30 闘技
地獄・とある町のとあるバー
黄色の柔い電気が店内を照らし、ジャズとタバコの匂いがうっすらと漂っていた。
その店の中で、店主であろう悪魔が、グラスを綺麗に磨いていた。
なんとも落ち着く大人な空間、一見人気がありそうだったが店の中には店主以外おらず、隠れた名店のような立ち位置を思わせた。
そんな店の扉がチリーンと言う小さな鐘の音を鳴らし開き、貴賓とスーツとシルクハットを身に纏った悪魔が店に入ってきた。
「おや、いらっしゃいませ、ヴァットさん。」
この男の名はヴァット。地獄経済において武具を取り扱う悪魔で、地獄経済の中でも重鎮とも言える悪魔だった。
「いつものを頼むよ。」
「はい。」
ヴァットは椅子に腰をかけることなく、何かを店主に注文した。
「申し訳ありません、ヴァットさん。いつものは切らしているようで、代わり用意したいのですが、奥の部屋にある場所に来てもらえますか?」
そう言うと、店主は酒棚の奥にあるレバーを手探りで探し、見つけるとレバーを引いた。すると、店の本棚が動き出し、奥へと続く廊下が現れた。
「こちらへ。」
店主の後についていくようにヴァットはその奥に歩いて行った。2人が入ったことを認識すると、本棚は元に戻って店の中には誰もいなくなった。
ーーーーー
しばらくその廊下を歩いた2人の前に、高級感漂う大きな扉が出てきた。
店主がその扉を開くと、その先には多くのテーブルが置かれ、その中心には広い闘技場のある部屋が現れた。そこにはお金持ちであろう悪魔達が楽しそうに食事を摂っていた。
2人はそのフロアにはいかず、階段を登って、上のフロアに着いた。
このフロアは中央が円形の吹き抜けになっていて、その下を覗くと下を見下ろすことができるVIP階だった。ヴァットはこのフロアのテーブルに腰をかけた。この場所からは、リングがよく見えた。
ヴァットをテーブルに送ると店主は帰って行った。
ヴァットがテーブルに座っていると、1人の女の悪魔が話しかけてきた。
「あら、ヴァットさん。お久しぶり。」
「おぉ、これはバネット。相変わらず綺麗だ。」
バネット。綺麗な短いショートカット。前髪は前の下ぐらいまでの長さをパッツンで切っていて、スラッと高い身長がさらにヒールで盛られている。スレンダーなボディーは体のラインがくっきりとわかるピチピチのドレスを着ていて、妖艶たる存在感を放っていた。
この2人には面識があった。
「ヴァットさんも、今日は来たのですね。」
「あぁ、招待状が来たのでね。」
「今日は奥様はいらっしゃらないので?」
「あぁ、訳あってね。しかし、そろそろ替え時かと思っているよ。収まりが悪くてね。剣のしまえぬ鞘は腰に掛けておく意味がないであろう。」
「まぁ、確かにです。」
2人は上品に笑い合ったのち、バネットは行ってしまった。
それからしばらく、ヴァットがお酒やチーズを嗜んでいると、突如全ての電気が消えた。
皆が少しザワザワしていると、リングの中央にスポットライトが当たり、その中央にマイクを持った悪魔が現れた。
「皆さん、お待たせしました。本日のグガットカップ決勝戦にお越しいただきありがとうございます。それでは決勝を祝して、この場所のオーナーグガット様にお言葉をいただきたいと思います。」
そして、派手な音楽と派手なライトアップが会場に響くと、曲が終わると同時に上から4mはあるであろうツノの生えた悪魔が降ってきた。
この悪魔の名はグガット。地獄に蔓延る9割の薬物を取り仕切る悪魔で、『薬物王』、『ドラッグ王』と呼ばれている。その称号の裏にはグガットの並外れた有能さがあった。
昔、薬物は粗悪で危険性が強かったため、地獄でも御法度として認識されており、そもそも魔法の使えるもの達はそんなものに頼る必要はなく、裏の世界で満映していた。しかし、グガットはそれを改良し、ドーピングに近い立ち位置で確立。地獄の表でも力と支持を得た。このことから、グガットは地獄でも一目置かれる者になった。
そんなグガットも自分の私欲のために男女問わず奴隷をブローカー達から買っていた。しかし、それが表に出ることはなく裏の世界での情報となっており、場所も普通に生きているだけでは知り得ない情報だった。
「オーナー、マイクを。」
1人の悪魔がグガットに悪魔を渡そうとするもグガットはそれを必要ないと一蹴した。
「久しぶりだ、我が友たちよ!!大いに歓迎する。今日は15年ぶりに開かれたグガットカップの決勝戦。記念べき日だ。私もとても楽しみにしている。優勝者には私の奴隷から脱却することを約束している。両者、闘志を燃やして戦う。皆楽しんでいってくれ。」
腹の奥底から出る声、思わず耳を塞ぎたくなる声。
そして、最後にグガットは両手を大きく広げると先よりも一段と大きな声で話した。
「皆の衆。押し付けるようだがもう一度。大いに楽しんでいってくれ!!!!!!!」
そう言うとグガットは、はけて行った。
「では対戦カードを述べさせていただきます。」
司会者の悪魔がマイクを持って話し始めた。
「1人目は、リンド。『黒腕』と言われる青年で、現在99連勝中。この戦いに勝つことで奴隷史上初めての記録100連勝を持って奴隷から脱却することになります。2人目は素性、正体、全てが不明の謎の戦士。グガット様のご意向によりシード権でそのまま決勝までそのまま上がってきました。その謎に包まれた強さやいかに。」
「それでは両者、準備が整ったとのことなので、入場です!」
派手なライトアップからリングの両サイドから両者が出てきた。片方は大きく鋭い目の青年これがリンドで、片方は4mはあるであろう体に黒い布を纏った者だった。
2人はリングに入り、リンドは軽くジャンプをして準備が万端だった。
「あの…布を撮っていただけますか?そろそろ始まりますが。」
司会者の言葉を聞くと、黒い布を上に投げると、中から出てきたのはグガットだった。
意外や意外。会場はは驚きを隠せなかった。
「皆の者。先ほど私は言った。私もとても楽しみにしていると。その真意は私が戦うからだ!」
すると、グガットはリンドの方を見て、リンドに話しかけた。
「私じゃ、嫌かな?リンドよ。」
リンドは顔を横に振った。
「そうか、ならよかった。ならば全力で来い!!!!」
グガットは力強く拳を握り構えをとった。
それに応えるようにリンドも構えをとった。
ーー終ーー
なんか日本語が下手くそすぎて、ここから先、何言ってるかわからないと思います。
ごめんなさい