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DeViL 悪魔生転物語  作者: オクラ
 7章 『次なる王』 ー五芒星の過去ー
125/209

 119 ラズロとフルシアンテ

 

 地獄・???


 今日は読みかけの本を読む予定だったエクサーは、相当のスピードで空を掻き分け、A2の送ってきた座標に向かって行った。


 こうやって飛んでいると実感する。地獄はまだ未開拓の地が多い。というか、発展している場所としていない場所がハッキリしすぎている。

 今、エクサーが下を向けば、真下は鬱蒼とした森。パッと見、誰も足を踏み入れてはいなかった。


 「ん?」


 エクサーはまだ見えないこの先に異様な量の魔力があると薄らと感じ始めた。

 

 この先にあるのは、A2から送られてきた座標地点。

 つまりは、その異様な量の魔力の発生源はフルシアンテとラズロという悪魔のことだった。


 エクサーは少し緊張を覚えたが、行かないと終わらないためエクサーはさらにスピードを上げた。


 ーーーーー


 地獄・バステカン城


 エクサーは森の中に不自然と開けた草原に建つ城を見つけた。

 ここがA2に言われた座標地点『バステカン城』だった。


 エクサーが草原に足をつけ、バステカン城の前に近づいて行ったその時。


 ドカーーーン!!


 城の最上階が爆発。巻き上がった黒煙の中から男女2人の悪魔が飛び出してきた。


 「ヒャハハハ!!ごめん、ごめんて、フルシアンテ。許してってぇ〜。」

 「ラズロ!これで13回目だぞ!」


 この2人がラズロとフルシアンテだった。

 

 ラズロ 

 少し幼さの残る女の悪魔。薄い桃色の髪の毛の右側を三つ編みにまとめた髪型。


 フルシアンテ

 眼力の強い男の悪魔。灰色の短髪に首元にタトゥーを入れた少し皺の目立ち始めた悪魔。


 「待てぇぇぇ!!」

 

 どうやら2人はプチ喧中のようで、追いかけてくるフルシアンテから猛スピードで逃げ回っていた。


 「謝ってるでしょ〜〜。」

 「くっ飛ばしてやる!!」

 「ちょっと、危ないって〜。」


 フルシアンテは逃げるラズロに我慢の限界に達し、攻撃を始めた。


 「えぇぇ…」


 エクサーの目に広がるフルシアンテの魔法の数々。その攻撃の一つ一つが圧倒的規模で、もしこの攻撃が空中でなく、地面で行われていたら地形が変形するどころの騒ぎでは無い威力だった。


 「待てぇぇ!!!!!!」


 フルシアンテは爆破の限りを尽くし、空という空を超強力な爆破で埋め尽くした。

 この間を器用に縫って避けるラズロ。すると、ラズロいきなり急旋回をして、フルシアンテに向かって突っ込むと、蹴り飛ばした。


 「ナイッシューーーー!!!!ヒャハハハハ!!」


 ラズロはフルシアンテに決まった蹴りを空中で転げ回るようにして喜び、笑った。


 「こんのっ…あ”あ”あ”あ”ぁ!!」


 すると、蹴り飛ばされたフルシアンテは、怒りの限界に達し、圧倒的量の魔力を放出。その勢いは地面を抉るほどの量で、遠くにいたエクサーとラズロもそれを直に感じた。

 ラズロは本気になり始めたフルシアンテが嬉しくて、さらに笑い転げ回った。


 フルシアンテは流星の如く、ラズロまで突っ込んでいった。

 

 バリバリバリッ!!


 「いやぁん、危ない〜。」

 「チッ!!」


 スピードに乗せたフルシアンテの拳は、ギリギリのところで『バリア』を展開したラズロに止められた。


 「レディに失礼しちゃうわ〜。でも、私はね、そういうの…嫌いじゃない☆」


 『バリア』を解除したラズロは、一瞬で体勢を変えフルシアンテにアッパーを決めた。


 そこからの戦闘は圧巻だった。エクサーはいかに今までしてきた、見てきた戦いが生ぬるいかを思い知った。本当に規模がおかしい。今、あの場に自分がいたら1秒も経たずに消し飛んでしまう気すらした。

 

 「…す、すごい。」


 エクサーから思わず言葉が漏れた。


 「「!!!」」


 と、2人の攻撃の手が止んだ。

 そして、2人はエクサーを見つけると、目の前に『ワープ』してきた。


 「あなたね、A2のお使いを頼まれた子って!!」


 ラズロはエクサーを見るや否や手を握ってブンブンと振った。


 「やめてやれ、ラズロ。」

 「はいは〜い。」


 ラズロは身なりを整えた。


 「私の名前はラズロ!そして隣が…「フルシアンテだ。」

 「エクサーです。」

 「まぁ、なんだ。中で話でもするか。」

 「じゃあ、私お茶入れる〜。」


 そう言ってラズロはとんでもないスピードで城の中に飛んで行った。


 「アイツは…まぁいい。ついてこい。」

 「はい。」


 ーーーーー


 フルシアンテとエクサーの2人は、城の中の一室に座っていた。


 「ところで、A2は何やってんだ?」

 「あれ?知らないんですか?」

 「A2の代わりにエクサーが本を取りに来るとしか聞いてない。」

 「今、A2、ミカエルの部下(?)に天界に連れて行かれました。」

 「は?なんで?」

 「少し前に2人で人間界に行ったんです。」

 「あぁ〜〜、バカが。何考えてんだ、そりゃあミカエルも怒るっつーの。」


 フルシアンテは足を組みながら体を背もたれにだらーんと寄りかかりながら座り、天井を見ながらヤレヤレといった顔をした。


 バタンッ!!


 「おっまたせぇぇ〜〜!!!」


 すると、ラズロが扉が壊れるんじゃないかと思う勢いで扉を開けて部屋に入ってきた。

 そして、持ってきたティーカップの乗ったお盆を机にドンッと置いた。


 「優しく置け。」

 「はいは〜い。」


 ラズロはカップに紅茶を注いだ。だが、これがまた雑だった。

 なぜか高いところから勢いよく注がれる紅茶。当たり前のように周りに飛沫が飛び散り、この様子にフルシアンテは言葉こそ話さないものの、眉間をピクピクと動かしていた。

 普段から、フォルテやピアノの注ぎ方を見ているエクサーが見たラズロの注ぎ方は、ハッキリ言って下手くそだった。

 

 そして、ラズロは注いだ紅茶をフルシアンテの前に置いた。


 「熱ぁ!!!」


 ラズロの持ってきた紅茶は、フルシアンテが驚いて吹き出すほどに高温だった。


 「おまっ、どんだけ沸騰させたんだ!!!」

 「そんなにじゃない?魔法でちょちょいって感じ〜〜。」

 

 エクサーはラズロの置いたカップの水面に映る自分の顔を見て、もう少し時間を置くことを決めた。


 「まぁいい。おい、ラズロ。今、A2のヤツ、天界にいるらしいぞ。」

 「えぇ〜!な〜にしたのよ〜、一体。」

 「エクサーと人間界に行ったらしい。」

 「バッカじゃなの、全く〜。でも、どうして、エクサーと人間界に行ったの?」

 「あぁ〜〜〜…」


 エクサーはこの問いに2人から目線を逸らした。


 「おやおや〜?何か隠しているねぇ、君君〜。」


 ラズロは露骨に目線を逸らしたエクサーに何か隠し事があることを一瞬で見破った。そして、座っていた椅子から身を乗り出し、エクサーのほっぺたをツンツンしながら問いた。


 「やめとけ、ラズロ。どうせ、エクサーが人間だっていうオチだろ。」

 「あぁ〜、この子が。」

 

 フルシアンテにはエクサーが人間だったことは薄々勘付かれてたらしい。ということで、エクサーは開き直った。


 「知ってたんですね。」

 「まぁ、知ってたというか、その可能性が一番高かったって話をあたかも知っているように言っただけだ。お前の反応からするに、今、確定の域に入ったがな。」

 「確か、結構前よね。A2が人間が悪魔になったぞ!とか会った時に言ってたけど、エクサーがそうなのぉ〜。詳細を全然教えてくれないから、嘘なのかと思ったわ。」


 ラズロはエクサーの頭を超高速でよしよしした。


 「A2、よくここに来てるんですか?」

 「う〜ん。不定期だな。来る時はかなり来るが、来ない時は全く来ない。」

 「確か、五芒星(ペンタグラム)だったんですよね?」

 「あぁ、まぁ振り返ってみれば一瞬も一瞬だったけどな。」

 「楽しかったなぁ〜、なんて言ったっけ?えくすたしー?ってヤツを最高に感じたわぁ。」

 「単純に気になったので、聞いてもいいですか、何があったのか。」

 「聞きたい〜?いいよ〜〜。」

 「あの頃の私たちは飽き飽きしてたわ、地獄というものに…」


 ラズロは五芒星(ペンタグラム)が何を起こしたのか、その全貌を語り始めた。


 ーー終ーー



 なんで、2人が戦ったのかって理由をここに書いときます。

 この2人、一緒にバステカン城に住んでるんですが、1週間のうち1回、ラズロが家事をやりたがります。というか勝手にやります。その結果、火事になったり、途中で放置したり、水浸しになったりとそこそこの量のトラブルが発生するので、1週間に一回のイベントって感じです。

 

 ちなみに、この2人はA2以下ぐらいで強いです。

 ほとんどの悪魔は戦ったら負けます。

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