りを待っていた。

 F,Dは別に怒っているわけでは無かったが、早く帰ってこいと言う気持ちが爆発し、無意識で貧乏ゆすりをして座っていた。


 「ちょっとあなた!それやめてちょうだい。みっともないわよ。」

 「あぁ、すまない。」


 F,DはS,Bに注意されて、申し訳ない顔をして貧乏ゆすりをやめた。


 「今帰りました。」


 そこにピアノとエクサーが帰ってきた。


 「あら、おかえり、エクサーも一緒だったのね。」

 「ごめんなさい、帰ってこなくて。」

 「いいのよ、でも次からはちゃんとね。」

 「でも見てS,B、アレクトーンゲットしたよ。」


 そう言って2人に『アレクトーン』を見せた。


 「よかったわね。」


 S,Bはエクサーの頭を撫でた。


 「だが、そんなことをしている暇も無い。さっさと状況を述べる。」


 こんな状況にF,Dの一言が緊張感を与えた。


 「現在、地獄には正体不明のウイルスのようなものが満映している。感染を防ぐには『バリア』を体内に貼ることで防げるらしいが、一般悪魔にはそんな高等技術はないため感染者は急増。加えて、感染範囲も莫大なものになっているため、発生源は全くの謎。だが、怪しいと踏んでいるのはサランカス。ここの感染者の凶暴性は他に比べて強い。そして、ここにはヴァットと言う悪魔がいる。こいつの動向に気をつけろとネットと言う悪魔に言われて、すぐにこれだ。」


 F,Dはヴァットの写真を見せた。


 「と言うことで、俺たちは根源であろうヴァットを捕まえるべく、サランカスに向かう。ピアノとエクサーと俺はサランカスに向かう。S,Bはここで情報を集め報告。いいな。」

 「わかったわ。」

 「はい。」

 「うん。」

 「それでは、サランカスに向かうぞ。」


 ーーーーー


 4人は城の玄関に出た。


 「じゃあ、3人とも気をつけて。」

 「あぁ、魔法の消費はなるべく抑えて行くぞ。」

 「わかりました。」

 「じゃあ、どうやって行くの?歩いて行くの?」

 「3人とも離れていろ。」


 F,Dは力み始めると、体がみるみるうちに変化し始めた。次第にF,Dの体から黒い毛が生え始め、体は大きくなり、二足から四足歩行になっていった。そして、どこからか発生した黒い霧のようなものがF,Dを包み、F,Dの姿が見えなくなった。その霧の中から、6つの赤き光が現れると、影を晴らし、ワォォォォン!と言う遠吠えが聞こえ、その中から、全身が黒い体毛に覆われた、3つの犬の顔を持つ赤眼の『ケルベロス』が姿を現した。


 「後ろに乗れ。」


 エクサーは、呆然とケルベロスになったF,Dを見た。


 「エクサー、行きますよ。」


 ピアノは呆然としているエクサーの手を掴み、F,Dの背中の上に乗った。

 そして、駆け抜けるようにF,Dは走り出した。


 「いってらしゃ〜い。」


 S,Bは手を振り皆を見送った。


 ーー終ーー


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