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4 仕事探しと傭兵ギルド

 やっと、衛兵の詰所から解放された……。 まずは服装を整えよう。

 さっき通ってきた、商人ギルドへ続く通りを歩くと服屋が何軒かあることは調べていたので、後は相場を知らないといけない。

 近くの屋台に行き聞き込みをする。



「おじさん! この肉串2本もらうからちょっと服屋のこと教えてください」

「あいよ! 2本で銅貨3枚だ。 で、何が聞きたいんだ。 ファッションのことならわからないぜ?」

「ここら辺の服屋で安い店は知らないですか?」

「それならここから見える『まじないの古物店』へ行くのはどうだ? 色々な古物を扱っていて服だけじゃないが、それなりにいい品をそろえていて値段も安めに設定してある」

「なるほど古物店ですか。 一度その店に行ってみます!」



 肉串の店主に挨拶をして、『まじないの古物店』に向かった。 店の入り口は木のドアがあり、看板には金貨袋と左右の矢印で服や剣が描かれている。

 古物店というのがあるとは、知らなかったのでエリックに連れられていた時には服屋だと思っていた店の1つだった。

 中に入ると、ドアベルが鳴った。



「いらっしゃいませ。 どのようなものをお探しですか?」

「服と靴が欲しいんですけど、大体どれくらいの値段ですか?」

「そうですね。 こちらにあるのでしたら服とボトムと靴の一式で大体銀貨1枚から2枚になるかな」



 店主は入り口の左側を指しながら、教えてくれた。 銀貨3枚は余るのなら『格闘家見習い』取得の実験としてあるものが欲しい。



「安いものでいいのでナックルやトンファーはありますか?」

「格闘家の方でしたか。 それではこちらの『メタルナックル』だと大銅貨5枚に、『樫のトンファー』は大銅貨3枚になるよ」

「ありがとうございます」



 別に肯定してないから騙してないよ……。 誰に言い訳してるんだろ。

 『メタルナックル』は大きめのメリケンサックに棘がついたもの。 『樫のトンファー』はそのままだな。

 後は出来るだけ、服の値段を抑えてと……これで良し! これに今回はトンファーでいこう。



「これでお願いします」

「はい。 全部で1万3千ゼルです」



 持ち金の半分以上を使うかもしれないと思ってたけど、大分費用を抑えることが出来た。

 あの肉串のおっちゃんには感謝!



「ここで着替えさせてもらってもいいですか?」

「カウンターの奥に休憩室があるから、そこで着替えてもいいよ」

「ありがとうございます」



 服を着替えさせてもらいったけど、Tシャツとジャージのボトムを仕舞う袋がない。



「あ、そうだ。 まとめる袋か鞄を売ってないですか?」

「旅とか仕事を考えるなら、鞄の方がおすすめだよ」

「そうですか。 では、鞄を見せてもらえますか?」

「ここにあるのが、全部ですね」



 カウンターの近くにまとめられている。 ナップサックの様なものから、雨に濡れても大丈夫そうな革の背負い袋など、色々ある。

 とりあえずはそこそこ頑丈そうで、動きを阻害しなさそうな大きさを探してみる。

 ランドセルを1回り小さくしたような鞄があったので、それを見たら1万ゼル(銀貨1枚)だった。

 それを見て悩んでいると、店員から声がかかった。



「それが欲しいの? それ結構売れ残ってる鞄だから、さっきの差分の7千ゼルでいいよ」

「いいんですか! じゃあ、これでお願いします!!」

「こちらも、そのサイズは長いこと売れ残ってたから助かるよ」



 これで、残り銀貨3枚か。 仕事を早めに探さないといけないから、ここでも聞いておこう。



「すいません。 一時的でもいいのですが、この店で何かできる仕事はありませんか?」

「仕事を探してるのかい? そうだね。 大量に商品を入荷した時には仕事があるけど、今は無いかな」

「そうですか。 では、次に大量に入荷する日がわかったりしますか?」

「うーん、そうだね。 今月の30日に春の大市があるから、その次の日なら大量に仕入れた荷物を整理する仕事を出せると思うよ」

「その仕事だと、一日何ゼルになりそうですか?」

「仕入れが例年通りだと2千ゼルで、多ければ4千ゼルかな?」



 最低でも2千あるなら受けてもいいかも。 負けてくれたお礼もできるし。



「では、5月1日に必ず来ますのでその日の仕事をよろしくお願いします!」

「わかったよ。 でも、これ無くなったら早めに連絡を入れてくれたら調整するよ」

「はい。 ありがとうございます」



 幸先よく、1件仕事見つかったけど、1日だけだからまだ油断は禁物だな。 ってそういえば……。



「お名前を聞いてもいいですか?」

「そうだったね。 お互い自己紹介もしてなかった……僕はミハエル=ヨナートだ。 よろしく」

「ミハエルさんですね。 ハルカズ=ホワイトといいます。 よろしくお願いします」

「じゃあ、何もなければ5月1日に待ってるからね」

「はい!」



 『まじないの古物店』から出た。 これからは金策を考えないと……。

 こういう時はまずは、金を扱う商人ギルドから聞いてみるかな。






 商人ギルドに入ると昼を少し回った時間だからか、人が午前中に来た時よりも多い。

 人が並んでいない窓口を探してみたけれど、開いている場所は人が今はいない状態だった。

 そこでどうしようかなと悩んでいると、戻ってきたサクリナさんが声をかけてくれた。



「あら? さっきの……ハルカズくん。 どうしてここに?」

「商人ギルドで確認したいことがあって来ました」



 ここで知り合いに会えて助かった。



「仕事を探しているんですけど、商人ギルドで紹介できるような仕事はありますか?」

「さっきの借用契約の返済のことね! それならさっきエリックさんが仕事を紹介するって話してなかった?」

「紹介してもらったのは良かったんですけど、それだけでは返済に足りないので、他にも仕事が欲しいんです」

「商人ギルドへ各商人から依頼という形で来るけど、流石に未経験者への仕事はきてないかなぁ」

「そうですか……」



 ジョブが無いとこういうところで不便だな。 まずは『格闘家見習い』を習得できるか試すところから始めないとな。



「細かい手伝いとかなら直接店に出向いて確認すれば仕事を貰えることもあるけど、正直にいえば身寄りのない子供はなかなか受け入れてくれなかったりするから……」

「えっ、そうなんですか?! さっき『まじないの古物店』で単発の仕事を貰えたので結構仕事をさせてもらえるのかと思ってました」

「あーミハエルさんの店ね! ミハエルさんの人柄が優しいのもあるけど、何よりそこらの子供が何かしようとしてもすぐに対処できる実力者ってのもあるわね」



 物腰が落ち着いていたから、そんな実力者だったとは気づかなかった。

 各店に仕事を取りに行かなくても、他に仕事を紹介してもらえそうなところあるのかな?



「他に仕事を紹介してもらえそうな場所はありますか?」

「あるにはあるけど、ちょっと厳しいかもしれないわ」

「どんな仕事ですか?」

「傭兵ギルドの仕事よ。 登録に13歳以上である事と1万ゼル必要だけど、それ以外は特に必要な能力が無い。 だけど、やることは近くの森から薬になる素材の収集だったり、モンスターの肉を取ってきたりと危ない仕事が多いの」



 聞いてる限りよくあるファンタジーの冒険者ギルドだ!

 これなら、ジョブ取得しながら稼ぐこともできそう!!



「傭兵ギルドはどこにあるんですか!」

「今の話を聞いてた? 危ない仕事が多いからやめた方がいいよ?」

「こう見えて戦闘には自信がありますから!」

「確か職業は無いって話だったと思うんだけど?」

「お願いします!」

「……仕方ないわね。 商人ギルドを出て、左に行くと向かいの方に剣と楯とスクロールのマークの看板があるから、その場所が傭兵ギルドよ」

「ありがとうございます!」

「教えたけど、危ないことはしちゃだめよ!」



 サクリナさんに心配を掛けちゃったけど、傭兵ギルドに行こう。






 傭兵ギルドへ入ると左側が良くある仕事を貼り出すボードがあり、前には受付嬢がいるカウンター右には通路とカウンターがある。 まずは、登録と言っていたので、受付に向かう。

 時間帯が良かったのか、今はあまり人がいない。



「あの、すいません。 登録がしたいんですけど」

「登録ですね。 銀貨1枚になりますがよろしいですか?」

「はい! お願いします」

「かしこまりました。 では、名前と年齢とジョブを登録しますので記入お願いします」

「代筆をお願いしてもいいですか?」

「はい、大丈夫ですよ。 それではお願いします」



 名前と年齢はすんなり書いてくれたが、ジョブの所で筆が止まった。



「ノービスですか? 戦闘のある仕事が多いですが、それでも登録なさいますか?」

「はい!」

「……わかりました。 それではここに血液をお願いします」



 うっ。 また、あの画鋲で指をささないといけないのか……。

 画鋲を手に取り一瞬躊躇したが、さっき経験したばかりなので刺して血液を付けた。



「これで登録は終わりです。 では、システムの説明をいたしますね」



 話をまとめるとランクというものがあり、S・A・B・C・D・E・Fの7ランクある。

 ランクにはジョブのクラスが関わっており、実績をいくら積んだとしても上がらないようだ。

 僕の様にノービスだとFランクで、見習いクラスのジョブ持ちだとEランクになるようだ。

 後は資料室があり、利用するには千ゼルが必要という話だったが、今は字が読めないので利用できそうにない。

 通路の奥には階段があり、そこを上ると資料室と職員の部屋があるため勝手に立ち入らない事と右側のカウンターは納品物を渡す所になる。

 ボードには仕事を貼り付けているが、受付でも今何の仕事が残っているのか把握しているので、こちらでも受けることが出来るという。

 正直、字を読めないから助かった。 字が読めない人は結構いる為、毎週1の日に字の勉強を資料室にて開催されている。 それを受けたかったが今日が中週1の日な為、次回は10日後との事で残念だった。

 説明は終わりという事だったので、さっそく今できる仕事を聞いてみる。



「わかりました。 現在紹介できる仕事ですと……忌避剤の素材である植物を納品やポーションの素材の納品があります」

「素材の特徴を教えてください」

「忌避剤の材料は、背が40cm程の多年草で葉はやや細く細かいギザギザが特徴です。 日当たりの良い場所であれば比較的見つけやすいです。 ポーションの素材は、笹のような葉茎を伸ばし、先端に赤紫色の花を咲かせますが、この時期ですとまだ咲いていないかもしれません。 素材になるのは地下の根に近い部分の茎ですのでちゃんと掘り出して持ってきてください」

「わかりました。 その依頼を2つとも受けたいです!」

「それでは、10束を一纏めとして買い取りますので、端数は残らないようにお願いします」

「明日から開始にしたいのですが、大丈夫ですか?」

「こちらは常時依頼となってますので、大丈夫です」



 それじゃあ、明日から返済とジョブの研究が始まる。

 忙しくなるぞ!


面白そうと思ったら↓の☆☆☆☆☆を★★★★★に変えてみてね!

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