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DeViL 悪魔生転物語  作者: オクラ
 5章 『マザーシップ』
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 96 クー


 地獄・マザーシップ(和食エリア)


 古き良き江戸のような街並みをした食事エリア。このエリアは和食の店を中心として店を構え、木造の建物は普段エクサーが見ている洋風の建物よりも柔らかさや温かみを感じた。街に微かに香る焦げた醤油と味噌の香りは、この香りを初めて嗅ぐエクサーには、新鮮でそれでいて嫌悪感を抱く物ではなかった。


 「ここだ。」


 フォルテとエクサーのたどり着いた店は、店というか豪華な和風庭園のついた家のような場所だった。


 「これ店?」

 「多分。A2が送ってきたし。」


 2人にはこれが家にしか見えなかったが、間違いは無いようなので入ってみることにした。


 店の木門をくぐり、店の扉に続く石畳を歩くと、奥の扉が開き、着物を着た女の悪魔が出てきた。


 「これは、これは、いらっしゃいませ。お待ちしておりました。」


 物腰柔らかく出迎えてくれたのは、店の女将だった。2人は女将さんの元へ歩いていくと、玄関で靴を脱ぎ、店の中を進んで行った。


 「こちらです。」


 女将さんは、鯉の滝登りと松の描かれた襖を開けると、その先には畳の部屋が現れた。部屋には6つの座布団と食事を置くための食事台。外への襖は開かれ、そこからは綺麗な庭園が見え、ししおどしの音が聞こえた。


 「おや、2人共待っていたよ。」


 部屋の上座にはすでにA2と痩せ型に冷たい目をした知らないもう1人が座っていた。フォルテとエクサーはとりあえず座ることにした。


 「楽しんできたかい?」

 「うん。すごい広いんだ。」

 「時間はある。ゆっくり行けばいいさ。」

 「A2。そちらの方は?」

 「ん?あぁ!バーナボーのことか。紹介するよ。彼の名は、バーナボー・サンソン。F,Dの管理する最終監獄(タルタロス)の処刑人。詰まるところ、地獄の処刑人というわけだ。変なことをすれば、その場で殺されてしまうかもしれないよ?」

 「えぇ!」

 「そんなことするか。俺は正当な理由がなければ殺さない。暗殺者じゃないんだ。」

 「とのことだ。」


 F,Dが最終監獄(タルタロス)の管理をしているのはなんとなく知っていたが、そこの処刑人がいるとは聞かされていなかった。


 「ん?」


 エクサーはA2の言葉にどこか引っ掛かりを覚えた。その正体はすぐに気づいた。すると、女将さんが襖を開けると、クーとキャベラが入って来た。


 「やっぱり。」


 A2が紹介したバーナボーの名前にサンソンとついているからまさかと思ったが、そのまさかだった。


 「あれ?エクサーがいるです。」

 「あら〜、一緒だったのね。」


 このことはクーとキャベラも知らなかったようだ。


 「A2。クーと一緒なら言ってよ。」

 「まさか、友達とは知らなかったんだ。」


 キャべラはバーナボーの隣に座った。


 「あなた、久しぶりの食事ね。」

 「あぁ。」

 

 キャベラはバーナボーにグイグイと話しかけた。そういうことが嫌いそうなバーナボーも顔は嫌な顔をしていたが、どう見ても満更ではない様子だった。


 女将さんは全員が揃ったことを確認すると、料理を皆の前に運んできた。


 ーーーーー


 6人は一通り食事を済ませた。


 「へぇ〜戦えるですかぁ。」

 「そうだよ!家事もできるし戦えるし万能でしょ!」

 「ウチのメイドとは違うです。」


 クーはフォルテに興味津々だった。


 「そういえば、A2。『サタンの頭部』っていつ見れるの?」

 「いつかはわからないが、見せてくるなら最終日近くだろうね。」

 「へぇ〜。『サタンの頭部』が見れるですか。」

 「そうらしい。」

 「見れるなら見ときたいわ〜。」

 「お父さん。なんで『サタンの頭部』ってそんなに見れないですか?」

 「所有権はボーパロットにある。サタンの頭部は、ミカエルたち天使長クラスが管理する場所から盗んだ2つのうち1つだ。さらに天界でも最も強固な結界とされるミカエルの『水晶結界』から盗み出したんだ。歴史的にも価値がある物だから無闇に出して盗まれたくないんだろう。」

 「へぇ〜。よくそんなところから盗めたです。」

 「一般的には悪魔だけで盗み出したと言われがちだが、本来はそうではないらしい。ミカエルの登場で戦況が一気にひっくり返ったはずだが、ガブリエルが一悶着起こした結果、盗めたということらしい。」

 「あっ、そうなんですか。でも取り返しに来ないんですね。」

 「盗み出したと言ってもミカエルたちの封印は残り続けるから特に効力があるわけではない。それにもし、サタンを復活させるとしても頭部だけじゃ足りない。あと、左腕、右足、左足が必要だ。だから、わざわざ取りに来ることもないだろう。ここで強引に取り返しに来れば、戦争に発展しかねないしな。」

 「なるほどですね。」

 「ねぇ、気になったんだけど、盗んだもう1つはどこにあるの?」


 バーナボーの話を聞いて、頭部は盗まれたうちの1つであり、もう1つあるということにエクサーは気づいた。


 「それはコイツに聞いたほうがいいんじゃないか?」

 

 バーナボーは隣でニヤニヤしていA2に話を振った。


 ーー終ーー

 

 

 おっとここに来てキーパーソンのガブリエルさんご登場ですね。今、引きこもっしまっていることには理由があるんですねぇ。何があったんでしょう(ワクワク)

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