2 F,D
地獄・???
地獄 悪魔の住まう世界。昼の概念は存在せず夜しかない。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
エクサーはいきなりの高所からの落下。こんな大剣に対処の術など持っているわけもなく、エクサーが顔面からガッツリ着地した。
「いったたたたったたた。」
痛みのあまり顔面を撫でるエクサー。
痛みで発生した涙を手で拭き取り、周囲を見渡すと、ここはどうやら森の中のようだった。
しかも、赤みがかっている。
赤い葉を木々が生やしていると言うことではない。むしろ生えている植物にさほどの変化はない。
あるのは照らされ方だ。
その原因は、空に浮かぶ赤い光を放つ月によるものだった。それが周囲を赤く照らしているのだ。
「おほーーーー!素晴らし〜い。私の目に狂いはなかった。エクサー、君は今日から晴れて悪魔だ。」
エクサーはA2の言っていたことを思い出し、自分の体を調べたが、どこも砂になっている様子はなく、なんとか地獄に入ることができたらしい。そして地獄に入ったということは、自分が人間以外の存在になったということもエクサーは理解した。
「とりあえず、ここは場所が悪い。君の新しい家に行こう。」
A2とエクサーの体がフワッと浮くと、二人は空を飛び始めた。エクサーはまだ浮くという感覚になれず、時折もがいてしてしまう。
「ねぇ、A2。僕はもう魔法使えるの?便利そうだから早く使えるようになりたいんだけど。」
「あーーー。じゃあその説明をしよう。まず魔法を使うには魔力が必要だ。もちろん、その魔力の量には個体それぞれに違いがある。だから戦闘時には自分の魔力量と相談して戦闘を進めていかなくてはダメだよ。でも今見た感じエクサー、君の魔力は0ね。」
エクサーは露骨に元気をなくした。
「でも大丈夫大丈夫。きっと体が追いついていないのさ。次第に魔力がふつふつと生まれてくるはずだよ。魔力が安定したら、魔法は教えるよ。それまでは待機だ。」
なんとかエクサーは元気になった。
「あの白い布はどこにいったの?」
「あぁ、あれは私の魔力で作ったペットみたいなものだ。また必要になったら出すよ。」
「魔法って便利だね。」
数分の飛行後、エクサーは山の上に聳え立つ城を見つけた。
「見えたかい?あれが君の新しい家だよ。名前はクリスト城。」
「すっごーい。」
地獄・クリスト城
二人はゆっくりと城の門の前へと降りた。すると門がゆっくりと開いた。A2の跡をつけるようにエクサーも歩き出す。
門の先は綺麗に手入れされた庭園が広がり、見たことのない花がたくさん植っていた。
すると奥から誰かが歩いてきた。
「おかえりだA2。」
「ただいまF,D。」
「エクサーだな。オレの名はF,O。」
F.Dは低い身長に黒と赤のスーツと睨みつけるような目をしていた。
「初めましてエクサーです。」
「あぁ、中に入ろうか。」
城のドアが開くと、広間が広がっており、奥と両サイドに階段、天井にはシャンデリア。全体の壁やカーペットは赤を中心として統一されている。そして中央の階段の先にはエレベーターが備えられている。
「あれで上に行く。」
三人はエレべーターに向かって歩き、前に着くとチーンという音と共に扉が開いた。
「少し揺れるぞ。」
扉が閉まりエレベーターはなぜかゆっくりと下がっていった。
「ねぇA2なんで下がってるの?」
「今にわかるさ。」
不適で満面の笑みでA2は答えた。
エレベーターはカンという音がすると動きを止めた。そして、白い煙をプシュウーと噴出すると、縮めたバネを離した時のようにものすごい勢いで上へと急上昇した。重力に逆らいものすごい勢いで上がるエレベーター。エクサーは押し潰されるような感覚を受け、意識が飛びそうになっていた。チーンという音が鳴ると、エレベーターは急に動きを止め、エクサーは一瞬フワッと浮き地面に叩きつけられ、エクサーは意識を失った。
「まったく、これから上に行くときはこれに乗るんだから。しっかりしなさいエクサー。」
そう言ってA2はエクサーを持ち上げた。扉が開き、その先には料理を運ぶ二人の背の高い、顔のそっくりなメイドらしき悪魔と背の低い女の悪魔がこちらを見ていた。
ーー終ーー
<キャラ紹介>
F,D
・魔術なし ・自動回復魔法あり
・140cmぐらいの小さい背。ボリュームのある髪を後ろに流している。悪い目つき。黒と裏地が赤いスーツを着ている。
・右の犬歯だけが金歯。(子供の頃、ヤブ歯科医に間違えてこの歯を抜かれたから)
・基本的に無口だが意外と心配性。
・放浪癖のあるA2を叱る役目をいつの間にか担っている。
・過去、気分でA2に話しかけられ『level 666』を共同設立。(ほとんどF,Dがやった)
・血統に特徴あり。
・自家製チーズを作るほどのチーズマニアであり、全地獄チーズ連盟の名誉会員。
・ちなみにチーズ連盟会員に入会すると皆、チーズを販売するが、F,Dの作ったチーズは自己満であるため、商品としては売り出していない。