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DeViL 悪魔生転物語  作者: オクラ
 5章 『マザーシップ』
114/208

 110 黒い液体生物


 地獄・マザーシップ(特設フロア)


 「ぐあ”あ”あ”あ”ぁぁぁぁぁ!!!!」


 『アレクトーン』を基礎に、クー、ドラギナ、エクサーで作った槍はボーパロットに直撃するとボーパロットは爆発した。


 「やったな。」

 「やったです。」


 3人は確かな手応えを感じた。


 「ぐあ”あ”あ”ぁ!!」

 

 ボーパロットは3人の合技からなんとか立ち上がると、鬼の形相で3人の方を見た。

 

 「舐めやがってぇぇぇぇぇ!!」


 ボーパロットは再度、攻撃を繰り出そうとした。


 「最大、最高の出力でお前らを消し飛ばしてくれる!!」


 4人にここまで攻撃をされたボーパロットのプライドは大きく傷つけられていた。ここまでくれば怒りも上限を優位に突破し、攻撃の原動力は100%に近い怒りになっていた。その原動力で溢れ出した魔力は悍ましさをさらに肥大化させた。

 フォルテは3人に駆け寄った。


 「危険!逃げるよ!」


 フォルテはボーパロットの様子にいち早く危機感を覚えた。その言葉を聞いた3人も少し遅れて危機感に気づき、逃げようとした。


 「無駄だ!逃げ先も潰す程の攻撃で潰してくれるわ!!」


 ボーパロットは4人の逃げ先の全てを覆い被す様な魔力砲を放とうとした。


 ドロッ


 が、魔力砲を話そうとしたその瞬間、ボーパロットの両腕は、溶けた蝋燭の様に地面に溶け落ちた。


 「なんだぁぁ?」


 これにはボーパロットも予想外の現象だったようだ。

 ボーパロットはまず回復魔法を使い両腕を治そうとしたが、回復魔法は両腕に作用しなかった。


 「う”!う”う”ぅぅ!!」


 ボーパロットは体に気持ち悪さを覚えた。体の中で何かが動き回るような感覚。それは次第に痛みを伴い始めると、ボーパロットはその場にうずくまった。

 4人はいきなりのボーパロットの様子を見て、今がチャンスだと思った。4人は逃げる方向に向いた足をボーパロットの方に向けると、ボーパロットに向かって各々の攻撃を仕掛けた。


 「「「「!!!」」」」


 4人は攻撃をする直前で動きを止めた。なんとなくこれ以上、進んではいけないという野生的な直感。理由は誰もわからなかったが、4人全員が同時に動きを止めると言うこの現象は意味があることだった。

 

 ボーパロットはふらつきながら立ち上がり顔をエクサーたちの方に向けた。その顔は白目をむいていて、黒い涙を流し、ニヤッと笑っていた。


 「「「「!?」」」」


 気持ちが悪い、気色の悪いボーパロットの姿に変な汗が流れる4人。ボーパロットの体は次第に真っ黒な泥な液体を身体中から流し、人の形をした赤い目の黒い液体になった。

 

 「あ”…あ”…あ”あ”…」


 この状態のボーパロットには以前のボーパロットの様相はなく野生的だった。クーとドラギナは『黒い稲妻』こそないものの、かつてのエクサーの『魔強化暴走』に近しいものを感じていた。

 現在のボーパロットは『サタンの頭部』を吸収したことによって、強力な魔力に侵され、自身が許容できる範囲を完全に超過していたのだった。

 

 4人は逃げなければと言う考えが頭に浮かび後退りをした。


 ボーパロットは数秒、言葉にならない途切れ途切れの言葉を喋ったのち、自身の周りに多くのワープホールを出現させると、その中に自身の黒い液体を流し込んだ。

 一体、その行動にどんな意味があるのかは定かではなかったが、エクサーたちはそれを見続けることしかできなかった。


 ーーーーー


 地獄・マザーシップ(???)


 「ハハハハ!」

 

 A2は笑いながらナールガとの戦闘を楽しんでいた。一方のナールガは真面目な顔で怒りを見せながら戦っていて、2人の戦いに対する顔は対照的と言えた。

 2人の戦闘はそれ以前のエクサーたちの戦いとは完全に別次元であり、もし、ここに別の誰かがいれば確実に追いつくことが不可能なスピード感で行われていた。


 「3割でここまで楽しめるとは、やはり君は最高だ!」

 

 A2は心の底から戦いを楽しんでいた。


 高速戦闘と底から生じる圧倒的な衝撃波とエネルギーはナールガの貼った結界を歪ませた。そして、A2とナールガのある攻撃の衝突を持って、結界術は完全に崩壊した。

 そこに現れたのは広く大きな部屋だった。


 「壊れたか…」

 「無理もないね。それほど力を入れて結界を貼った様には到底思えなかった様だし。」

 「フラグセントに言われたんでな。」

 「どうする?私はまだ戦う気はあるがね。」

 「俺はようができた。」


 そう言ってナールガは姿を消した。


 「ふ〜〜ん。」


 A2は姿を消したナールガを追うことはしなかった。


 ーーーーー


 地獄・マザーシップ


 マザーシップに至るフロアにボーパロットのワープゲートが現れ、黒い液体が溢れ出ていた。

 悪魔たちは得体の知れなさに距離を置こうとしたが、ワープゲートの数と黒い液体の量が多く、時間が経てば経つほどに逃げ場と言える逃げ場は少なくなっていった。

 その中でとある1人の悪魔が好奇心で黒い液体に触れた。最初は触れてもなんともなく少し温かいお湯に触れた様な感覚だった。


 「おい!なんともないぜ!」


 特に悪影響があったわけでもなかった悪魔は、初めて得体の知れない黒い液体に触れた者として調子に乗り始めた。

 すると、次の瞬間、黒い液体はいきなり悪魔を飲み込み、他の場所にいた悪魔たちも飲み込み始めた。液体の中は底がなく、粘性が強く、もがく分だけそこへ引き込まれていった。

 次々と悪魔たちを飲み込み、凶暴性を身につけた黒い液体は、濁流のように建物すらも飲み込んで行った。

 そののち、液体は形が不安定な一つの生命体へと成った。


 この様子を見て、とある悪魔が戦う意志を示していた。

 195cmの高身長。右目にメの傷。短髪の前髪を七三に分かけた黒スーツの悪魔。

 バサラだった。

 バサラは少し緩んだ黒い手袋をキュッとフィットさせると、キリッっとした目で威圧感を放ち、全てを飲み込む黒い液体生物と睨み合った。


 バサラは背後からゆらゆら揺れる火が姿を表すと、それを手で握り『妖刀 鬼ヶ島』を握った。

 刀を鞘から抜き出し、体に任せた自然な形を構えた。


 黒い液体生物は構えをとるバサラと数秒睨み合うと、バサラに向かって進行し出した。

 バサラもほんの数秒遅れて、黒い液体生物に切り掛かった。


 バサラの太刀筋は凄まじかった。剣を握り切り進む様子はまさに鬼。一切の油断も無く、攻撃与える隙も見せず、実態がない液体を切っていった。


 だが、もちろん大きな黒い液体生物の核を捉えなくては、完全に止めるには至らない。そんなことはバサラはわかっていた。だからこそ、核を見つけるために刀を振るった。

 途絶えることのない黒い液体の攻撃。だが、バサラの振りも止まるところを知らなかった。


 そして、液体を切り刻み進んでいくバサラは、黒い液体の中の一部分に超高濃度の魔力で守られた場所を見つけた。バサラはあそこが核だと予測し、さらに踏み込みを強めた。

 黒い液体生物も核を守るために防御をするが悉くをバサラに突破され、バサラはついに核の目に前にまで辿り着いた。黒い液体生物は、最後の足掻きとして無数の手の形の触手で『バリア』を展開した。その『バリア』がなかなかに強固であり、順調に進んだバサラの足を止めた。


 ーーーーー


 黒い液体生物と交戦しているのはバサラだけではなかった。

 逃げたバーナボーとキャベラの場所にも現れていた。


 キャベラはここで一芝居打つことにした。理由は愛する夫のかっこいい姿を見たかったからだ。


 「いやぁ〜ん。転んじゃったぁ〜〜。痛ーーい(棒)。」

 

 キャベラはわざと転んでバーナボーに助けを求めた。

 流石にわざとらしくやりすぎたかと思ったキャベラだったが、バーナボーは想像以上に単純だった。


 座り込むキャベラに目をつけた黒い液体生物は、真っ先にキャベラを取り込もうとした。それを見たバーナボーは愛する妻が攻撃されると思いブチギレた。

 これにバーナボーは大激怒。『処刑人の魂』を解放し、紫の炎を右目に宿すと、2つの剣を両手で持った。

 『処刑専用武器 糸切りバサミ』双剣としての形と、くっつけることでハサミのようにして使える2種の使い方のできる武器だった。


 誰が見てもブチギレているバーナボーは怒れる獅子のように愛する妻を守るために、黒い液体生物に向かって突っ込んでいった。


 ーーーーー


 地獄・マザーシップ(特設フロア)


 得体の知れないボーパロットを4人は見つめることしかできなかった。その時、エクサーは何かの気配を感じ取った。それから1秒とたたない時が経過すると、ボーパロットの前にナールガが姿を現した。

 ナールガは前髪を上へ書き上げると、エクサーたちに一切の目を向けることはなく、ボーパロットを見つめていた。

 

 「暴走したか。まぁ無理もない。サタンのエネルギーを許容できる器をお前は持ち合わせてはいないのは明白。その結果がその様というわけだ。」


 ナールガは魔力を威圧的に放出すると、構えを取った。


 「もらうぞ。『サタンの頭部』。」


 ーー終ーー


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