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マギア・リーベル  作者: 彩音
本編
7/20

07.リアとアミのいつもの日常。

 4日後。完全復活。

 リアは学校と【リーベル】に復帰した。

 本日は学校は休みなので、リアの復帰祝いでクラスメイト数名とお出掛け。

 ウィンドショッピングを楽しみ、日本ガッカリスポットのうちの1つ。

 北の大地・S市に在る時計塔の前でスマホで記念写真を撮る。

 撮り終わるとレンガ造りの旧市役所や大道公園を適当に"ぶらぶら"。大道公園を散策中に途中で見掛けた屋台のクレープ屋に寄ってクレープを買って食べて、それからカラオケ店に行って盛り上がるリア達。楽しい女子会。カラオケ店での選曲が全員アニソンなところも笑ってしまうところ。


「~~~♪」


 現在歌っているのはリア達のクラスの委員長。

 あの黒いショーツを穿いていた子。

 歳相応の顔にこの年代の女性の平均より少しだけふっくらとした身体付き。

 垂れ目で明るい茶色の瞳、黒色の肩よりも少しだけ下迄伸びたお下げの子。

 スクエア型の眼鏡がトレードマーク。


 彼女の歌は某ロボットアニメの主題歌。歌手:HIRUASOBIの曲のうちの1つ。

 リアを含めて全員がその歌のことを知っており、委員長こと佐々木 日葵に合わせて皆が軽く身体を揺らしつつ口ずさむ。

 いよいよサビに突入。……となったところで彼女達の部屋にガラの悪い3人組の男達が乱入して来た。

 良いところだったのに!! 邪魔をされたことに憤るリア。

 男達は空気なんて読まずにリア達の傍に寄って来る。

 リアと日葵を含めて女性陣は5名。日葵は立っているので、今現在席に座っているのは4名。

 男達は2人は女性陣を挟むように座り、1人は立ったまま腰をやや傾けつつリア達のことを誘いという名目の威嚇をする。


「君達女の子だけ? 俺達と一緒に遊ばない?」

「……こ、ここは私達が予約した部屋ですよ? で、出ていってください。じゃないと店員さんを呼びますから」

「あ゛っ? なんだって? 聞こえねぇな? もう一遍言ってみろや。ああ!!」

「ひっ」


 男達に委縮するリア以外の女性陣。

 リアが立ち上がり、男達を追い出そうとしたところで彼女のスマホが震えて着信を告げる。

 相手は、魔法連盟。


『こんな時に……』


 スマホを手に取るリア。

 男の1人が自分達を無視して呑気にスマホで通話をするリアを見て激高し、襲い掛かってくるが彼女は相手の方を振り向きもせずに回し蹴りを食らわして部屋の外の壁へと彼の身体を叩きつけた。


「アデリアさん、今の音は?」

「あ~、気にしないで。それで? 用件は何?」


 5名の女性陣。中でも1番弱そうな者が男を1名なんなく倒したことで固まる残りの男2人。

 リアはスマホを片手に残りの男達の元へ歩いていく。


「てめぇっ、いきなり何しやがる」


 相手は女性で、かつ中学生。そんなことは気にしない男の1人から右ストレートがリアの顔を目掛けて繰り出される。

 顔をやや傾けることで男の拳を避けるリア。

 同時に自由な右手で男の顔面にカウンター。1人目と同じ所に吹っ飛ぶ男。

 

 スマホからは完全に状況を察した声がリアに届けられる。


「アデリアさん、今って変なのに絡まれてるでしょ?」

「……虫が3匹飛んでるね。2匹は潰したから残りは1匹だよ」


 スマホからの声にリアは笑う。

 残るは1人。こういう連中は群れてないと弱い。

 1人になったらそそくさと逃げようとするが、そうは問屋が卸さない。

 逃げる男の背中をリアは全力で蹴り上げる。

 背中からの攻撃は卑怯? 武士道だとか騎士道だとかは知ったことではない。リアは武士でも騎士でもないのだから。

 片付け終了。今頃になって店員が駆け付けてくるのを横目にリアはスマホに耳を傾ける。

 スマホの通話相手。工藤 美嘉はリアが思いもよらなかったことを彼女に知らせた。


「はぁぁぁぁぁぁ? 組織の本部のコンピューターがハッキングを受けたって本気で言ってる? セキュリティは万全だって言ってたよね? 世界中のホワイトハッカーを集めて対策もバッチリだとかなんとか」

「それを超えてきた奴がいたのよ」

「はぁ……っ。それって私達と彼らの情報が外に漏れたってこと?」

「いえ、奴が盗み出したのは【リーベル】の情報だけよ。【ローゼル】については無視してるの」

「なんで私達の情報だけが?」

「それは分からないわ。兎に角情報が外に漏れたことは確かなの。この件で政府は【リーベル】を始末しようとしたけど、政府の中に入り込んでいる者にあいつらの記憶の操作をさせたから、【リーベル】が始末される心配はないわ」

「で、私達にどうしろと?」

「これから何が起こるか分からないわ。気を付けていて」

「分かった」


 通話終了。見計らったようにリアに話し掛けてくるカラオケ店の店員。


「これをやったのは貴女ですか? 過剰防衛で訴えられるかもしれません」

「こっちは中学生の女性5名。相手は成人過ぎた男3名。私がいたからなんともありませんでしたけど、いなかったら今頃どうなっていたことか。そもそも貴方達は来るのが遅すぎます」

「確かに遅くなったことは謝罪します。しかし、やりすぎです」


 リアの顔が店員の言葉で歪む。正義ごっこは余所でやって欲しい。

 顔も声も自分がヒーローになったような感じを醸し出しているが女性陣の白けた顔が目に入らないのだろうか。

 無言でいるリア。彼女を庇う為に店員に文句を言う女性陣。

 店員は文句を言われていることに驚いた顔をしているが、理由が分からないなんてバカなんだろうか。

 そのうち聴こえてくるパトカーの音。

 警察は正義ごっこの店員から話を聞いて、男達と一緒にリアも確保しようとしたが、一緒にいた女性警察官がリアを確保しようとしていた男性警察官に何かを呟くと警察官達はリアに手を触れることなく去っていった。


「……本当に何処にでもいるなぁ。うちの関係者。さっきのは女性オーガだよね」


 小さく呟くリア。何はともあれ見逃された彼女は他の女性陣の提案でカラオケ店から出て外へ。

 会計時は正義ごっこをしていた店員とは別の店員が迷惑を掛けてしまったからとリア達に1年間割引きクーポンを手渡そうとしてきたが、リアと日葵ではない別の者が「2度と来ませんから!」と拒否。

 リア達は嫌なことは忘れてそれより先は大いに遊びを楽しんだ。

 

 目の前のことに夢中になっていた彼女達は知らなかった。

 先程のカラオケ店がSNSで大炎上してしまっていることなんて。

 リア達のことは上手く隠して男達と正義ごっこの店員はモザイク無し。

 そのような形で某有名な動画サイトに上げた者がいたのだ。

 これによってカラオケ店の女性客は激減。リア達の部屋に乱入した男達と正義ごっこの店員の人生はハードモードに突入した。


**********


 夜。

 帰宅したリアを待っていたのはアミの比喩な洗礼。

 彼女も彼女の友達と出掛けていたのだが、リアと友達とはまた別の存在らしい。

 リアがマンションの自宅ドアを開けて鍵閉めなどをしっかりとし、靴を脱いで上がり(かまち)を跨いで廊下に1歩上がったら、それ迄待ち構えていたアミが抱き着いてきてリアの身体の匂いを嗅ぎ始めた。


「他の女の匂いがする」


 犬かな? ぷくっと頬を膨らませるアミにリアは何となく謝罪をする。

 本人は『別に謝罪する必要ってないのでは?』と頭では思っているものの、アミを前にすると気持ちとは別に口と身体が勝手に動いてしまうのだ。

 リアはアミに弱い。友達と遊んで解散した後で買ってきた北の大地名物の白亜の恋人、ラング・ド・シャでホワイトチョコレートを包んだ品を手渡す。

 受け取りはするアミだが、彼女の機嫌はこれくらいでは直らない。


「これで許されると思ったら間違いだからね」

「どうしたら良いか教えて?」

「まずお風呂入ろう」

「はいはい」


 裸の付き合い。2人で一緒に風呂場に向かう。

 脱衣所で服を脱いで浴場へ入室。

 かけ湯をしたら順番に互いの身体を洗いあう。

 2人共頬が紅色に染まっているのはいつものことだ。


「リアちゃんの肌って白くてきめ細かいよね」

「決して良い生活はしてなかったから、こんな風にはならない筈なんだけどね。私の体内を巡ってる光の魔法が関係してるのかな? でも膨らみとかは何もしてはくれないんだよね」

「でも手頃なサイズだと思うよ」

「ひゃっ! アミ、何処触ってるの!?」

「ごめんごめん。わざとだよ」

「そこは「わざとじゃないよ」って言うところだよ。普通」

「リアちゃんが相手だから」


 アミの悪戯で照れるリアの背中にアミは自分の頭を預ける。

 彼女の行動で自身の心臓を煩く感じるリア。

 暫くそのまま。身体が少しだけ冷えてきたら2人で浴槽に浸かる。

 1人用なのでどちらかがどちかを抱っこして浸かるスタイル。

 今回はアミがリアを抱っこしている。

 

「他の女の匂い消えたかな~?」

「今の私は柿渋ボディソープの匂いがすると思うよ」

「どれどれ」


 "ふんふん"とリアの身体を匂うアミ。

 彼女の言う通りに柿渋ボディソープの匂いがする。

 八重桜のシャンプーとトリートメントの匂いもする。


「良い匂い」

「擽ったいよ。アミ」


 2人は1時間は必ず浴場にいる。

 今回も1時間後に浴場から出て身体をバスタオルで拭いてパジャマを身に纏う。

 ドライヤーを使ってお互いがお互いの髪を乾かし終わったら自由時間。


 リアによってリビングのテーブルに用意される紅茶と白亜の恋人。

 アミが美味しそうに白亜の恋人を食べている時にリアは彼女に問い掛ける。


「機嫌直った?」

「ん~~~、リアちゃんが同衾してくれたら完璧かな」

「それっていつものことだよね?」

「リアちゃんを抱いてないと安眠出来なくて」

「まぁ私もアミの胸の中で寝ると落ち着くから異存はないけど」

「じゃあ今日もリアちゃんは抱き枕だね」

「ふと思ったけど、四季関係なく同衾してるの凄いよね。私達」

「夏でもそうだもんね」

「うん」


 夜が更けていく。

 日にちが変わる30分前に2人は寝室 兼 私室へと移動。

 このマンションは部屋が二部屋あるが2人は一緒にいることが多い為に基本どちらかの部屋しか使われない。

 今日はアミの部屋が寝室として使われる。

 2人でベッドに潜り込む。

 いつもリアが奥でアミが手前。

 用意が整ったらアミは自分の胸の中にリアの頭を抱いて寄せる。

 いつもならこのまま眠りに就くのだが、今日はいつもと違うことをしてみる。


「リアちゃん」

「ん?」

「大好きだよ」


 リアの頬にキス。彼女の顔がみるみるうちに深紅に染まっていく。

 自身も思いの外、照れ臭くて身体が熱い。


「じゃ、じゃあ今日はもう寝ようか」

「アミ、その前に顔を見せて?」

「恥ずかしいから嫌だ」

「私も見せるから」

「う~~~、じゃあせーので見せよう」

「うん」

「「せーの」」


 お互いに蕩けた瞳。"にまにま"と緩んだ顔。


「「……………おやすみなさい」」


 別の意味でお互いの顔を見続けられない。

 2人共即座に顔を背けて就寝の挨拶を済ませるが、身体の火照りと心臓の異常に早い鼓動はなかなか収まることがなく、リアとアミは意図せずに2人して夜更かしをした。

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