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DeViL 悪魔生転物語  作者: オクラ
 7章 『次なる王』 ー五芒星の過去ー
137/208

 131 天器

 

 ナールガvsエクリエル


 「ちっ…回復が効かねぇか…」


 ナールガは血が流れ出る脇腹を抑えた。

 すると、上からナールガを照らすけたたましい数の光の弾丸がナールガを撃ち抜いた。


 「がはっ!」


 この攻撃を直撃で受けたナールガは白目をむき、体にはいくつもの弾丸を受けた影響で多くの穴が空いた。先ほど受けたマークゼロから放たれた一発の光の弾丸は、ナールガの脇腹に風穴を開けるだけでなく、一時的な魔力の機能を停止させた。

 つまり、魔法の一切が使えなくなったナールガは生身で降り注ぐ弾丸を受けるしかなかった。つまりは今のナールガは瀕死ということだった。


 エクリエルはゆっくりとボロ雑巾のような姿のナールガの前に降りてきた。


 「哀れ、哀れよ哀れ。力を過信した悪魔よ。お前のような分際で天使に歯向かう、悲しくなってくるな。」

 「あ”あ”!」


 ナールガは残る力でエクリエルに殴りかかった。その顔目掛けてエクリエルは光の槍を突き刺した。


 「あ”あ”っ…あ…ぁ…」


 ナールガは少しでも足掻くために、力無い腕をピクピクと動かしながらエクリエルに向けた。だが、それが何かを起こすことはなかった…


 ーーーーー


 ラズロvsフレリエル


 「あはははは!お姉さん、面白いね!」


 ラズロはコロコロと位置を変えて適度に距離を取ったり、自身が攻撃をするために近づけたりしていた。そのたびに無視した物理法則の影響を受けるフレリエルは思ったように動けていなかった。

 だが、それをまったく顔色を変えず、ラズロへの一手を探していた。現れた時のようなナヨナヨとした顔はなく真面目にどんな状況に置かれていてもラズロへの目線を一切逃さない芯の強さがあった。


 「えい!」


 すばしっこく動き回り、攻撃をしていくるラズロ。

 流石にキリがないと思ったフレリエルが両手を前に突き出した。そこに光が集まり長い棒のような形が現れ、フレリエルはそれを握った。その両手に握られていたのは、長く、赤と黒の色に金の装飾が施された薙刀だった。


 『天器・からくれない三式』

 フレリエルの扱う薙刀。元々はウリエルの武器庫の中に所蔵されていた武器であり、幼きフレリエルがウリエルに相性を見込まれ、譲り受けた。

 それ以降、女という理由で周囲に無理と言われようとも、懸命に鍛錬と研鑽を重ね『からくれない』を操れるようになるまでの体格と技術を身につけた。

 三式というのは、初代、二代目呼ばれた時、それが壊れた際、その使えるパーツを使い作り替えたために今が3代目と言うことで三式と呼ばれている。


 フレリエルが『からくれない』を構えた姿たるや鬼気迫る姿でラズロも流石に冷や汗を流した。


 すると、突如としてフレリエルがラズロの目の前から消えた。

 何か魔力の跡が残るようなそんなものではなかった。目の前から存在ごと消されたかのような、そもそもいなかったと錯覚してしまうほど綺麗に目の前から消えたのだった。


 「!」


 急いでラズロは後方を振り返った。そのラズロが見た光景は、薙刀を振るった後の姿のフレリエルが逆転した姿だった。そして、次に映ったのは誰かの血。それを見たラズロは、自分の頭が一瞬にして跳ね飛ばされたのだと気づいた。


 大正解。フレリエルはラズロの頭を綺麗に刈り取っていたのだ。


 フレリエルは体勢を変えると、薙刀を振りラズロの背中を斜めにぶった斬った。


 ーーーーー


 フルシアンテvsカイエル


 「あらよっ!」


 フルシアンテは魔術で動きを止めたカイエルの顔面を蹴った。だが、カイエルはそれを喰らっても微動だにせず、フルシアンテを睨んだ。


 「ッハハ!打たれ強ぇぇな。」

 「褒めてもらっているのなら、ありがたく受け取る。だからと言ってお前たちを排除する指示は覆らない。悪く思うな。」

 「ッへ!お前みたいなやつと殺り合うためにきたんだからよぉ!!!」

 「肩書無しで言うのであれば、私とて強者は大好きだ。だからこそ、全霊で排除させてもらう。」


 カイエルはフレリエルとはまた違った動きで両腕を前に出すと、そこには青と赤の持ち手に大きく捻じ曲がった大鎌を握った。


 『天器・空遊び』

 カイエルの所有する大鎌であり、どちらかというと魔器のような形をしているが歴とした天器。これもフレリエルと同様にウリエルの武器庫に所蔵されていたものを譲り受けたのだった。


 「へっ!おもれぇな、飽きなそうだわ。」


 フルシアンテはカイエルとの戦闘をワクワクした笑顔で再開した。


 ーーーーー


 キキガノvsトロリエル


 「もう少し笑ったら?眉間痛くなっちゃわない?」


 キキガノとトロリエルの戦闘には会話のキャッチボールがなかった。他の親衛隊の3人とは違って異常なほどの剣幕で攻撃のするトロリエル。絶対に殺すと言う硬い意志をひしひしとキキガノは感じた。


 「はぁ…まぁいいんだけど。」


 そんなキキガノはひょいひょいっとトロリエルの攻撃を交わした。できればもう少しおしゃべりしてみたいと言う好奇心のあったキキガノだったが、喋る気がないならとひょいひょいと避けた。


 「おや?」


 キキガノがいきなり立ち止まった。トロリエルはチャンスだと思い、攻撃を仕掛けるがキキガノの『バリア』で防がれた。


 「ちょっとごめんね待ってて。」


 キキガノはよそ見をして何かを確認している様子だった。この失礼な態度にトロリエルはより怒りを膨れ上がらせ攻撃をした。だが、『バリア』を壊すには至らなかった。


 「やっぱりか…」


 キキガノは『バリア』を解除すると、カイエルに腹蹴りをキメた。


 「ごめんね、なんか2人ほどピンチらしいんだ。お預けってことで。まぁ君との戦い、まったくエンタメ性が無いから二度とやりたくないけど…じゃあね。」


 すると、キキガノは姿を消した。このキキガノの行動にトロリエルは怒りメーターが完全にぶっ壊れた。


 ーー終ーー


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