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DeViL 悪魔生転物語  作者: オクラ
 1章 『エクサーと侵入者』
15/207

 14 ロイド

 決闘後、行方不明になったラーバル。目撃情報はあれど、発見には至っていなかった。そのことを頭の片隅に置いていたエクサー、本を返していないことに気づき、クー、ドラギナ、エクサー3人で本を返しに行く。

 しかし図書館で前の違和感のある影を見つけ、それを追って図書館の部屋を進んで行く。その先で、エクサーのみが分断されてしまい、ラーバルを見つけるが、見知らぬ声がエクサーの後ろから聞こえる。


 ーラーバルが学校から逃走してすぐのことー


 地獄・???


 ラーバルは学校から離れた遠くの街の裏路地を歩いていた。


 街自体は、買い物、娯楽などで賑わっていたが、裏路地は全く雰囲気を変えた。

 住む場所のない、言わば生活困窮者ホームレスが地べたに寝ていたり、怪しい粉を密売する者がいた。

 しかしそれでも可愛い方だった。場所によっては、見るも無惨にバラバラになった死体が平然と道端に転がっていた。


 しかし、精神が不安定な今のラーバルにとってそんなことは気にもならなかった。

 今のラーバルは、エクサーという元人間に負けたという恥と、そんなものに負けたという自分への怒りという感情に浸かり、酷く絶望、そして復讐心に駆られていた。


 「おいおい、しけてんなぁ。」


 そんなラーバルに誰かが話しかけてきた。

 ラーバルは声のする方を睨んだ。


 話しかけてきたのは地べたに座っていた男の悪魔だった。その男は裏路地にいるとは思えないぐらい身なりが整えられていた。白い肌、逆だった髪、耳に多くのピアスにサングラス、パンクないでたちだった。


 「おいおい、そんな怖い顔するなよ。仲良くしよぜ。」


 その悪魔はラーバルに近づきいきなり肩を組んできた。


 「なんですか?」

 「いやぁ、ビビッときたんだよ、お前なんか抱えてるだろ。話聞いてやるよ。」


 別に期待はしていなかった。

 こんな男に話して立ち直れるならとっくに立ち直っている、ラーバルはそう思った。だからラーバルは今の自分をこの男に語った。


 「へぇ〜、面白いじゃねぇか。」

 「こんな僕をですか?」

 「ちげぇわ、お前になんかこれっぽっちも興味ねぇ。黙っとけ自意識過剰くん。その相手にだよ。元人間なんだって?」

 「そうなんです。」

 「こりゃあ、いい話だ。」


 男は数秒考えた。


 「手を組もうぜ。俺とお前で、そのエクサーとやらをぶっ飛ばすぞ。」

 「はぁ、なんでそんなんことするんですか?」

 「ここだけの話、俺実は、ギャングの幹部なんだけどよぉ、最近揉めちまって、活動停止中なんだわ。でも元人間なんていう貴重な存在をリーダーに持ってけば、俺が復権するってわけよ。俺はギャングに戻れて、お前は復讐。悪い話でもない。」

 「できるんですか?」

 「ガキ1匹、俺一人で十分だが、お前も少しはやらないとな、復讐にならん。」


 ラーバルにとってエクサーを倒せるならどうでも良かった。ラーバルは一つ返事で承諾した。


 「面白い話してるなぁ、わしも混ぜてくれよ。」


 2人の近くにいたすきっ歯のホームレスのお爺さんが、話しかけてきた。


 「へへ、悪い話じゃないだろ?手は多い方がいい。取り分は…ヘブッ!」


 男はホームレスの顔を木っ端微塵に消し飛ばした。血や肉片は、壁や床に散らばり、辺りには血の匂いが充満し、首から、噴水のように血が溢れ、体が倒れた。


 「クソジジイが、お呼びじゃねぇんだよ。盗み聞きしやがって。」


 男は一気に血管が浮き出るほど怒った。

 がそれよりも、ラーバルはこの男がどうやってホームレスの頭を消し飛ばしたかがわからなかった。考えるラーバルの肩を男はもう一度組んだ。


 「名前が、まだだったな。俺の名はロイド。」


 ーーーーー


 トバルカイン魔法学校(図書館)


 エクサーは頭の中で考えた、ここからどうやってこの場から脱出するか。今自分の後ろにいる正体不明の男をどう対処するか。

 

 「ごめんな、エクサー。お前は倒さなきゃいけないんだわ。」


 男のふれているエクサーの肩がじんわりと熱を持ったと思った次の瞬間、エクサーは壁に向かって吹っ飛ばされた。エクサーは咄嗟に体を捻り、壁にぶつかる前に止まった。


 「俺の名前はロイド。訳あってコイツと組んでお前をぶっ飛ばさなきゃなんだわ。」


 ロイドは両手をポキポキと鳴らし、エクサーにゆっくりと近づく。


 「大丈夫だ。殺しちゃ意味がねぇから、死なない程度にしてやる。」


 ロイドは一瞬踏み込むと、エクサーとの距離を一気に詰めた。


 距離を詰めたロイドは拳を固く握りエクサーに撃った。

 咄嗟の打撃だったが、ギリギリで『バリア』を展開して防御できた。と思ったが、ロイドの拳はバリアを破壊しエクサーの顎に直に当たった。

 攻撃をもろに喰らったエクサーは勢いのまま吹っ飛んだ。


 「へ、なんだ?今のバリアか?柔くて気づかなかったぜ。」


 ロイドの煽りにエクサーは睨んだ。

 殴られたエクサーの顎はぐちゃぐちゃになっていたが、回復魔法で回復に向かっていた。


 「おい、お前も協力しなきゃ意味ないだろ。」


 ロイドはラーバルに話しかけ、ラーバルは渋々応戦の構えをとった。


 「そうだ、お前のお友達は俺の部下どもが丁寧に遊んでると思うぜ。安心しろ。」


 ーーーーー


 「ひぃ〜。なんです。なんです。」


 クーとドラギナはロイドの数十人の部下たちに囲まれてしまっていた。


 「どっから入ってきた?あぁ魔法陣か。」

 「正解だ。」

 「ラーバルとか言ったやつの書いた魔法陣からロイドと一緒に転移したんだよ。」


 部屋の途中にあった魔法陣はロイド一派の転移に使われていた。


 クーはドラギナにしがみついていて、怯えていたが、ドラギナは落ち着きを保っていた。


 「余裕そうだな、坊ちゃん。」

 「やるなら、さっさとしろ。」

 「鳥籠の鳥はお前だぜ?もう少しビビったらどうだ?」

 「俺が鳥籠の中の鳥だったらビビってるんじゃないか?鳥ならな。」

 「ガキが。」


 部下たちは一斉に魔法を発動し、2人に向かって打ち込んだ。まさに蜂の巣だった。しかもその火力は、もしまともに喰らえば何も残らない程のもので、オーバーキルとも言える攻撃だった。


 1人の合図で全員が攻撃をやめ、2人の様子を確認するために煙を掻き分け、1人が近づいて行った。

 全員が跡形も無くなっていると確信していたが、その思いは部下の断末魔によって裏返った。


 様子を見に行った部下は煙の中から放り投げられたように、他の部下達の前に姿を見せた。部下はすでに絶命しており、心臓部に何かに貫かれたようで、穴が空いていた。


 「こんなガキに倒されるなんて、恥だな。」


 煙が消え、姿を見せたドラギナもクーも無傷だった。


 「ありがとな、クー。できるじゃねぇか。」

 「あ、危なかったです〜。」


 どうやら咄嗟にクーが『バリア』を展開して攻撃から守っていたらしい。

 さらに、部下の1人の胸を貫いたのはドラギナに生えた竜を思わす尻尾で、その証拠に尻尾に血がついていた。


 「運が良かったな。」

 「実力を運と言われるのは少し癪です。」

 「チビは黙ってろ!」


 部下たちは一斉に2人に飛びかかった。

 しかし、そんな攻撃を何食わぬ顔でドラギナは捌ききった。尻尾は荒れ狂う数人の部下たちの心臓を的確に貫き、倒した。


 ドラギナは殺すことになんの感情も湧いていなかった。それは彼の生まれがイフリートの血統で、家の教育が故だった。

 

 「クソガキども。」


 この状況にイライラを募らせた部下の内の3人はポケットから飴玉のような物を取り出し、口の中に入れて噛み砕いた。

 すると、みるみるうちに3人の体はパンプアップして魔力も圧倒的に増量した。


 「ドーピングか。」

 「そうだ。この際、背に腹は変えられねぇからな。」

 「うわぁ〜、聞いか?クー。こんなガキ相手に本気、恥ずかしく何のかね?」

 「本当です〜。私たちガキなのにです。」


 ギリギリ聞こえるぐらいの声量でクーとドラギナは相手を煽った。


 3人の部下の怒りはもう限界のその先に達し、怒りに身を任せ、攻撃をしてきた。が攻撃が『バリア』を貫通することはなく、バリアに向かって無駄な攻撃をする3人をドラギナとクーは『バリア』の中で滑稽だとクスクス笑っていた。


 「それそろ、飽きたです。」


 クーが『バリア』を解き、ドラギナの尻尾が3人の心臓を貫き、一瞬にして戦闘は終わった。


 「さてと、エクサーを探すか。」

 「そうです。」


 ドラギナは手から炎を出し床に落とした。その火は死体や血を焼却し、部屋は何事も無かったように綺麗になった。


 「お前、最初のビビりようはどこ行ったんだ?」

 「怖いのは最初だけです。」


 2人は部屋を後にし、エクサーを探し始めた。


 ーー終ーー


 今のうちに、ざっくりとした強さランキングを言っときます。


 1位,A2

 2位,F,D、トバルカイン

 3位,S,B

 4位,ロイド

 5位,ドラギナ

 6位,エクサー

 7位,クー、ラーバル


 こんなところです。A2は基本的に話の最後まで最強のなので、扱いに困ってます。


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