11 決闘の約束
友達もでき、上々の滑り出しをしたエクサー。楽しい学校生活のスタートと思った矢先、その後ろをつける謎の影その正体とは。
地獄・トバルカイン魔法学校
翌日、エクサーは学校生活2日目を迎えていた。今日も環境の授業があるので、クーとドラギナと途中で中庭で合流して一緒に教室に行こうという話になっていた。
まだ緊張は抜けきっていないが、クーとドラギナと会うことがかなり楽しみだった。
授業が終わり、早く合流したかったエクサーは、足早に中庭に向かった。
地獄・トバルカイン魔法学校(中庭)
中庭はみんなの溜まり場になっていて、いつ行っても大賑わいだった。エクサーは一番乗りだったらしく、目立つ場所を探した結果、噴水の縁に座っていることにした。
「いっくぞーーーーー!」
掛け声と同時に花火を打ち上げ、それを見て皆が拍手をしていた。
このなんでもしていいと言う自由がエクサーにとっては内心、心地よかった。
「隣、失礼するよ。」
エクサーの隣にカップルが座ってきた。
「僕の名前はラーバル。君、人間だったんだって?」
「!?」
エクサーはまさかの不意打ちに思わず驚いてしまった。
「その様子じゃ、図星か。」
「どこから情報を?」
エクサーが人間だったことは、ドラギナとクーの3人の秘密だった。つまり、2人のどちらかがバラしたことになる。エクサーは気になってしまった。
「昨日、あんなに大きな声で廊下で喋っていて、他に聞かれていないとでも?」
エクサーは、あ〜と言う声を出し、しまったと言わんばかりに、右手を額に当てた。
「あのぉ〜、他には黙っててもらえません?」
「嫌だね。なぁ、レノ〜。」
「私も〜そう思うわ〜。」
「コイツはレノ。僕の彼女だ。」
「ちょっと〜、コイツって言わないで。」
「ごめんごめん。」
エクサーは目の前でイチャイチャされて、一体何を見せられているのかと言う顔になった。
「おっと、話を戻そう。もし、君が言わないでほしいと言うのなら、僕と決闘をしてもらおうか?」
「決闘?」
「勝者が、一方的に敗者に要求を押し付ける。いいだろ?」
エクサーは自信がなかった。いきなり決闘なんて、それにラーバルは自信からして負けるとも絶対に思っていないし、明らかにラーバルの方が年上、負ける要素しか思い浮かばなかった。
「どうする?」
ニヤニヤして2人はこちらを見ていた。エクサーはそれに腹が立ってしまい、思わず、決闘を受けてしまった。
「では、昼休みの後、東棟屋上で待つよ。せいぜい努力することだね。」
ラーバルとレノの2人は捨て台詞を吐きこの場を去っていった。それと入れ替わるようにクーとドラギナが来た。
「エクサー、どうしたです?」
「いやぁ、昼休みの後、決闘することになったんだ。」
「えぇ〜〜〜!誰とです?誰とですか?」
「ラーバルって奴。」
「あぁ、あいつか。」
「知ってるの?」
「初心者狩りで有名なんだ。」
「嫌な奴ってことだね。」
「学校では結構有名です。」
「実際、奴の階級はエメラルド上位。俺たちよりは上ってことだ。」
入学したばかりの3人の階級はエメラルド下位。階級1つとはいえ、最近入学したばかりのエクサーにとって順当にいけば、その差は他よりも大きいことは明白だった。
「とりあえず、授業に行こう。」
空き時間に決闘について考えるとして、しっかりと授業を受けることにした。
ーーーーー
翌日
「エクサー、腹括ったですか?」
「う、う〜ん。まぁ。」
「心配です〜。まだエクサーは学校2日目ですよ。負けちゃうです〜。」
「まだ負けるとは決まってないし、相手のことも知らないし、もしかしたらにかけるよ。」
「俺がやろうか?」
「いや、僕の話だ。僕がやる。」
「あぁ〜、心配です〜。」
こんなことを話しながらも、一歩また一歩と東棟屋上にエクサーたちは近づいていた。
ーーーーー
「ここです。」
3人はある大きな扉の前にいた。
「これを開けたら屋上です。エクサー、準備はいいですか?」
「ここまで来ちゃったしねぇ。とりあえずやるしかない。」
エクサーは大きな扉に手をかけ、勢いよく開いた。
その先には決闘のためのステージとそれを囲うように生徒たちが入り浸っていた。
「おぉ、来たぞ。」
1人の悪魔がエクサーに気づくと、全員の視線はエクサーに集まり、歓声が上がった。
「うるせぇなぁ。」
ドラギナは歓声に苛立ちを見せ、クーは大きな声と多くの視線にビビりドラギナの後ろに隠れた。
「おい、あれ、ドラギナだろ。」
「あれかイフリートの。こえぇ〜。」
少なからず、皆の意識はドラギナに向いていた。
エクサーは1人でステージに向かって歩き出した。エクサーには謎のやる気があった。きっと持ち前の好奇心から生まれた、やってみることへのワクワクだとエクサーは自己解釈をした。
ステージの先ではラーバルが待っていた。
「来たな、エクサー。」
「まぁ、やるって言っちゃいましたし。」
「ルールは、どちらかが戦闘不能になるまで、いいかい?」
「OK。」
「では、白の線の上に立ってくれ。」
エクサーとラーバルの2人はステージの上に引かれた白線の上に立った。
すると、ステージの上にラーバルの知り合いであろうジャッジマンがステージに上がってきた。
「構え!」
ラーバルは構えた。エクサーは構えなんて知らないので、適当なポーズをとった。
「始め!」
ジャッジマンの言葉と共に決闘が始まった。
ーー終ーー
言い忘れてましたね。なんで名前がA2、F,D、S,B、なのかと言うことについてです。そもそもこの名前は地獄の中ではイレギュラーです。みんな普通に名前があります。この名前は、英語の頭文字です。名前は一応、英語の形容詞+英語名詞になっています。素早い猫という名前だったら、Quick Cat=QCと呼ばれます。こういう原理です。