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DeViL 悪魔生転物語  作者: オクラ
 7章 『次なる王』 ー大魔界の異常ー
194/209

 188 黒腕 黒足


 大魔界・ウォーレン城(ルードレスネス領)


 「長!落ち着きを!!」

 「落ち着け?ふざけんじゃないわよ!!!」


 感情の膨大に身を任せた、五大貴族の一角『久遠の情動・ルードレスネス』は、その側近であるバーツを勢いよく殴り飛ばす。


 ルードの外見はダウナーな姉さんを印象付ける。

 そこから、俊敏に破壊量の高い攻撃が繰り出せるようには到底見えないのだ。

 しかし、ルードはその考えを覆すほどに、俊敏で破壊的な攻撃を生むことができていた。


 それを可能にしていたのはルードの持つ魔術だった。


 ルードレスネスの魔術『感情変換』

 自身に発生した感情の大きさを生命エネルギー、運動エネルギーなどの力に変換。

 感情がコロコロ変わりやすいルードにとって、この魔術はルードのために作られたような魔術であり、相性は100%。これにより、ノリに乗った時のルードは大魔界の頂点に君臨する。


 「あぁーー!!!イライラする!!!どいつもコイツも!!私をイラつかせるためのゴミばかり!!!!」


 ルードの『感情変換』は負の感情を元とする程、強化幅が広がる。


 『怒り>不満>悲しみ>憎悪>>愉悦>喜び…』

 大まかに分けるとこうなり、今のルードはこの内、負のエネルギーを多く併せ持っているため、最も危険な状態であった。


 バーツは魔法の使えないピアノとフォルテを庇いながら戦う。

 無差別を尽くすルードの攻撃は建物を破壊し、視界に入る全てに敵意が向けられる。そんな攻撃をバーツはなんとか捌けているが、捌けていると言う事実がこの場では大きな意味があるだった。


 「あ””ぁぁ!!!イライラする…イライラするーー!!!!!!!」


 ルードは頭を掻きむしりながら、叫ぶ。

 これと同時に放出される大量の魔力と衝撃波は、建物を悉く破壊し、天井が吹き抜けになる。

 月光が照らす、負の感情の権化に限界はない。時間だけが癒すと言うこともない。ただ、時間と共に自分以外への感情が急速に増大するだけなのだ。


 すると、ルードの様相が変化を見せ始める。

 背中より生える大きな翼。肘から生えた鋭利な棘。ピンクの目と白目が逆転し、口から牙をのぞかせる。

 エクサーの『悪魔進行化』に近いものがあった。


 そして、ルードはバーツを通り過ぎ、ピアノとフォルテに襲いかかる。


 「(ねぇ)様!!」

 「ピアノ!!」


 2人は同時に『バリア』を展開する。

 バリアはギリギリでルードの攻撃を防いだ。しかし、ルードが少し力んだだけで、バリアは粉砕。ピアノはフォルテを自分の方に引っ張って攻撃を回避させた。


 「ピアノ!魔力は?」

 「ほとんど戻りました。」

 「よし!私も戻ったから戦う。」


 フォルテは目を瞑り、両腕に神経を集中させる。

 そして、両腕から蒸気が発生すると、両腕は見事に『黒腕化』したのだった。 


 「後方支援をします。」


 ピアノはフォルテに強化魔法をかける。

 フォルテは勢いよく踏み込んで、ルードに向かって拳を振るう。


 「正面から私と()る気?バカにしないでよ!!!!」


 ルードは簡単にフォルテの攻撃を防ぐと、フォルテを蹴り飛ばす。


 「うぅ…!」


 蹴られたフォルテは想像以上の威力に驚愕した。

 肋骨の数本が肺に突き刺さっていたのだ。


 「姉さん!!」


 ピアノはフォルテに声をかける。


 「痛い…なぁ…」


 このままでは回復魔法の効果が遅くなるため、一時的な我慢をして、フォルテは肺に突き刺さった肋を無理やり、抜き取った。

 自分の体に手を突っ込んで肉を掻き分け、骨を引っ張り出すのは耐え難い苦痛でしかなかったが、フォルテはやり遂げた。


 「ふぅ…ふぅ…」


 荒い息を無理やり整えるフォルテ。

 そこにルードは容赦無く突っ込んでくる。

 

 「長!まずは私を相手に!!」

 「あんたはうるさいのよ!!!」


 さらにそこにバーツがルードを止めに来るが、呆気なくバーツはルードの発した衝撃波に吹き飛ばされる。


 「はぁ!!」


 ルードがバーツに目線をそらした隙に、フォルテは一発、ルードの顔面に拳を叩き込んだ。


 「痛ったいわね!」


 ルードは攻撃を喰らって、少しばかりよろける。


 「こんなに自分の家ボロボロにして!!片付け大変でしょ!!!」


 まさかのここで、フォルテのメイドとしてのお姉ちゃんとしての意識が働き、ルードに説教を始めた。


 「はぁ?私にこんなことさせたの誰のせいよ!!」

 「いい歳でしょ!感情の制御ぐらい自分でしなさい!!!」

 「なんで私が制御しなきゃならないのよ!!!それは弱い奴がやることよ!!!!あんた達みたいな、弱い奴は自分が不利だとすぐに感情で語りたがる!!!だから弱者なのよ!!生かすも殺すも最後に立っていた者の特権!!!だから…」


 ルードは誰の目にも捉えられない速度でピアノの目の前に現れる。


 「教えてあげる!誰が大魔界で正しいか!!!」

 「ピアノ!!」


 一番にフォルテが気づいた時にはすでにルードの攻撃はピアノの目の前だった。

 フォルテは心の中でなんとか間に合えと自分に言い聞かせた。止める術などあるもないのに…だが、ここでただ1人の機転が一手を打つ。

 ルードの動きが一時的に停止したのだ。


 フォルテは何が起きたのかわからなかったがこの隙にピアノをなんとか抱えて、救い出した。


 「大丈夫!フォルテ。」

 「大丈夫です。」


 ピアノは口調こそ変わらないが、フォルテの服を掴む手は震えていた。

 ここは流石のお姉ちゃん。ピアノの頭を優しく撫でて落ち着きを取り戻させようとした。


 動けるようになったルードが顔を向けた先は、ピアノとフォルテの方ではなく、バーツの方だった。


 「やったわね…バーツ!!」

 「申し訳ありません長。あなたに隙を作るには…私が全ての魔力を使って…『ショック』を使うしかなかった…おかげさまで…私の魔力は無くなりました…」


 ルードはガリガリと言う音が聞こえる程強い歯軋りをした。


 「心の底から小癪ね…」


 この言葉を聞いたピアノとフォルテは一層の焦りに襲われていた。

 一番、ルードについて知っているであろうバーツがここで戦線を離脱したのだ。つまり、今からはルードを止めるために2人で戦わなくてはならないのだ。


 「姉さま、どうしましょうか。」

 「せっかく助けてくれたけど…私たちだけじゃ……!」


 フォルテは一点の賭けを思いついた。

 

 「ねぇピアノ。」

 「どうしました?」

 「私達…姉妹よね?」

 「もちろんです。」

 「ここで賭けに出るって言ったら…怒る?」

 「いえ…それが最善の策であれば。」

 「最善かはわからないけど…お姉ちゃんにはこれしか思いつかなかったかな…」

 「やりましょう。」

 「うん。じゃあフォルテ、口開けて?」

 「口…ですか?」


 ピアノは目を瞑って素直に口を開けた。

 と、そこに生暖かい粘度の高い液体が注ぎ込まれる。


 ピアノは何かと思い目を開けると、フォルテが手首を切って流れ出た血をピアノの口に注いでいた。ピアノはそれを反射的に飲んでしまった。


 「このぐらいかな。」

 「姉さま、何を?」

 「ごめんね〜。さっきこの黒い腕でルードを殴ったら効いたから、ピアノと2人で頑張ろうかと。」

 「わかりません。どうやってそれを?」

 「『黒腕(こくわん)』のデータの記憶された私の血液を飲めば、ピアノも私みたいになるんじゃないかなぁって。ほら、私たち、姉妹だし。血にそんなに拒絶はないんじゃないかって。」

 「血の問題はないですよ。現に昔、姉さまに輸血しましたし…」

 「で?どう?変化ある。」

 「…ありませんね…」

 「そうかぁ〜。じゃあ、どうしようか。」

 「なんとかしてもがくしかないです。」


 フォルテに抱えられたピアノが地面に足をつけた時だった。


 「あーーー!!!ピアノ!足!足!」

 「足…ですか?」


 何をそんなに大きな声を出す必要があるのかと、ピアノが自分の足を見ると、なんと両足が見事に黒くなっていたのだ。


 「…なんですか、これ?」

 「ピアノにも適性あったんだねー!!!お揃いだお揃い!!よかったー!!」


 猛烈な力でピアノにハグをするフォルテ。

 フォルテがバブルスに感染し、適応した結果の黒腕化。それが今、双子の姉妹の血を分け合うことで、妹であるピアノにも発言する。

 ただ、違う点を挙げるとすれば、フォルテは腕が黒くなるのに対し、ピアノは足が黒くなると言う点だった。言うなれば『黒足(くろあし)』だった。


 「姉さま、苦しいです…」

 「あっ!ごめんごめん。」

 「でも、よく私も適合できましたね。」

 「その点は私が頑張ったからパスできたんだよ。」

 「そう言うものですか…」

 「とりあえず、目の前の問題をなんとかしなきゃ。」

 「わかりました。」


 ピアノは履いていた靴を脱いで裸足になった。


 「えぇ!裸足!」

 「靴を履いていては本領は出せないようですから。それにどうせ壊れますよ。」

 「そっか。」


 2人は一気に足を踏み込むと、2人で同時にルードに殴りと蹴りを与えた。

 しかし、相手は五大貴族。簡単にバリアで防がれると、魔力同士の衝突で火花が散る。


 「何?2人なら勝てると思った?」

 「「くぅ…」」


 なんとか押し切れないかと考える2人だったが、到底押し切れそうになく。

 フォルテは両手でピアノは両足で連打を加える。


 「壊れないって…わかるでしょ!!!」


 ルードが2人を吹き飛ばそうとした時だった。なんと、バリアが粉々に粉砕したのだ。


 「!!」


 ルードは流石に驚いた。

 まさか、2人がバリアを割ってくるとは思ってもいなかった。

 フォルテとピアノはそのまま、攻撃をする。


 「甘いわ!!!」


 しかし、これも難なくルードに腕で防がれる。


 「ダメか!」


 フォルテが攻撃が届かなかったと思った矢先、ルードの体からピンク色の稲妻がバリバリと発生する。


 「姉さま!」


 ピアノが強引にフォルテを自分の方に引っ張ると、ルードはフォルテのいた場所に向かって、地面を抉る魔力砲を放った。


 「助かった〜。ピアノありがとう。」 

 「大丈夫です。」


 ピアノはメイド服の上半身のホコリを払うと、ロングスカートの部分を引きちぎり始めた。


 「WoW!大胆なことするねピアノ。」

 「蹴りを主体とするのにロングスカートは邪魔です。」

 「でも、見えちゃうよ?」

 「大丈夫です。見えてもいいものを履いてますから。」

 「そう言う問題かなぁ?まぁいいや。」

 「姉さま!前!」

 「!」


 すると、いきなりルードが視認ギリギリの速度でフォルテに殴りかかった。フォルテはこれを間一髪で両腕を前でクロスさせて防ぐことに成功する。

 フォルテは勢いのままに後退させられる。


 「はぁ!」


 そこにピアノの蹴りがルードを捉え、蹴り飛ばす。


 「うざったい!!本当にさっさとくたばんなさいよ!!」

 

 ルードはピアノに標的を合わせ、殴りかかる。ピアノはそれを蹴りで迎え撃った。


 「お、重い!」


 ルードの攻撃は、時間を経て感情が高まる程に一発一発が致命傷になりかねない威力になっていた。それに強化魔法を注ぎ込むことでピアノとフォルテでなんとか喰らいつけているのは『意地』と言う他なかった。


 だが、なんとか喰らいつけていると言うのは全くもって良いことではない。

 ピアノとフォルテの魔力には限界があっても、ルードは魔術の原動力を感情に起因としているために、底がなく。さらにはその奥に大魔族特有の莫大な魔力も控えている。

 

 勝ち筋はイバラの道と言って、何も差し支えがなかった。


 「ピアノ!」


 そこにフォルテが到着。

 そして、ルード、フォルテ、ピアノの3人は高速戦闘に移行する。


 2対1で、なんとかようやく喰らいつけている。

 フォルテとピアノはルードレスネスと言う大魔族の存在を再認識した。


 すると、ルードにフォルテが蹴り飛ばされる。

 ピアノはそれを認識しつつも反応を見せずにルードとタイマンをする。


 「はぁ、ここのままじゃ私達に限界が来る…どうする。」


 フォルテは一呼吸をおいて、策を練ろうとするが完全に手詰まりの様子。そんなフォルテが何気なく自分の腕を見ると、微かに自分の腕に稲妻のような模様が入っていることに気がついた。


 「ふぅ…ふぅ…」


 浅い呼吸でルードに喰らいつくピアノ。

 ピアノも限界が近いことを悟っていた。


 「ピアノ!」


 すると、後ろからフォルテが走ってきている。


 「私を蹴って!!!」


 この後に及んで何を言い出したかと思うが、ピアノはそれがフォルテの作戦であると直感的に理解した。

 そして、ルードから離れて、フォルテを蹴る。

 このピアノの蹴りに合わせるようにフォルテは自身の拳をピアノの蹴りとぶつけ合った。


 この瞬間、2人の黒くなった腕と足にヒビが入る。

 そして、そのヒビは赤く光を放つ。まるで血管のように。


 2人は向かってくるルードを鋭く睨む。

 そして、最後のと言わんばかりの振り絞った踏み込みで、ルードと衝突する。


 「さっさと、潰れろぉぉぉぉ!!!!!!」


 ルードが声を大きく荒げると同時に、魔力出力が上がりピアノとフォルテを押す。

 しかし、こんなもので負けを認めるわけにはいかない。


 「姉さま!!」

 「わかってる…絶対負けないんだからぁぁぁぁぁ!!!!」


 2人が同時に全力を振り絞った瞬間だった。

 2人の腕と足に入ったヒビの赤い光が凄まじく輝くと、誰も予想だにしない威力の魔力放出でルードを壁に向かって吹き飛ばし、そのままルードは壁を何枚も突き破って行った。


 「「はぁ…はぁ…はぁ…」」


 2人は満身創痍でその場に倒れ込んだ。

 

 「や…やった…かな?ピアノ…」

 「えぇ…やれていなくても…私達にもう術は…ないです…」


 2人の黒腕と黒足は自動的に解除された。

 

 バーツは2人がいきなり放った魔力放出に目を丸くした。

 あのレベルの放出は、大魔界でもなかなかお目にかかれないし、自分が受けたことを想像すれば、ひとたまりもないのだ。


 疲弊し切って気絶手前の2人が何も言わなくなる時間が訪れた。

 バーツが倒れる2人の元に歩み寄ろうとした時だった。


 瓦礫の上を進む足音がこちらに向かってきていたのだ。

 ピアノとフォルテは、ルードが吹き飛んで開けた穴の方を見ると、そこからなんの外傷も疲弊もないルードが姿を現した。


 「だめ…か…」

 「流石は大魔族…流石は…五大貴族…」


 2人は笑うしかなかった。

 ここまで自分たちがボロボロになってでも、ルードには一切のダメージが見られないからだ。


 ルードはその凄まじい闘志を衰えさせることなく、倒れるピアノとフォルテの元に近づいてきた。

 この絶望的状況にピアノとフォルテが死を覚悟したその時だった。

 ルードが闘志を消し去ったのだ。


 この空間に存在した圧迫感が霧が晴れたように消え去る。

 ピアノとフォルテとバーツは疑問符を浮かべるのだった。


 「小さい頃…私は…兄弟、姉妹を殺したの。代々私の家は…強い遺伝子を残すために子供をたくさん作って、子供達の1人が残まで戦わせた。だから、私もその仕来りに則ってみんなを殺した。それは私が10の頃だった。私は…兄弟、姉妹の中では後ろから数えた方が早かった。でも、殺すのは簡単だった。私は数いる兄弟、姉妹の中で唯一、魔術を持っていたから…」


 ピアノとフォルテがルードの顔を見ると、ルードの顔には哀愁が漂っていた。


 「最初は嫌だった…だって、兄弟、姉妹を殺すのを望むほど劣悪な品性と環境ではなかったから…でも、皆は己がために殺し合った。だから、私も身の保身のために戦った。1人、また1人と命に手をかけた私は、何故こうもしなくてはいけないのかと言う怒りを覚え、力が増した。そして、結果、一番慕ってくれた一番上の姉を殺したところで、私は孤独になった。身体中がベトベト…足下には誰のかもわからない骸がゴミのように重なっていた。そして、父はそんな生き残った私を拍手で迎えた。その顔は悪れもしない。本当に喜んでいた、嘘偽りなく。それがタチが悪かった腹立たしかった。私はその場で感情冷めさらぬ中で父を殺した。そして、ただの製造機の母も殺した。そんな私が求めたものは兄弟、姉妹達との平和な日常だった。共に笑顔で、共に喧嘩し、共に過ごすそんな日々。でも手に入らなかった。だって、その要素を全て壊したのは私だったから。でも、2人を見て思い出した。だから、殺すのはやめ。」


 ルードは顔は非常に穏やかだった。

 草原に咲く花が風に揺れるように穏やかでたおやかで温かい。


 「はぁ…疲れた。お風呂入りましょう。バーツ、準備して。」


 バーツはポカーンとした顔をしていた。


 「バーツ!聞いてるの?」

 「あっ!はい。かしこまりました。ですが、先に…」

 「何?あぁ〜、はい。」


 ルードはワープホールから魔石を3つ取り出し、1つをバーツに投げた。


 「ありがたく。」


 バーツは魔石を手で割ると、魔力がみるみる回復した。


 「はい、あんた達も口開けなさい。」

 

 ピアノとフォルテは言われるがまま、口を開けた。

 ルードは残る2つをピアノとフォルテの開いた口に入れると、2人はそれを頑張って割った。すると、2人の魔力は完全に元に戻った。


 「ありがとうございます。」

 

 ピアノは立ち上がるとルードにお礼を言う。


 「ルードは魔石いらないの?」

 「私はいいわ。魔力なんてまだ8割ぐらいあるし。」

 「えぇ…」


 あれだけの戦闘をしてもまだルードの魔力は8割残っているらしい。

 言われてみれば、魔力量にほとんど変化がない。

 やはり、五大貴族、バケモノ以外の何者でもなかった。


 「さぁ、お風呂にしましょう。あなた達も入るでしょ?」

 「では、お言葉に甘えます。」

 「やった〜。」

 「その時になんでここに来たか聞かせてもらうから。」

 「は〜い。」

 「姉さま、敬語を。」

 「ごめんごめん。」


 ピアノとフォルテはなんとかルードとの関係を良好なものにすることに成功したのだった。


 ーー終ーー


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