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DeViL 悪魔生転物語  作者: オクラ
 7章 『次なる王』 ー五芒星の過去ー
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 128 責任


 天界・天国の扉(ヘブンズドア)


 破壊された天国の扉(ヘブンズドア)の周りには危機を察知した天使たちが多く集まって来ていた。だが、その数を持ってしても、ナールガ、フルシアンテ、キキガノ、ラズロの4人を止めるには到底至らなかった。


 「どした!どした!これが天使のお力とやらですかぁぁ!!!」


 大声で盛大に煽り散らかしながら、集まった天使達を薙ぎ倒し進むフルシアンテ。魔術を一切使うことなく蹂躙する様は、一周回って無駄がなく潔いぐらいだった。


 テンション最高潮のフルシアンテが笑いながら、舌を出し涎を垂らしながら向かってくる。天使達からしてみれば恐怖以外の何者でもない。だが、そこで命乞いをしても泣いても容赦無く殺される。天使達にとってはこの上ない悪夢だった。


 「テヘヘへへへ!!!」


 この様相で天使達を殺すのはフルシアンテだけではない。ラズロも同じだった。小さな体が縫い進むは天使達を一撃で仕留める急所の『心臓』。小さい体だからこその身軽な身の熟し。こちらはフルシアンテとは違い残忍さこそないものの、走馬灯など感じられないスピードで死をプレゼントしていた。


 「……」


 そんな2人とは対照的にナールガは一言を喋らず鋭い目つきで颯爽と天使達の命を刈り取っていた。天使も殺意を纏ったその形相を見て仕舞えば、体が動くことを諦めてしまって、無抵抗のまま死を迎えていた。


 「ちょっと、ちょっと。僕何もしてないんだけど…」


 キキガノは飄々と襲ってくる天使達を交わしては最低限の魔法で軽々と殺していた。キキガノは4人について来たストラップぐらいの気分であり、別に天使達が襲ってこないなら襲ってこないで天界観光でもしちゃうぐらいのメンタルだった。


 ロテぺはそんな中で物陰に隠れ、流れ出る汗を拭きながら誰かに連絡をしている様子だった。


 「ミカエル様!お願いします!出てください!!ミカエル様!!」

 「ロテぺですか?」

 「!!…ミ…ミカエル様!よかったです、私の声が届きまして(泣)。」


 ロテぺはミカエルに連絡を取っていたようで、ようやくミカエルと繋がったようだった。ミカエルと繋がった瞬間、ロテぺの目からは安心の涙が流れ出た


 「泣いている場合ではありません、ロテぺ。状況の説明を。」

 「はい!扉が破壊され、5体の悪魔が天界(こちら)に侵入。そのうち4人は命を削って動きを止めていますが、1人はどこかに消えました。その消息は…申し訳ありません。不明です。」

 「わかりました。」

 「ミカエル様はいつ頃ここへ?」

 「…わかりません。なるべく、私も早く着くようにはしますが…望みは薄いでしょう。それを待っていては大切な命がなくなる一方です。」

 「そ…そんな…」


 安心の涙の次は悲しみの絶望の涙がロテぺの目から流れた。


 「ですが、安心してください。私の代わりに『親衛隊』の4人がそちらに向かっています。その場に着き次第、総指揮はエクリエルに任せてありますので、それまではなんとか耐えてください。いいですね。」

 「ぐすっ…わかりました。お待ちしております。」


 ロテぺは鼻を啜りなんとか耐えて見せるという決意を持った。と、決意したもののロテぺには4人内の1人を止められるだけの戦闘センスとスキルは無く、そんなことに頭を抱えている内にも天使達は無惨にも薙ぎ倒されて行っていた。


 だが、ロテぺもこのまま頭を抱えるわけにはいかなかった。門が破壊され悪魔の侵入を許してしまったという事実。いくら予想を大きく外れたことが起こったとは言え、その責任は門番としての自分にある。この責任感が、幸か不幸か自分では絶対に勝てない敵に挑む力を生んだ。


 ロテぺは物陰から飛び出すと、一番近くにいたフルシアンテに向かって頭突きを決めようとした。その顔には死んでもいいと言う覚悟と恐怖の涙が現れていた。


 「あ”?」


 頭突きを決めようと向かってきたロテぺの頭をフルシアンテは軽々とキャッチした。


 「なんだオメェ?赤ん坊じゃねぇか?」

 「違います。門番のロテぺです。」

 「門番?あぁ〜、じゃあお前がここの責任者というわけか…でもなんだ?お前じゃ俺たちには到底勝てないぞ?それでもなんで挑んできた?帰ってお布団に包まっててもよかったのに。」

 「私には責任があるんですよ…このような失態を犯してしまった責任が!!だから、その責任を取るためn「うるせぇな。」


 フルシアンテは掴んでいたロテぺの頭から魔力を流し、首から下の体を粉々の肉片にしてしまった。


 「う…うぅぅ…」


 下半身が無くなり首から血が下に流れた。ロテぺはなんとか痛みの声を上げるのを抑えた。これでもし大声で鳴けば、この目の前にいる悪魔に愉悦を与えることになると思ったからだ。目から血が流れ出始めていたがロテぺはなんとか意地で耐えた。


 「回復ぐらいはできるだろ?門番任されるぐらいなんだから。」


 ロテぺは痛みを我慢し、なんとか再生したと思ったら、その腹目掛けてフルシアンテは一発打撃を加え、ロテぺはその衝撃で地面にバウンドして、少し遠くに血を流しながら倒れた。


 「はぁ、第二形態なきゃダメな弱さだな、まったく。」


 フルシアンテは呆れ顔でゆっくりとロテぺに寄って行った。そして、またロテぺの頭を握って掴み上げた。


 「お前が門番なんて肩書を持っていても、ナールガとの勝負ではポイントにしかならん。手こずってるだけ時間の無駄だ。じゃあな、責任感じて死んどけ。」


 フルシアンテがロテぺの全身に魔力を送り、今度こそ全身を粉々にしようとした次の瞬間、後ろからフルシアンテの頭に光の矢が貫き達と、フルシアンテの頭を粉々に吹き飛ばした。

 頭を吹き飛ばされたフルシアンテは首から血を吹き出し、その場にばたりと倒れ込んだ。ロテぺは急いでフルシアンテから距離をとった。


 「はぁ…はぁ…はぁ…」


 ロテぺは絶対に死ぬと思っていたが何故か生還できたことに疑問を浮かべると、その目線の先からか、いい意味で異色を放つ、4人の悪魔が空から現れた。


 「…!来てくださいましたか!『ミカエル親衛隊』の4名方。」


 この4人こそ、ミカエルが派遣した『ミカエル親衛隊』の4人だった。


 「門番・ロテぺ。この場は我々が主導する。しかと、安心せよ。」


 その中でもリーダーのオーラを放つ天使が周囲の天使達に安心を告げた。その天使はつけていた四角い眼鏡を中指でクイッっと上にあげた。190cm後半はあるであろう背。その身長に対しても明らかに長い手足。着飾らないそれでいて塩気の多い無駄のないイケメンフェイス。それを白スーツと白いマントに身を包んでいた。


 この天使こそ『ミカエル親衛隊・主席』エクリエルだった。


 ーー終ーー


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