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DeViL 悪魔生転物語  作者: オクラ
 2章 『天使降臨』
28/207

 26 後悔

 


 ーーー笑み。

 ただの笑みではなくどこか気持ち悪さ、怖さを帯びた笑み。


 「あ””ははははぁ”ぁ”!」


 エクサーのドス黒い笑い声は地獄によく響いた。


 ーーーーー


 クリスト城・裏庭園

 

 「んん!」

 「おいおいマジかよ。」


 A2とF,DとS,Bは3人でティータイム中だった。

 この3人にも、もちろんエクサーの『黒き稲妻』は届いていた。


 「またかよ。おい!またエクサーなのか?A2。」


 F,DがA2に聞いた。


 「十中八九そうだろうね。」

 「スパンが短すぎない?あれからまだ1週間ぽっちよ。」


 S,Bが席を立った。


 「私、2人を見に行ってくるわ。」


 S,Bはピアノとフォルテの様子を見に城に帰って行った。


 「どうなってる?魔石は持たせてないだろ?なんでまた。」

 「考えるに、エクサーがなんらかで意識を失うと、自己防衛の延長線として、魔強化することを前の魔強化でエクサーの体がプログラムしたんだろう。だが、安定性を保った魔強化ならそれでいいがエクサーのは不安定。どうしたものか。」

 「行くか?」


 A2少し考え込んだ。


 ーーーーー


 天界・ミカエル宮


 「ミカエル様!」


 1人の天使がミカエルに勢いよく飛んできた。

 その天使の名はサナエル。ミカエルの世話係の天使だった。


 「よく来ましたサナエル。わかっています。異常事態です。このままでは天界すらもが不安定になりかねません。私は皆の混乱を鎮めます。ウリエル、ラファエルにこう伝えてください。」


 「まさか、」

 「そうです。この私、ミカエルが直々に地獄に向かうと。」

 「わかりました。」


 サナエルは頭を下げ、要件を受けた。


 ーーーーー


 地獄・クメタニア荒野


 「あ”あ”あ”あ”あ”あ”ぁ!!!」


 唸るエクサーに、怯える4人。正直なところ、4人ともこの場から逃げたいと思っていた。ただそれが叶わないこともわかっていた。


 いつエクサーが向かってくるかわかったもんじゃない。猛獣と鉢合わせたような怖さ、下手なことはできない、むやみにも動けない。


 だが、ロルエルは自分が動くためにそれを自力で取っ払い急いで逃げた。

 この状況で逃げられる胆力を持ち合わせているあたり、未来を期待される『イノセント』の片鱗が見えていた。


 ロルエルは羽を羽ばたかせ、上へ逃げていった。


 「お、おい。ロル、やめろ!!」


 ラキエルが汗を流し声をかけたのも束の間、何かが勢いよく上から降ってきた。

 それは、気絶し白目をむいたロルエルだった。


 ギリギリ原型は保ててはいるがほとんどグチャグチャの顔面。一体何に殴られればこんな状態になるのかと思ってしまうほどには落下スピードが早かった。


 ラキエルとサラマエルがロルエルに目を向けているなか、ナドリエルだけは別の方向を見ていた。

 それはエクサーがいたはずの場だった。だがそこにはエクサーの姿はない。


 ナドリエルは考えた。どこに行ったのか。そんなことを考えると一つの嫌な予想が頭に浮かんできた。


 すると上から、エクサーが勢いよく3人の目の前に降ってきた。


 ナドリエルの嫌な予感は的中していた。エクサーは、上へ逃げたロルエルの先に先回りし、勢いよく巨大な右手で下へと撃ち落としていた。


 エクサーは気絶したロルエルの方に顔を向けた。

 白目を剥いた状態で何を見るのかと言った感じだが、なぜかその瞬間だけは野生動物が初めて見るものに興味を持ったような感じでロルエルを見ていた。


 それが終わるとエクサーはゆっくりとラキエルとナドリエルの方を見て笑った。


 その瞬間、ラキエルの怒りが何故か燃えた。


 「この、クソ悪魔ーーーーー!!!」


 腹の底からの怒号だったが、エクサーに届くわけもなかった。


 「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”…」


 エクサーは唸り声を上げるとゆっくりとラキエルに向かって歩いた。。


 「『スターゲイザー』!!!」


 ラキエルが声を上げると、空からエクサー目掛けて光の柱が直撃した。


 『スターゲイザー』。

 天使の使う技で空からターゲットに対して光の柱を当てる技。天使相手でもかなりの高火力だが、悪魔相手にはさらに高火力を与える技だった。


 しかし、そんな光の柱の中から何事もなくエクサーは出てくると、ラキエルとナドリエルの前で止まった。


 ーーー絶望。

 今ラキエルの発動できる最大の火力が、この『スターゲイザー』だった。それがエクサーに毛ほどもダメージが与えられないと分かれば倒す術がこの場で崩壊しことになった。


 死の覚悟。

 ラキエルはナドリエルを抱きしめる力が自然と強くなった。


 この光景を少し遠くから見ていたサラマエルも2人はこの場で殺されると思っていた。

 が、その思いは大きく覆った。


 エクサーはいきなりサラマエルの方を振り返り、瞬間で距離を詰めると、思いっきり振りかぶってサラマエルの顎にアッパーを打ち込んだ。


 ラキエルもナドリエルも誰も思いもしなかった攻撃に驚いていると、エクサーはアッパーで空中に上がったサラマエルにもう一撃を加え、さらに上空へ打ち上げた。


 「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”ぁ”ぁ”!!!!!」


 エクサーは唸り、地面にヒビが入るほど踏ん張った。すると背中から真っ黒な巨大な翼が生えてきた。


 エクサーが生やした翼をその場で数回羽ばたかせると、空中のサラマエルに向かってその場に飛んでいった。


 その頃、空中のサラマエルは今起こったことを少しずつ理解し、まともな意識を取り戻しつつあった。

 とりあえず今の戦況を把握するべくあたりを見回そうとしたが、その目に入ってきたのはエクサーの顔だった。


 血の気が引くのをサラマエルは直に感じた。体温が一気に低くなるのを感じた。


 エクサーは全力でサラマエルをぶん殴ると、サラマエルは遠くに飛んでいった。そしてエクサーはそのスピードに追いつくように羽を羽ばたかせて行った。


 ラキエルはこの状況で一言つぶやいた。


 「なんで攻撃されなかったんだ。」


 それにはナドリエルが答えた。


 「私が考えるに、きっと今ここにいる誰から殺しても状況は変わらなかった。絶対に殺せた。だからそう、えぇっと…」


 ナドリエルが言葉を詰まらせたがラキエルはそれを汲み取った。


 「遊ばれたというわけだ。」

 「それが…一番近い。」


 ラキエルは自分の嘘で何もかもが壊れ始めていることに気づき後悔した。だからこの場にいるナドリエルにだけは伝えようと思った。


 「ナド、実は全部嘘なんだ。ミカエル様はアイツを殺せなんて一言も言ってはいないんだ。」

 「どういうこと?」


 ラキエルは涙をこぼした。


 「あれは僕の嘘なんだ。嘘なんだ、嘘なんだ。アイツの存在に、強さに嫉妬心を持ってしまった僕が勝手にやってしまったんだ。それで、結果としてこんなことに。なぜだ。なぜ何故何故何故何故何故。なぜ僕はこんなことをしたクソ、クソ、クソーーー!!!!」


 涙を流しその場に崩れ落ちたラキエルは拳から血が出るほど地面を殴った。


 そんなラキエルをナドリエルは優しく抱きしめた。


 「落ち着いて、ラキ。落ち着いて。私は、あなたを肯定する気はない。できれば否定したい。でも私にはそれができないらしいの。だって私はあなたが好きだから。仕方がないじゃない。だから、私はあなたを許します。それが天使としての私たちの役目。今ここであなたの犯した罪を過去を、愛を持って正義を持って洗い流します。これはあなただけの責任じゃない。私たち『イノセント』の責任でもあるの。だから抱え込まないで。今あなたがすべきことは、できるだけあの悪魔を止めることよ、見失わないで。愛で行動するの。」


 ラキエルの目には、昔見たミカエルとナドリエルの姿が重なっていた。


 「そうだね、ありがとう、ナド。僕はサラを救うよ。」


 ラキエルの中には長くを共にしたサラとの思い出、『イノセント』としての思い出が巡っていた。


 「私もロルを回復させたらすぐに向かう。”私たち”でサラを救いましょう。」

 「ああ。」


 ラキエルはサラマエルとエクサーの方に飛んでいった。


 ーーーーー


 天界・スペクタ

  スペクタとは天界都心である。天界の中でも元も多くの天使の住む場所。


 「ミカエル様ー!!!!」

 「ミカエル様!」

 「ミカエル様ーー!!」


 ミカエルはここに天使たちの混乱を少しでも抑えるために天使たちの前に顔を見せていた。

 すると、ミカエルのスカートの袖を1人の少女の天使が引っ張った。

 ミカエルはそれに気づいて少し腰を下げた。


 「ここは、大丈夫なの?私すごく怖い、みんなと離れるのは嫌。みんなとまだいたいの。」


 泣きながらに話す少女を見たミカエルは少女を持ち上げた。


 「大丈夫です。大丈夫です。何故なら。」


 ミカエルは顔を大きな声で天使たちに宣言をした。


 「この私、ミカエルが直接、この混乱を鎮めに行くからです!」


 天使たちは数秒間静かになると、皆一応にして涙を流しながら歓声を上げた。


 もちろん少女もそうだった。


 「本当に?本当に、ミカエル様が行ってくれるの?」

 「えぇ、必ずや、混乱を鎮めます。」


 ミカエルは少女を地面に下ろすと言った。


 「帰りなさい、愛する者の元へ。」

 「うん!」


 少女は足早に帰って行った。


 すると、1人の天使が来てミカエルに耳打ちをした。


 それを聞くと、ミカエルはその場から素早く飛び立ちある場所へ向かった。

 ミカエルの耳に入ったのは、この混乱の渦中に『イノセント』いるという事実だった。


 『イノセント』が地獄にいる。つまりその通過点に向かう。


 向かう先はもちろんあの場所だった。


 ーー終ーー


 作中で一番やばいのはエクサーです。どの辺がかというと、エクサーのメンタルです。

 まずエクサーは初めて悪魔を殺したのになんとも思っていないことです。もちろん人間も殺したこともありません。いくら意識がなく記憶がなかったとしても、少しぐらい後悔とか自問自答すると思うんです。「やってしまった。」とか。でもエクサーはそんなこと1mmも思っていません。記憶がないからしょうがないよぇ〜ぐらいのテンション感です。というか自分はやってないぐらいの域まで行ってます。

 怖い。

 エクサーってすごく影響されやすいんです。環境によってコロコロ、スペックが変わります。でもただ影響を受けやすいだけだとメンタル的にキャパオーバーで辛くなりますが、エクサーのキャパってブラックホールなので底なしで吸収して咀嚼することができます。この生き方が生まれながらにできるので、無敵の人、悪魔です。

 エクサーは価値観が膨大なので、エクサーと何かをすると、手札が全て見られた状態でポーカーするようなものなので、手のひらで踊らされている感じになります。それでも嫌われないのはそれに加えて、100%の善意も持ち合わせているからなんですね。

 嫌な奴

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