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DeViL 悪魔生転物語  作者: オクラ
 2章 『天使降臨』
24/207

 22 憤

 ミカエルに召集したラファエルとウリエル。この3人でとり行われた集会、通称『お茶会』その内容はエクサー影響で地獄の監視を強化することだった。それに合意し、ウリエル、ミカエルが帰ってからすぐ、ラキエルという少年の天使が現れた。


 時は戻り、エクサーが魔強化(暴走)する少し前の話。


 天界・エルガ

 エルガとは、天界にある闘技場のこと。


 そこで2人の全身に甲冑をつけた天使は飛び回りながら戦っていた。


 「どうだ!」

 「クッ。」


 一方の放った光の玉が上手いこともう一方に直撃した。

 一方は攻撃を食らってもすぐに立て直し、羽根を羽ばたかせ飛んだ。

 その後ろを追うようにもう1人も飛び、後ろから無数の光の玉を飛ばした。


 無数の光の玉はエルガの建物に被弾。


 その後も光の玉を飛ばし続ける一方にもう一方はイライラが溜まり、上空へ急旋回。そして空中に停止。

 そして、光のオーラを纏い、そのままもう一方に急降下。


 この攻撃にもう一方の天使も甲冑の中で思わず笑って特大の『バリア』を展開。


 衝突。どちらも負けじと攻撃の押し合う。


 火花散る攻防。


 しかし、いい試合をしていると思ったのは、一方だけだった。


 「もういいだろーーー!」


 大声を出した一方は『バリア』を解除。そして、自分を中心として周囲を大きな球体の光で包み、爆発した。


 ーーーーー


 「あっ、目覚ました。」

 「ん?」


 ボロボロ甲冑を着たの天使は目を開けた。その先にはさっきまで戦っていた甲冑を着た天使がいた。


 「ごめ〜〜ん。もうちょっと手加減すればよかったね〜。」

 「痛ったたたたたたた。力になれてよかったです、ラキエルさん。」


 天使は、頭の甲冑を外すと、現れた顔はラキエルだった。


 「いやぁ、咄嗟に思いついたのがあれで。」


 戦いはラキエルの勝ちだった。爆発の中心にいたラキエルは瞬間的に薄いバリアを身に纏いダメージを軽減していた。

 

 バリアを薄くしながら耐久性を上げる。誰にでもできる芸当ではなかった。もし習得するのであれば相当の時間必要とした。しかし、ラキエルはそれをやってのけた。即興で。これは彼が他と比べても並外れた才能を持っているということの証明だった。


 「ラキ、やりすぎ。」

 「いいじゃないの〜。」

 「アハハハ、いいなぁ私もラキとやりたかったなぁ。」


 ラキエルの上から、3人の天使が空から降りてきた。


 1人はベレエ帽子に大きなメガネのナドリエル。

 1人はパンパンのお腹にお菓子の袋を持っているロルエル。

 1人はメスガキを体現した容姿にゴスロリを着ているサラマエル。


 この3人にラキエルを加えて、4人を天界では『イノセント』と呼んだ。このイノセントは天界の若き者の中でも誰も寄せ付けない才能を持つ4人であり、天界の中では超有名だった。特にラキエルはその中でもレベルが違い、ミカエルが認めるほど。いつもヘラヘラしているように見えるが、その奥には確かな実力。さらにその奥には残忍さを持っていた。


 「やぁ、みんな。なんで来たの?」

 「いやぁ、あれだけ大きな攻撃したらわかるよ。」


 ロルエルはお菓子を鷲掴みにして口に放り込みながら言った。


 「ロル、もう少し綺麗に食べて。」


 面倒見のいいナドリエルは他の3人をまとめるような立ち位置だった。そのためよく注意をしていた。


 「ごめんよぉ。」


 その一方でサラマエルはラキエルに負けた天使に話しかけた。


 「ねぇねぇ、なんで負けたの?もしかして弱いの?私とやろうよぉ。ボッコボコにしてあげるからさぁ、ね?いいでしょ?大丈夫。殺しはしないから。肉塊にはなるかもだけど。いいでしょ?どうせ勝てないけどさぁ。やろうよ。いいでしょー。」


 負けた天使は、恐怖した。多分完全な状態の自分でも勝てないと感じた。サラマエルはひどく恐怖した。


 煽りの止まらないサラマエルの肩にナドリエルが手を置いた。


 「サラ、やりすぎ。やめなさい。」

 「はぁーい。また今度やろうねお兄さん☆」


 ラキエルに負けた天使にはこの4人が得体の知れない存在映っていた。彼らは強い、それ故の傲慢さ。強いが故の余裕。どこか見透かされているような、どこか見下されているような。そんな感じがした。


 「私は、帰ります。」


 負けた天使は颯爽と帰っていた。


 「彼名前は?」


 「アハハハハハ、知らないや。」


 ラキエルは戦った天使の名前を知らなかった。正確に言えば忘れてしまったのだった。公園に行ったらたまたま猫がいて撫でる時に猫の名前が必要か、いや必須ではない。その感覚に似ていた。ラキエルにとっては暇つぶしをする際に他の者の名前など必要なかった。


 ラキエルはこれを悪気なくいつものスタンスとしている。生まれながらにして冷酷だった。


 「「「「!!!!」」」」


 その時、4人は同時に背後に ”黒き稲妻” を感じ取った。


 天界に届いた殺意。しかし、4人がこの正体に気づくにはまだ時間がかかった。


 「ナド、これはなんだ!今のはなんだ!」


 突如として殺意に襲われたラキエルは少し混乱を見せ、そのあまり少し強めにナドリエルに問いた。


 「わからない。初めて今の感覚。」

 「とりあえず、噴水に行くぞ。」


 ラキエルは噴水のある方に向かって猛スピードで向かって行った。その後に続くように他の3人も付いて行った。


 ーーーーー


 4人は大きな天使の石像がいくつも彫られた噴水にたどり着くと、ラキエルは噴水の水面を見た。


 その先には、暴走魔強化中のエクサーだった。


 「こいつか。」


 ラキエルは怒りを隠すことができなかった。だが、その怒りはエクサーの殺意には遠く及ばず、この事実がさらにラキエルの怒りを増幅させた。


 「ラキ、落ち着いて。」


 血管が浮かび上がるほどの怒りを上げているラキエル。それもそのはず、ラキエルは天界の中でも最年少で最強ともてはやされてきた。その実力は天使長、大天使クラスにも期待されるほどだった。自他ともに認める最強。この実力の裏には計り知れないプライドがあった。生涯負け知らず、恥知らず。これらに培われたプライドは尋常ではない。そんなプライドが今、破壊されようとしている。それも同じ天使でもなく、イノセントの仲間でもなく、ぽっと出の認識の範囲外の「悪魔」に壊されようとしている。この事実がどれほどの屈辱か。


 ラキエルの怒りは最高潮に達した。


 パンッ


 ナドリエルは右の手のひらでラキエルの頬をビンタした。


 「何するんだ。」


 「落ち着いてと言っているの、私は。これほどの事態、きっとミカエル様や誰かしらが状況を伝えて指示をくれる。私たちはそれを待つの。いい?あなたはイノセントのリーダー。そのあなたが感情に流されてしまっては元も子もないの。だからここは耐えるの。」


 ラキエルの怒りは少しおさまった。


 「そうだな。」


 ラキエルは一呼吸おいて、他の3人に行った。


 「戻るぞ。」


 4人は羽を羽ばたかせどこかに飛んで行った。


 ーーーーー


 それから数時間後。


 天界・ソクラテ


 ミカエル管轄領域にあるイノセント達4人の住む城。その会議室に4人は座っていた。


 「遅い。」


 誰からも指示も報告もこないラキエルは、一度治った怒りが再度息を吹き返そうとしていた。


 この頃、ミカエルたちは ”お茶会” をしていた。


 「ラキ、落ち着いてと言っているの。」

 「そうだよ。ラキ。ナドの言う通りだよ。」


 ナドリエルとロルエルは2人でラキエルをなだめていた。


 しかし、サラマエルはラキエルと同じ気持ちをしていた。「あの得体の知れない奴と戦いたい」と思っていた。


 だが、ナドリエルはここで、どちらにも寄り添わず息を潜めていた。


 サラマエルとて我慢には限界があった。だから、ここでサラマエルは提案をした。


 「ねぇ、ラキ。直接1人でミカエル様のところに行けば?」


 まさかの提案にナドリエルとロルエルは驚愕。ラキエルも少し驚いていた。


 サラマエルはミカエルの前においそれと出向きたくはなかった。だからここで、ミカエルと親交の深いラキエル単身でミカエルに出向かせることで、もしミカエルの逆鱗に触れた時、自分が行くよりリスクは少なると考えた。さらにここで地獄に行くの許可が得られれば、それはそれでラッキーだった。だからこの提案をした。つまりはサラマエルは、自分への被弾少なく、戦いたい気持ちを発散する方法を少し強引に提案していた。


 今ここでの提案。怒りを煮えるラキエルは絶対に賛成するという確信があった。『イノセント』として長くの時間を共にしたが故、ラキエルはサラマエルにいいように使われていた。だが、そんなことをラキエルは思ってもいなかった。


 サラマエルの考え通り、ラキエルは首を縦に振った。


 ラキエルはミカエル宮まで飛んで行った。


 「言っとくけど、私はラキのために言ったんだからね。あのまま怒りを溜めさせたら可哀想じゃない。」


 サラマエルは嘘をついた。8割は自分のためだった。だが、そんなことを口が裂けても言うわけもなく、仲間思いを装った。


 ーーーーー


 ミカエル宮・庭園


 ミカエルの前に現れたラキエル。


 ラキエルは聞いた。


 「あの者はどうするおつもりですか?」


 ミカエルはじっとラキエルの方を見た。


 ーー終ーー


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