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マギア・リーベル  作者: 彩音
本編
3/20

03.面倒な出動要請。

 授業は進んで4時限目終了。

 待ちに待ったお昼休憩の時間。

 この学校は購買と学食があって学食のメニューは豊富でどれを食べても美味しい。

 今日はかつ丼の口。廊下を小走りに学食へ急ぐリア。

 後数歩で到着。そんな時に制服のポケットに入れていつも持ち歩いているスマホが振動する。

 リア的にどんな時でもマナーモードと低電力モードは必須事項。

 嫌な予感満載にポケットからスマホを取り出して発信者を見ると魔法連盟。


「うっ……」


 出たくない。かつ丼食べたい。葛藤するリア。

 だが無視したところでリアが電話に出る迄魔法連盟は電話を鳴らし続けるだろう。

 リアに拒否という選択肢は無い。

 仕方なくスマホを通話に操作すると聴こえてくるのは魔法連盟のお偉いさん。

 政府から【リーベル】の幹部に任命されている女性の声。

 幹部は数名いる。この女性はそのうちの1人。


「アデリアさん。S市西区で殺人事件が発生しました。大至急現場に向かってください」

「え~~~、警察じゃダメなの?」

「通常の殺人ではありません。連続無差別殺人です。ので【リーベル】案件です」

「あのさ、いつも思うけど【ローゼル】は何してるの?」

「あれ? リアさんは知らなかったんですか? 彼らは海外にいる邦人の守護と災害が発生した際の救助隊員として活動してます。【ローゼル】は海外。【リーベル】は国内の守護者ということです」

「なるほど。住み分けしてるのかぁ。……犯人は1人? もし複数なら誰か付けて欲しいな」

「アミールさんを補佐に付けます。SSS(スリーエス)死神達グリム・リーパーズの出番です」

「その呼ばれ方、あまり好きじゃないんだけどなぁ……。とりあえずこの件は了承したよ。迎えをよこしてね」

「3分で学校前に到着します」


 通話終了。断腸の思いで下駄箱へと走り、靴を履き替えて正門の前へ。

 リアが到着すると先に来ていたアミが眩いばかりの笑顔を見せる。

 彼女の顔を見て和み、微笑むリア。

 アミは自身に優しく笑んでくれるリアを見て嬉しくなり、リアの手を取って身体を彼女に寄せる。

 恋人繋ぎで行動もまるで恋人同士。

 ここは学校。苦言を呈そうかともリアは考えたが、これから騒乱の現場に向かう仲間。

 死地となる可能性もある。と考えるとアミの行動に口を出すことは憚れ、リアは何も言わずに彼女の温もりを受け入れることにした。


 3分後。秒の遅れもなく組織の車がやって来る。

 リアとアミの2人を見るとドアを開ける組織の者達。

 手は恋人繋ぎにしたまま車に乗り込むリアとアミ。

 車内にはいつもはいない珍しい人物がいた。


「あれ? 工藤さんも今日はいるの?」


 彼女は工藤 美嘉。先程リアがスマホで話をしていた人物。

 ここ北の大地、魔法連盟S市支部の支部長。

 リアに姓を呼ばれて美嘉が後ろ座席にいる2人に振り向く。

 かなり機嫌が良い。ということは、リア達には悪い知らせがあるという証。

 彼女との対面・対話に置いて彼女の機嫌の良さは【リーベル】にとって逆の[事]になる。

 顔を引き攣らせるリアとアミ。あまり面倒なことを言い出さないで欲しいなぁと2人は願うが、彼女達の願いは天には届かなかった。


「あのね、人食い樋熊も現れたらしいのよね。そ・こ・で、2人には樋熊の討伐もお願いするわね。ああ、学校については大丈夫よ。役所と同じように【リーベル】の者がいるからね」

「知ってたことだけど、本当に何処にでもいるね。うちの組織員」

「ふふんっ。実は政府内にもいるからね。あいつらは自分達こそが【リーベル】と【ローゼル】を動かしてると思ってるんでしょうけど、違うのよね。あいつらは操り人形(マリオネット)よ」

「で? 工藤さんが機嫌が良いのは政府と魔法連盟の本部から多額の報酬金が貰えたからですか?」

「そうよ。更に成功報酬も待ってるわ。期待してるわね。SSS(スリーエス)死神達グリム・リーパーズさん」


 美嘉がリアとアミの2人にウィンクをする。

 お金大好き工藤 美嘉。いつも彼女はブレない。

 リアとアミの2人は互いに顔を見合わせ、美嘉の無茶ぶりにうんざりとしながら返事をした。


「「頑張ります……」」

 最初に無差別殺人が行われている現場に到着。

 凄惨な状況。犯人は5名でいずれも男性。

 目出し帽を被っているので国籍は不明だが、体格から恐らく日本人ではないと思われる。

 車から降りるリアとアミ。犯人達は逃亡を図ろうとしているところ。

 丁度良い。アミが魔法を使用する。結界魔法。

 半円状になっていて、透明。外から見るとそこには普段と変わらない風景が広がっているように見える。

 外にいる者は結界に触れることは適わない。手を出しても空を切るだけ。

 中にいる者は触れられるが脱出は不可能。硬い壁が立ちはだかっているように感じられる。

 この結界から出るにはアミを殺すか自分達が戦闘不能になるかのどちらか二択。

 犯人達の武器は拳銃Glock G19を持っている者が4名とRemington 870を持っている者が1名。

 腰には手榴弾がベルトのように巻かれている。


 どうやって日本に入国してきたのか気になる。

 空港で絶対に引っ掛かる筈だ。なのに……。


「実際に人が亡くなってるから、サバゲー用って訳でもないよね」

「手こずりそうだね。リアちゃん」

「美嘉さんめ~。こんなの聞いてないんだけど」

「カバーは任せて」

「頼りにしてる」


 リアは異空間収納の魔法を使って魔剣グラムを取り出して握る。

 犯人達と対峙。リアに向けて一斉に武器の引き金を引く犯人達。


「貫通耐性付与、破壊耐性付与、殺気感知付与」


 結界魔法と付与魔法においてアミの右に出る者はいない。

 【リーベル】最強の支援魔導士。


 対するリアはと言えば。


「ああ、もう。鬱陶しい」


 文句を言いながらも巧みにグラムを操って犯人達の弾丸を全て真っ二つにしている。

 瞳は黄金色。魔眼を使っている最中。

 世界がスローモーションに映るようになる・嘘を見抜くことが出来るようになる。魔力の目。

 最強の目だがこれには弱点がある。30分しか持たないという弱点が。

 しかしあんまり問題じゃない。リアには他に強みがあるから。剣術と身体能力の強化という強みが。

 アミが【リーベル】最強の支援魔導士ならリアは【リーベル】最強の魔法剣聖。

 

『弾丸はどうにでもなる。問題は』


 手榴弾。斬ったら爆発してしまう。

 相手がただの殺人犯なら良い。手榴弾を使う可能性はあんまり高くない。

 だが自爆テロを狙う者達なら別だ。手榴弾を使うことに躊躇いなんてしないだろう。

 リアには目の前の者達は死兵に見える。

 ちんたらしている時間は無い。


 グラムを振るいながらリアは言霊を唱える。

 彼女を()ぶ為の言葉。


「我は求む。我と契約を結びし者を今ここへ。我が魔力を糧に顕現せよ。風と空気の妖精エアリアル」


 リアが言霊を唱え終わると彼女の目の前で起きる小さな旋毛風。

 弾丸を全て跳ね返して犯人達に怪我を負わせる。

 1分程で風は収まり、代わりに風は妖精の姿を成す。

 リアの前に現れるエアル。


 リアは彼女を背後にして走り出す。

 阿吽の呼吸。エアルはリアを援護する為に風の魔法を彼女の背中に向けて放出。

 追い風を受けてリアは犯人達の元へ簡単に辿り着く。


「「「「「~~~~~」」」」」


 犯人達が何か言っているようだが、何語か分からない。

 リア達は日本語と学校で英語しか習ってない。

 ということは、それ以外の言語。


「どうでも良いけどね」


 グラムを振るうリア。ボスらしい者の両腕を容赦なく切断する。


「~~~~!!!!!!!!!!!!!」


 痛みによって地面に倒れようとするボス。

 その前に異空間収納を発動してボスから手榴弾を没収。

 残り4名はエアルの旋毛風で利き腕に怪我を負い、武器を落としてしまっている。

 利き腕とは別の手で手榴弾を使おうとしているが、その前に拳銃諸共没収。

 後は犯人達を気絶させるだけの簡単なお仕事。

 殺してしまっても良いと魔法連盟からは言われてはいるが、そうせずに済む相手ならそうしないで終わらせたいというのがリアの思うところ。

 そうしたら魔法連盟に回収させるので、結局は処分されているのかもしれないがそこ迄は深入りはしない。


「さて……」


 現れる邪影5体。まるでヘドロの塊のような形。


〔「うわぁ……。キモっ」〕


 アミとエアルにも見えている。

 邪影2体に結界魔法を使うアミ。

 結界は少しずつ少しずつ小さくなっていって最後は邪影を圧力によって押し潰して消し去った。


「……相変わらず顔に似合わずエグいことするよね。アミって」

「そうかな~? あの人達も潰していい?」

「サイコパスかな? もうケリは付いてるんだから放置でいいよ」

「残念」

〔リアお姉ちゃん。この人怖い〕

「と言いつつエアルも2体を竜巻でぐちゃぐちゃにしたよね?」

〔てへっ〕

『アミもエアルも怖いよ。私は斬ることしか出来ないからなぁ』


 グラムを上段に構えるリア。

 剣を振り下ろしたところで外に映る景色。

 多分、人食い樋熊らしき熊がこちらに向けて駆け寄ってきている。

 タイミングを見極めて結界の一部を解除するアミ。


「あ!」


 リアのグラムが邪影諸共人食い樋熊を捉える。

 一刀両断。縦に真っ二つ。騒動は思いも寄らない形で幕を下ろした。

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