102 利害の一致
マザーシップ6日目
エクサーたちは、この数日間飽きを感じさせないほどの日々を謳歌していた。少しのゴタゴタに巻き込まれつつもフォルテが守ってくれたりして満足のいく旅行だった。
たまにクーに会ったりしたが、幼いながらに仕事の手伝いが忙しいらしく、会った時には多忙の愚痴をこぼしていた。
「明日で終わりかぁ〜。あっという間だったねぇ〜。」
「うん。」
マザーシップ(水の都フロア)
建物のほとんどが水に浸り、移動はイカダを使う。美しきフロア。そこの小さなカフェでフォルテとエクサーは、ケーキと紅茶を楽しんでいた。
なんとなく何か起こる予感を感じ取っていたエクサーだったが、それも杞憂で終わりそうな予感だった。が、そう思っても消えない心の曇天。風に吹かれようとも、風に流されてもどこまでも続く雲はエクサーの心配を煽った。
「やぁやぁ、お2人とも。楽しんでいるかな?」
とそこに現れるA2。
「あっA2。楽しいよ。」
「それはよかった。」
「ところで2人とも夕食を食べてからは開けておいてくれ。きっといいものが見れるからね。」
「いいもの?」
「まぁ、お楽しみというものだ。すまない。レモンチーズケーキと紅茶を。」
A2は近くのウエイトレスに注文をした。
「この後はどうする気だい?」
「私、服欲しい〜。」
「ってことで、服を見に行こうかと。A2も来る?」
「ご一緒させてもらおうかな。」
「わかった。」
ーーーーー
「ふんふんふん。」
鼻歌を歌いながら酒を飲む、サタン信会代表・フラグセント。その元にボロい布を身に付け、顔を隠した誰かが来た。
「ん?来たか。何か飲むか?酒ならあるぞ。」
悪魔はフラグセントの言葉を一旦無視してソファに腰掛けた。
「いらない。酒は飲まないんだ。それよりか肉はないか?」
「肉?少し時間をもらうが?」
「構わん。よこせ。」
「はいはい。肉を作れるだけいただけるか?至急だ。」
フラグセントは悪魔の前に座って向き合った。
「利害の一致とはいえ、お前が協力してくれると心強いな。」
「相変わらず、偉そうだな。」
「偉いからな。」
「…」
「お前の目当ての『サタンの頭部』に宿敵『A2』。仕事はたくさんあるな。」
「チッ…アイツがいるとやりにくい。」
「互いに宿敵。ここで白黒つけるのもまた一興ではないのか?」
「そうだな。」
「王になるのだろう?私もそれを願っているのだ。なぁ、ナールガよ。」
その男の名はナールガ。A2に並び地獄では危険視されている悪魔だった。
ーー終ーー
92話の最後に出てきた肉食って月あかりに当たっていた悪魔がナールガです。
1章の後半で、ドラギナが言っていました。危険人物のミカエル、A2、ナールガ。のナールガその人です。