1.5 A2
図書館で本を読んでいたエクサー。そこに急に現れた白い布と謎の男。そして男が放つ『ハッピーバースデー』の言葉。いったい誰なんだ。いったいなんなんだこの白い布は。実はただティッシュが風で浮いてるだけなのか。
「ハッピーバースデーーーーーーーーーー!」
男が大きな声で言葉を放った。
「やあやあ、君がエクサーだね。ずっと待ってたんだぁ。君が12歳になる瞬間をねぇ。」
男の話し方はまるで舞台の演者のようだった。踊るように何かを表現するように男は動きながら喋った。
エクサーは混乱していた。
「おーい、もしもーし。大丈夫かい?混乱しているのか。それもそうか。」
混乱しているエクサーの顔の前で男がパンッと手を叩くと、エクサーは我に返ってきた。
「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
三回目の叫びに真っ白な透けた布も男も手で耳を塞いだ。
「そんなに叫ばなくてもいいんじゃないか?」
「だ、だれ。」
エクサーは声を震わせた。
「あぁ、自己紹介を忘れてた。私の名はA2。好きのものは生肉。趣味は読書。今日のファッションポイントは・・・思いつかないな。まぁいい。level 666のリーダーであり、本当はやりたくないんだけど、現地獄随一の最強悪魔だぁ。」
真っ白な透けた布が拍手をする。喋る時、動かなきゃいけない決まりでもあるのかと思ってしまうほど動きながら喋った。
「いやいや、ありがとうありがとう。エクサーこれで少しはわかってくれたかな?」
数秒の静寂があたりに充満した。
「病院教えましょうか?」
「いや必要ない。医者など必要ない。」
「でも頭おかしいですよね?自分のこと悪魔だとか。」
「ひとつ。いきなり今日初めてあった人に頭おかしいとかいうのはやめなさい。ふたつ。君が今見たものを今説明できるかい?本棚をすり抜けるこの白い布。床から現れた男。」
「…」
「そうできないんだ!できないんだよ。なぜならこれらが魔法だからだ。」
そしてA2は右手の手の掌から火の玉を作り出した。
エクサーは瞬きを忘れたように火の玉を見た。
「これは幻ではない。本当に熱があるし、そこの本棚にこれを当てれば燃える。そう、これこそ人間が使うことのできないテクノロジー、魔法だ。そしてこれを使えるのは、天使と悪魔だけだ。」
A2は手を握り火を消した。エクサーは立ち上がった。
「わかった。意味はわかった。理解はできないけど。あなたが悪魔だということも一旦飲み込むよ。」
「A2と呼んでくれ。」
「それでA2、これからどうする気?」
「普通に君をつれて地獄に帰ろうと思ってるけど。」
「ちなみに僕がここで抵抗したら?」
「別に構わない。今のところ君には悪魔の素質があるだけで本当になれるとは限らない。失敗すれば地獄に行った時点で君は砂になるし。」
エクサーは固唾を飲んだ。
「まぁ人間の寿命なんて短いし、いつ死ぬかもわからないいんだ。ここで一発賭けてみるのもいいと思うけど。」
エクサーはこの言葉に自分の好奇心に突き動かされ、悪魔になることを決めた。
「わかったよA2。」
「よし、きた。」
A2は右手を差し出し、エクサーは手を握った。
「せーのでジャンプ。いいね。」
エクサーは首を縦に振った。エクサーは内心ワクワクしていた。もし話の全てが本当ならば、絶対に面白いことになると感じていたからだ。
「いくぞー。せーの。」
A2もエクサーも同じタイミングでのジャンプ。二人とも上に吸い込まれるように上に上がっていった。天井をすり抜け、孤児院と時計台の上へと二人は足をつけた。エクサーの心臓はバクバクだった。心臓の音しか聞こえないほどに。
「さぁ、地獄へ行こう。」
「どうやって?」
「こうやって。」
A2がパチンッと指を鳴らすと下のグラウンドに禍々しい大きな穴が生まれた。
「あ、あれに入るの?」
「もちろん。」
穴は渦を撒き始め見ていると吸い込まれてしまいそうだった。しかし不思議なことに遊んでいる子供たちにはなんの影響も見られなかった。
「なんでみんなはなんともないの?」
とエクサーが子供達を指差し言った。
「あの子達を魔法の対象から外しているからね。魔法は慣れてしまえば便利なものだ。さてとそろそろ行こうか。」
「わかt…」
A2は急にエクサーを時計台から突き落とした。そして間髪いれずA2も落ちていった。
「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。」
そしてA2とエクサーを飲み込んだ穴はゆっくりとその口を閉じた。
ー終ー
読んでくれてありがとうございます。普通に嬉しいです。
ところで一話あたり何字ぐらい書くんでしょうか?2000字超えたら読みづらいかと思って1話と1.5話に分けたわけなんですけど。あと後書きってなんでしょうか?適当なこと書いてもいいんでしょうか。四方八方わからないことだらけです。