0 大草原不可避ってこういう事だっけ?!
サクセスストーリー好きに楽しんでもらえる話を書いていきます!
よろしくお願いいたします!!
世界的人気のVRMMORPG『ファンタジードラゴンフリート』。 通称『FDF』。
幻想的な空島を体験できる世界観と超骨太のストーリーが魅力のゲームである。
自由にドラゴンを使役した飛空艇により、世界中どこでも飛び回るだけでも楽しい。 なんといっても魅力的なのは圧倒的なジョブの多さにより、スキルアビリティの構成が無限大ともいえる量を有しており、ゲームの熟練度によって様々なテンプレートが毎時更新されているようなありさまだ。
日本では約300万人プレイされており、世界全体では1000万を超えるプレイヤーが存在している。
そんな『FDF』には、イベントは毎週の様に開催されるが、年に3回大きなイベントが開催される。
そのイベントにはクランと呼ばれる30名まで所属でき、全員の総合力を競う形式である。
超高難易度ボスを最初に撃破するタイムアタック形式の『スピーダー・ドラグーン』。
周回されるごとに超レアアイテムのドロップ率が上がり、ドロップアイテムの質と数によって点数が変わる『セイントドラゴンの祝福』。
様々な高難易度ボスがランダムに出現し討伐数を競うマラソン形式の『グレイト・バトルフィールド』。
毎回世界中から大量の参加者が集うまさに大イベントといっても過言ではない規模だが、ここ一年この三大イベントを1位を取り続けているクランが存在する。
そのクランの名は『スターダスト』。 日本だけでなく世界中から廃ゲーマーでしか、クリアできない加入条件を設けられているが一人も欠ける事無く運営されている。
その団長メディック=ホワイトこと『白山治和』現在37才だ。 1年前、このゲームに魅了されてしまい現在仕事を辞めてイベント以外の期間バイトをしイベントが始まれば辞める|『FDF』《ファンタジードラゴンフリート》を中心にした生活をしている。 最低限の稼ぎだけあれば、他全ては|『FDF』《ファンタジードラゴンフリート》という、どちらの世界が現実世界かわからないような生活をしている。
そんな彼は今現在『グレイト・バトルフィールド』の決勝に参加していた。
イベント期間は二週間あり、100万人を超えるユーザーが参加している。予選は十日間し決勝の準備期間1日。 その後決勝三日間行うスケジュールとなっている。
予選を戦い抜いてポイント上位100クランが決勝に進むという過酷なイベントだ。現在決勝の最終日になっており、残り二時間でイベントが終わるというまさに終盤戦の様相を呈している。
現在一位をキープしているクラン『スターダスト』団長白山治和は、三日間徹夜でボス狩りをしていた。
通常この高難易度ボスは10人のメンバーで様々な種類や属性のボスに対応できるように各属性特化や種族特性特化のをバランスよく配置して挑むようなゲーム設計になっているが、廃クラン『スターダスト』のメンバー達はゲームスキルや知識、レベル、ステータスなどありとあらゆる手法を凝らして一番多いグループでも三人で攻略に回っている。
なので、他のクランでは三体しか倒せないところでも、『スターダスト』ならば10体倒せるのである。 しかし、このクランのトップ3のゲームセンスはクランの中でも抜群に高く、副団長と戦闘隊長の二人のグループと団長一人で討伐が可能の為、11体同じ時間で倒すというバカげた集団になっている。
だが、前回の『セイントドラゴンの祝福』から『スターダスト』に追走するクランが出てきた。
そのクランが今、討伐数2体差で迫ってきている状況だった。
「おそらく相手のクランは2人で倒せるグループがこっちよりも多いんだろうなぁ」
相手のクランの情報を取得しつつ、治和はボスと戦いながら愚痴る。
「ただ……まぁ、こっちのクランの方が平均討伐ペースは数十秒程度早いから、ギリギリで競り勝てている感じだな!」
「おっと、ヤバいぞ?! 今の構成だとこのボス、時間かかりそうだよな」
「敵の攻撃を避けつつアビリティを変えてっと……。 ここでやられたら、競り負けるというプレッシャーはワクワクする!」
「後2時間、このペースを維持すれば……っと」
二位との点数差と5分毎の討伐数増加量の推移を比べる自作アプリで確認して、予想通り1位をキープできることに安心する。
「ふぅ……ここまでくれば後は、みんなが寝ない限りは大丈夫かな?」
安心したらところ、フッと一瞬真っ暗になった。
でも、少ししたら画面が戻り戦闘の途中から再開される手痛いダメージはくらっていたがノーダメージで行けば挽回は可能だ。
「危なかったー。 おかしいなバッテリー切れか?」
バッテリーを確認しても、まだまだ余裕がある事を確認する。
「バッテリーが無くなったわけじゃないのか? まぁ、後1時間半だ気合入れていこう!!」
その後、何度も数分毎に真っ暗になるが、ギリギリのところで死なずに耐え続けている。
「おいおいおい!! まさか、VRグラスが壊れたんじゃないよね?! 1位まであと一時間なんだよ?! 持ってくれよ!!」
天使に祈ってでもイベントを1位を取りたいと思った瞬間、太陽の下に放り出されたような明るさが自分を包んでいる事に気付いたところで意識が途切れた。
Side ハルカズ
「ん……。 ハッ!? まさか、寝てしまったのか!!」
僕は意識を取り戻した。
さっきまで戦っていたボスの『ケツァルコアトル』が見当たらないなぁ。 待機場にもどったのか?
いやこれは、イベントの『グレイト・バトルフィールド』のステージでも無い……。 どうなってるんだ?
ゲームがバグったのかも知れないから再起動かけよう。 ついてないなぁ、後もうちょっとでイベント1位になれそうだったのに、意識を失って何分位たったんだろう? まだ、イベント開催中であってほしいなぁ。
あれ? そういえばVRグラスはどこについてるんだ?
顔を触っても全然ないんだけど?!
「VRグラスを付けていない……。 何が起こってるんだ?」
下に落ちてないかなぁ。ん? 服が大きくなっているような……。
ダボダボするなぁっと思ったら服が合ってないのか? えっ……これは!?
服が大きいんじゃなくて、身体が……。
「なんで?! 僕の身体が縮んでるの!!!」
「そもそも、VRグラスが無いってことは何処だよここは……。 周り一面草原しか見えない……」
今気づいたけど、匂いもあるしメチャクチャリアルだよね……これ。 映像だったらあり得るかと思ったけど、さすがに匂いはないよなぁ。
とにかく現状を確認しないとね。 前方は大草原と山だし、後ろには何があるかなぁっと……。
「何か見えるなぁ。 あれはもしかして外壁かな?」
左右が山に囲まれた場所があり、そこに人工物が見える。 遠くに見えているが街があるってことかな?
日本人のお約束として異世界転移とか考えちゃってるけど、まさかねぇ……。
とりあえず、見わたす限り人工物はあれだけだし、あっちに行こう。 そのためにはまず大きくなってしまった部屋着を整えよう。
Tシャツのおなか回りの余っている部分は折りたたんで括り、ズボンの腰回りはベルトがフレキシブルだったので締めて、ズボンの裾を折り返した。
不格好だけど、さっきよりは歩きやすくなったし行こう!
「イタッ?! そういえば、部屋着ってことは靴下だけだ。 石をよけながら歩かないと……」
街の方へ目指しながら、歩き始めた。
足元に気を付けながら3時間半ほど歩くと外壁の近くまで来た。
「ほえぇ……。 思ったよりも迫力あるな」
この街は四角い大きい石を積み上げて作られた高さ10m位の外壁に囲まれていた。 角には見張り台の様になっており、遠くまで警戒できる作りになっている。
近くまで来たものの街に入る門はこちら側には見当たらない。 太陽が沈む方角を確認すると何やら大きな門の様なものが見える。 身体が縮んだせいか思ったよりも時間がかかったので早く街に入ろう。
1時間かけて、門の前に着いた。 門衛は立っているが、みんな素通りしていくので僕もその流れにそって歩く。
「おい、そこのお前!! 汚い身なりだな。 身分証とスフィアを出せ。」
イベントの決勝始まってから、着替えもしてないし、風呂も入ってなかったなそういえば……。
とりあえず、ないものは仕方ないから無くしたことにして様子を見よう。
「すいません。両方とも持ってないんですけど……」
「ハァ?! 両方とも持ってないわけないだろ。 身分証がないのはともかく、スフィアは腕があるじゃねえか?」
「え? 腕が関係あるんですか?」
「7歳になったら、教会でスフィアを与えられるだろうが……って、そうかお前スラムの孤児だな!」
「いやいやいやいや! 違いますよ! 本当に持っていないだけなんですよ!!」
「街の北側からどうやって抜け出しか知らないが、堂々と門から帰ろうなんて舐められたもんだな! どうせ悪いことをやった帰りだろ、こっちへ来い!」
捕らえられ、尋問室に連行された。
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