18 到着
魔強化が暴走したエクサー。その殺意の向く先はロイド。
エクサーの拳は、ロイドを捉え、二撃でロイドとの戦闘は幕を閉じた。
そこにドラギナとクーが到着。2人でエクサーを止めるべく、ドラギナはイフリートに変身。
クーのサポートもありドラギナは、炎の鎖でエクサーを止めることに成功し、エクサーを元に戻す方法を考える時間を手にする。
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”。」
唸り声を上げ、拘束を解こうとエクサーはもがいた。
「どうするです。」
「実際止めたはいいが、策は全く思いつかん。まずあの状態はなんだ。」
「わかんないです。」
「クソッ。じゃあ、このまま、クーはサポートをかけ続けろ、こんだけの魔力だ。きっと校長か誰かが気づいて来てくれるだろ。それまで何とか耐える。」
「わ、わかったです。」
2人が話し終わったのも束の間。
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!」
エクサー唸り声が急激に大きくなると、どんでもない魔力で拘束を解いた。
「マジかよ。早すぎやしないか。」
流石にもう少し拘束できると2人とも思っていた。だが、そうはいかなかった。
自分に攻撃されたこと、拘束されたこと。この点は、暴走したエクサーの逆鱗を逆撫でするには十分すぎる要素だった。
「あ”あ”あ”あ”!!!」
エクサーは体から衝撃波を放つと、ドラギナの変身は解除され元の姿に戻り、クー、ドラギナは魔力の壁にめり込むように叩きつけられた。
「クッ。」
2人は体を動かせなかった。壁に何か見えない力で押さえつけられているようだった。
「万事休すです。」
標的をドラギナに決めたエクサーは、ドンドンと足音を鳴らし、ゆっくりとドラギナに近づいた。
「『スタック』。」
ドラギナに向かっていたエクサーの動きが急に止まった。
2人が声のする方に目をやると、白髪、赤目に白スーツに身を包んだ、背の高い悪魔がいた。
A2だった。
ーーーーー
「こ、校長、こ、校長、起きていますか?」
1人のフールル先生が息を切らしながら、校長室に向かって走って、校長室に入って行った。
「起きていますよ。こんな状態で寝てもいられませんし。」
トバルカインは起きていた。
「な、なんですか、こ、この状況は。」
「わかりませんが、発生源がこの学校のどこかであることは確定でしょう。」
「そ、そうですか。ほ、他の先生方は?」
「残った生徒の避難や、被害が出た時のために対応できるように待機してもらっています。」
「で、では、私も。」
「いえ、先生は私と一緒に発生源の特定、対応を行ってもらいます。」
「わ、わかりました。」
そこにA2が瞬間移動してきた。
「ど、どなたですか?」
「来ましたかA2。」
「もちろん。」
フールル先生はA2の名を聞くや否や驚き、尻餅をついた。
「あ、あなたが、A2ですか。」
「うちのエクサーがお世話になっていますね、先生。今後もお願いします。」
「は、はい。」
フールル先生は気の抜けた返事をした。
「そうだ、トバルカイン。ここは私1人で対処するよ。」
「わかりました。」
トバルカインは即答した。トバルカインは自分が行くよりA2が行く方がより早く解決に近づくと考えた。
「それでは、行ってくるよ。」
「検討を。」
A2はどこかに瞬間移動した。
ーーーーー
A2はクーとドラギナ、転がっていたボロボロのラーバルを一瞬で回収し、球体のバリアの中に3人を閉じ込めた。
「そのボロボロの子を治しておいてくれ。」
「わかったです。」
「コイツいたのか。」
「気づかなかったです。」
A2は、ゆっくりとエクサーに近づき、向かい合った。
「なんと言う姿だ、エクサー。」
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!」
「話は聞こえないようだね。それでは、倒す他ないね。」
A2は、掌を下に向けると、そこから持ち手に目の付いた杖を出し、勢いよく先端を地面に突いた。
「さぁ、やろうか。」
A2は、ニヤリと笑った。
ーー終ーー
補足書いときます。
A2が『スタック』と言いましたが、あれはスタックというほんとに一瞬だけ動きを止める魔法です。しかし結構強いので魔力消費は結構大きいです。まぁA2は魔力総量がとんでもないので基本的に関係ないです。