表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
DeViL 悪魔生転物語  作者: オクラ
 7章 『次なる王』 ー大魔界の異常ー
186/215

 180 じゃんけんと洗礼2


 大魔界・???


 エクサーは両手両足に手錠と足枷をつけられて、どこかの石でできた牢獄に身を置かれていた。このエクサーに意識は未だなく、無気力に脱力しながら拘束されていた。


 すると、石の床を歩く足音が牢屋の中に聞こえ始めた。誰かがこちらに来ているのだ。その誰かはエクサーの牢屋の前で足を止めると、鍵を使って、牢屋の扉を開けて、中に入り、エクサーの正面に立った。


 その誰かは、灰色の肌に青い目を持つ、少し気怠げな和装の男だった。

 男はエクサーを覗き込んだりして、意識があるかを確認し始めた。


 「…はぁ…起きろ…」


 すると、男はエクサーに向かって大量の水を魔法で生成して掛けた。


 「ボハッ!カッ!」


 いきなり水を掛けられて口の中に水の入ったエクサーは、口から水を吐くのと同時に意識を取り戻した。エクサーの顔は戸惑いと、水を吐いたことによる涙が浮かんでいた。


 「…手間掛けさせないでくれ…」


 そう言うと男はエクサーの足枷と手錠外すと、エクサーを連れて牢屋の外に出て行った。


 ーーーーー


 地獄・???


 「はい…」

 「痛っ!」


 エクサーはいきなりよくわからない場所に連れてこられたかと思うと、地面に白の砂利石の敷かれた場所に投げるように置かれた。

 両手を縛られているせいか受け身が取れずに顔面から着地。石のせいで軽く鼻血が出た。


 エクサーがなんとか顔を前に向かせると、フルオートの回復魔法が戻ってきているのか、鼻血が自動的に止まった。

 前を見たエクサーの目に映ったのは日本風の屋敷と周囲にいる和装を身につけた灰色の肌の悪魔達だった。


 エクサーの周囲は和風の塀で囲われ、周囲を手荒らすようにいくつも松明が飾られている。エクサーの少し先には縁側と屋敷があり、その屋敷の奥には堂々高くそびえ立つ日本の城があった。

 その様はまさに圧巻。エクサーが見入るほどには芸術性が高いほど、綺麗な物だった。


 「『水鬼(すいき)』やっと持ってきたか…」

 「ガキ1人牢屋から出すのにどんだけ時間掛かってんだよ!!」


 すると、エクサーの見ていた縁側の先の屋敷から、雷鬼(らいき)風鬼(ふうき)の2人が姿を現した。2人は縁側から下に降りると、エクサーを通り過ぎて後ろにいる青色の目の悪魔に近づいた。


 「…うるさいなぁ雷鬼…静かにしてくれ。」

 「は?お前が遅せぇのが悪いんだろうが水鬼。」


 この青色の目を持つ、気怠げな悪魔はどうやら水鬼(すいき)と言う名の様だった。

 雷鬼と水鬼の言い合いは次第にエスカレートし始めた。そんな2人を風鬼はやれやれと首を振り、仲裁に入った。


 エクサーは今の自分の状況がいかに危険かをひしひしと感じ始めた。

 周りにいる悪魔達は全員大悪魔なのだ。よく見なくてもわかるほどに多くの魔力をただのモブでも持ち合わせている。特にこの『雷鬼』『水鬼』『風鬼』の3人はその中でも突出した魔力量と気配を持っていた。こんな場所はすぐに逃げるが吉なのは誰が見てもわかった。魔法が回復した今、エクサーはなんとか逃げ切れると考えた。


 そして、エクサーは手と足に魔力を集中させると足枷と手錠を勢いよく破裂するように破壊した。


 バキンッ!と言う音が響く。エクサーは手錠と足枷が外れた瞬間、宙い舞い上がると体勢を変え、雷鬼達と向かい合った。


 「おいおい、このガキ自分で自由になったぞ?」

 「へぇ、すごいな。」

 「…この子供は自動で回復魔法が使える…これくらいはできてもおかしくない…」

 「おかしくないじゃねぇよ!先言えよ!そう言うことは!!」


 ここにいるエクサー以外の全員がエクサーに敵意を向けているのは明白だった。だからこそ、エクサーの動かなくてはいけないと言う意思が刺激され、今にも体が動き出しそうだった。


 (いい傾向だ。体が動きたがってる。このままルートを作って逃げ出す!)


 エクサーは深く深呼吸をした。


 (頭を回せ。なんとか考え続けろ。)


 エクサーは全身に魔力を送り、走り出そうとした瞬間だった。


 エクサーの背後、屋敷の縁側とエクサーの間に勢いよく何かが落下してきたのだ。その衝撃は凄まじく、ここにいいる全員が一時、動けなくなるほどだった。


 「うるせぇなぁ…お前ら…祭りごとじゃねぇんだから騒がしくすんな。」


 内臓が震えるほどに低く、ドスの聞いた声。まるでライオンの唸り声のような静かなる荒々しさが、この声にはあった。

 エクサーが振り返った先にいたのは、強烈な鬼気を纏う、灰色の肌に真っ赤な萌えるような紅蓮の目を持つ、背丈は2m後半はあるように見えるツノの生えたムキムキの悪魔だった。


 この悪魔が姿を現すや否や、エクサー以外の全員が頭を下げて(ひざまず)いた。


 「お前、悪魔だな?何しに来やがった?それになんでお前から人間の匂いがする?」


 悪魔がエクサーに向かって歩き始めると、その一歩一歩は地面を揺らした。


 「まぁいい。何しに来たかなんてのはどうでもいいな。」


 男はエクサーの前で立ち止まると、闘志をむき出しにしてエクサーの前に立った。


 この悪魔のこそが、五大貴族の一角、『鬼王・キリエグ』その人だったのだ。


 ーー終ーー


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ