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DeViL 悪魔生転物語  作者: オクラ
 6章 『宣戦のエクソシスト』
119/209

 114 再会

 

 地獄・???


 A2に連れて行かれたエクサーは名もなき荒野に来ていた。


 「よし!行こう!」

 「準備はできたかい?」

 「うん。」


 エクサーは久々の人間界ということでワクワクしていた。

 最高瞬間ワクワク度を測れるのであれば、マザーシップの時よりも高いかもしれなかった。


 「でも、どうやっていくの?」

 「こうやっていくのさ!」


 A2が空に両手を上げると、A2の下に魔法陣が現れた。


 「エクサー、少し離れていてくれ。」

 「わかった。」


 エクサーは数歩後ろに下がると、今から何が起こるのかを固唾を飲んで見守った。


 魔法陣からふわふわとした、たんぽぽの綿毛のような赤黒い何かが空に向かって次々と登っていった。

 それが一定数集まった途端、心臓がキュっとなるような衝撃が一瞬走った。

 そして、空には大きな目の魔法陣が出来上がると、そこに向かってフィンガースナップを1回鳴らすと、赤黒い綿のようなものが魔法陣として衝突すると、地面を破るほどの凄まじい衝撃波が生まれ、空に見覚えのある禍々しい入り口ができた。


 「A2〜!あれって僕が地獄(こっち)にくる時に通ってきたやつ〜〜?」

 「そうだよ〜。」

 「どうやって行くの〜〜?」

 「こうやって。」


 すると、エクサーはいきなり上に吸い込まれる感覚を覚えた。

 上にあるものといえば、人間界へ行くためのゲート。A2とエクサーはされるがまま、ゲートへと吸い込まれて行き、2人を飲みこんだゲートは静かに門を閉じた。


 ーーーーー

 

 人間界・サンタモル孤児院


 「わ〜〜〜〜〜ぉ!!!」


 エクサーは見事に顔面から着地した。

 ゲートの中はまるで洗濯機。A2はなんともないようだったが、エクサーには大変な一瞬だった。


 「痛った〜。」


 エクサーはどこかで見たことある着地の仕方をして初めて地獄に来た時をフラッシュバックした。


 着地したのは孤児院の後ろにある森の中。風は普段よりも少し強く木漏れ日が心地いい。何よりも地獄は基本的に夜で真っ暗なので、太陽の明るさになんとも感動させられた。


 「エクサー、行くよ。」

 「分かった!」


 エクサーは立ち上がったが、体に違和感があった。

 体が少し重いのだ。

 動けない…ほどでもなかったが違和感があるくらいには重かった。


 「A2。体重いんだけど。」

 「あぁ、地獄は人間界に比べて少し軽いからね。」


 どうやら地獄は人間界に比べて重力が弱いようだった。


 「ほら、行くよ。」


 エクサーは少し先を歩くA2について行った。


 ーーーーー


 「あ!ティニーだ!」


 エクサーは孤児院の花壇に水をあげるティニーを見つけた。

 A2とエクサーは近くの植木に隠れながらティニーの様子を観察していた。


 「彼女?」

 「幼馴染!」

 「な〜〜んだ。」


 ティニーは大きくなっていた。それはエクサーも同じことだったが、他人の変化の方が際立って見えるのは摂理のようなものなのだろう。


 「なんで行かないの?」

 「き、緊張するじゃん。久しぶりだと。」

 「わからん。人間は訳がわからん。」


 すると、シスターたちが子供たちに声をかけ、子どもたちは孤児院に帰って行き始めた。

 ティニーも例外ではなく、水やりをやめて帰ろうとし始めた。

 

 なかなかティニーに話しかけるのに踏み込めないエクサーを焦ったく感じたA2は思い切ってエクサーを押した。


 「ちょ、A2!なにやって…あっ!」


 いきなり押してきたA2に文句言ってやろうと思ったエクサーが大きな声を出したところ。これではティニーに気づかれてしまうと思って焦ったが、そんなものはもう手遅れだった。


 エクサーとティニーは見つめあった。


 エクサーは何を話せばいいかを考えるために頭をフル回転させるエクサー。

 ティニーはゆっくりとこちらに近づいてきた。

 そして、何をされるかと思ったら勢いよくビンタされた。


 「ブヘッ!」


 喰らう準備が整っていなかったとは言え、なかなかのビンタをお見舞いされたエクサーはぶっ倒れた。


 「あらら〜、修羅場ってヤツかしら。」

 

 この様子を見たA2はニヤニヤしていた。


 「痛った〜〜。」

 「ごめんなさい。エクサー。私…私あなただとは…現実じゃないと思って。」


 ティニーはすぐにエクサーを立ち上がらせた。


 「いいよ。いいよ。久しぶりだね、ティニー。」


 エクサーの挨拶に現実であると確証を持ったティニーは目に涙を浮かべた。 

 そしてエクサーに抱きついた。


 「エクサー…エクサー…」


 この2人の様子をまるで母親のような面をして見ていたA2は急にどこかに消えていった。


 ーー終ーー

 

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