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DeViL 悪魔生転物語  作者: オクラ
 7章 『次なる王』 ー五芒星の過去ー
132/208

 126 天界襲撃


 ーー過去ーー


 地獄・???


 「『天界襲撃』だ!!」


 辺りにはヒュ〜という風の音だけが流れた。


 「え!テンション上がんないの!!上がると思ったんだけど…」

 「いや…だってよぉ…いきなりすg「やろう。」


 A2がいきなり展開襲撃なんて言い出すからフルシアンテは驚いて言葉が出なかった。だが、この提案にナールガが早々に乗ってきた。


 「おいおい、ナールガ随分と乗り気じゃねぇか。でもよぉ、いくら最強の5人とは言え、目的がないんじゃそもそも行く意味がねぇ。」

 「僕もそう思う。せっかくの命をいきなり棒に振るのはいただけない。」

 「フフフフッ…では、目的を作るとしよう。ナールガ、案を。」

 「俺かよ…だが、ちょうどいいのを思いついた。」

 「なになに〜?」

 「サタンの封印部位を奪う。」

 「ハハハハハ!!私も実は同じことを思っていたんだ!気が合うねぇ、私たちは。」


 A2とナールガは顔をアイコンタクトを取った。


 「ふんっ。な〜にを言い出すかと思えば無理だ。ハッキリ言って。」

 「う〜ん。僕もそう思うかな。」


 フルシアンテとキキガノは否定的な立場を取った。


 「そもそも、地獄の門(ヘルズドア)の突破が不可能だ。天国側の許可がないとそもそも開かない。それに封印部位を探し回っていてはそのうちに落とされてお陀仏の可能性もある。」

 「それこそ、命を棒に振るのと変わらない。」

 「ハハハ!!大丈夫大丈夫。地獄の扉(ヘルズドア)なんて私が破壊して仕舞えばいい。それに大きな山を落とした方が面白いじゃないか?自分たちと釣り合う敵はもう地獄にはいないかも知れない。ならば、場所を移そう。天界にその可能性ごと移すんだ。」

 「2人とも!やるだけやってみよぉ〜〜。大丈夫だよ。私たち『超最強』なんだから!!」

 「う〜ん。」

 「まぁ、ご飯にしようか。腹が減っては頭も動かない。」


 A2はすぐ隣にワープホールを作り出すと、5人はその中に入りA2行きつけのレストランに到着した。


 ーーーーー


 「美味ぇな料理は。」

 「一体、普段は何を食べていたんだ?フルシアンテ。」

 「野生の肉を焼いて食ってる。」

 「サバイバルチックねぇ。品がない。」

 「なんだと!ラズロ!!」

 「こらこら、2人とも噛みつき合わないでくれ。」


 5人はレストランに入ると円卓を囲んでご飯を食べていた。

 その量と言ったらお店の食料がなくなるのではないかと思ってしまうほどで、A2、ラズロ、キキガノは動いた後という理由で普通より多いぐらい食べていたが、ナールガとフルシアンテの食べる量は超異次元。皿ごと食べてしまうほどの食欲。フルシアンテに関してはたまにガリっという音と共に皿を食べていたが。食欲もさることながら吸引力も桁違い。これでは美味しいかどうかなんてのはわからない程の速度で飲み込んでいた。


 「で?A2どうするの?私は行く気満々だけど☆」


 この場で天界襲撃に賛成の意を示すのは、変わらずA2、ナールガ、ラズロの3人だった、


 「どうする?2人とも?」

 「はぁ、飯食ったら気分変わったわ。いいぜ。その話乗ってやる。無理だなんだでやらねぇのはちと違う気がしてきたしなぁ。」


 腹も膨れ、フルシアンテは再度冷静に検討を始めると、話として面白みがある事を認め、天界襲撃に賛成の立場をとった。


 「おほ〜、素晴らしい。」

 「キキガノはどうするの?」

 「う〜ん。みんなが行くなら行った方がいいよね。僕、天界に少し土地勘があるんだ。」

 「ほう?どうして?行ったことがあるのかい?」

 「第二次天魔戦争の時にね。」

 「あれ?天界に行ったのは4人と聞いているが?」

 「僕の魔術にかかれば、天使になりきることだって容易い。天使になりきって天界に行ったってわけ。だからこそ行きたく無かったんだ。性懲りもなくまた天界にいけば捕まるかも知れないし。」


 まさかの衝撃の事実。第二次天魔戦争時、キキガノは天界に赴いていたらしい。


 「でも、驚きだなぁ。なんで行ったんだい?」

 「『サタンの頭部』の奪還計画を聞き、4人で行くというのを聞いた時からなんとなく無理な気はしてた。それに地獄もサタンを失って数百年…もっとかな?まぁいい。悪魔たちは元気がなさそうだったからね。エンターテイナーとして皆を元気ずけるためにも頑張ったという経緯だ。」

 「で?お前は何したんだ、エンターテイナーさん?傍観したってわけでもないんだろ?」

 

 キキガノは右手を天井に向け手の甲を見て話した。


 「今思えば僕は悪いことをしてしまった。彼女に開いた穴をのぞいてわかったが、彼女の心にはその1人しか埋められない穴があったんだ。」


 神妙な顔をしてよくわからないことを述べるキキガノにラズロとフルシアンテはヒソヒソ声で喋ってバカにした。


 「話の芯が見えんな。早く話せ。」

 「ガブリエルを知っているか?」

 「もちろんだ。」

 「僕は彼女を利用して第二次天魔戦争中混乱を起こしたんだ。その結果、暴れたガブリエルの制御に多くの戦力を費やすことになり結果、オーラムサイトたちはミカエルの『水晶結界』から『サタンの頭部』を盗み出すことに成功したわけだ。」

 「ガブリエルの反乱は君がやったのかキキガノ。」

 「やるなぁ、お前。」

 「でも、なぜそれをやったんだい?内容が気になるなぁ。教えてもらっても?」

 「いいよ。流石の僕でも天使軍に向かって突っ込んだところで勝算なんてあるわけもなく。仲間がいるわけでもない。それでも『サタンの頭部』を奪うこと決めたからにはを遂行しなくてはいけない。色々考えた結果、ガブリエルを利用したというわけ。確かどこかの情報筋からガブリエルの精神が不安定であると聞かされていたから利用するにはもってこいだと思った。そして、なんとか魔術を駆使してガブリエルに接触することができた。」


 キキガノは天井に向けていた手を握った。


 「そこでやめておけばよかった。彼女は廃人だった。ひどく痩せていて、肌も不健康に薄い色となり、光の灯っていない目からは涙が延々と流れていた。半開きの口からは時折、誰かを呼んでいるようだったが、それが誰を呼んでいるのかはわからなかった。その当時の僕は青かった。だから弱ったガブリエルに付け入るのは簡単だと思い、仲間である、ミカエル、ラファエルなどの虚像を作って揺さぶった。だが、どれにも反応することはなくブツブツと誰かを呼んでいるだけだった。僕はここでまだ1人、試していない人物がいることに気づいた。その選択こそが浅はかな行為だった。その者の虚像を目にした途端、ガブリエルは異常なほどの執着を見せた。並大抵の執着ではない。笑いながら涙を流して抱きついた。それを見ていると何故か体が竦んでしまった。これ以上の虚像と付き合わせるのは危険だと思った僕は、急いで虚像を消した。すると、ガブリエルは本物だと思っていた者が消えた喪失感から暴走を始めた。その結果、天使軍は暴走したガブリエルの制御に時間と人員をさかなくてはいけなくなったわけだ。」


 いつの間にか全員が食事の手を止めて聞いていた。無理もない。衝撃の初出し情報を聞かされては当然と言えば当然の反応ではあった。


 「ちなみに、その作った虚像ってのは誰だ?」

 「サタン…いやルシファーと言う方がこの場合適切かな?あの様子から少なくともガブリエルはルシファーを尊敬し、好意を持っていたのは確実。だから、ルシファーが堕天して敵することに心が耐えられなくなり、廃人になってしまったと言うわけだろう。」

 「なるほど。」

 「それともう一つ、伝わってない事実があることを言っておくよ。」

 「なんだそれ?」

 「ミカエルの『水晶結界』から『サタンの頭部』を奪った。これは紛れもない事実だったが内容が少々伝わっているものとは違ってね。あたかもオーラムサイトたちが『水晶結界』をこじ開け、奪ったように伝わっているが、本当のところは、『水晶結界』を破壊し『サタンの頭部』をオーラムサイトたちに渡した天使がいたんだ。」

 「天使?天使がミカエルの『水晶結界』を破壊したってのか?」

 「A2、聞いたことあるか?」

 「初耳だ。何故そんなことが起こっていながら情報になっていないんだろうか。」

 「その天使の処遇はもちろんミカエル管轄下での厳重な拘束だ。それにこのことはミカエル、ミカエル親衛隊によって、超特禁事項とされている。要は消されたと言うことだ。」


 『超特禁事項』

 超特別禁止事項の略であり、主に天界に関わるイメージ、威厳を損ねてしまう可能性が高い事件のことである。この認定には天界で起こった事件の管轄領域内で複数回の協議を重ねることで認定される。今回の『()()()()使()』の『水晶結界』破壊の事件はミカエル管轄領域で起こった事件であり、ミカエルが協議を待たず『超特禁事項』を下した稀有な例である。

 

 「で?その天使ってのは?」

 「『元ガブリエル親衛隊・主席』にして、天使長に最も近いと呼ばれた天使。波乱の元凶・レボリエル。彼女のおかげで『サタンの頭部』を奪取できたと言っても過言ではない。」


 どうやら、『サタンの頭部』の強奪に際してレボリエルと呼ばれる天使が深く関わっていたらしい…


 ーー終ーー


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