表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暁に立つ吸血姫  作者: 澪亜
第一章 過去編
31/54

吸血姫は、倒れる

2/2

「……アウローラ、お疲れ! 助かった」


最前線で、同じく魔物と戦っていたダンに、声をかけられる。


「………」


「……おい、アウローラ?」


何も返さない私に、ダンは心配げな視線を向けた。


「アウローラさん! ダン! ありがとうございました」


バタバタとエイシャルが駆け寄ってくる。


「おい、エイシャル。自分の身も守れねえのに、何で来ちまったんだ。お前が倒れたら、街がどうなる?」


「私に何かあったとしても、ヴァズやシオンがいますし……何より、ノックスさんとアウローラさんもいますからね。それより臨時の代表として、しっかりと終わりを見届けた方が良いかと……」


ダンと会話をしたいたエイシャルも、私の様子が変だということに気がついたらしい。

言葉を切って、心配げに私を伺い見る。


「……暫く、魔物は襲って来ない」


「……どういうことだ? それより、お前、大丈夫か?」


「……魔王は封じた。ノックスを犠牲にして」


私の言葉に、二人は大きく目を見開いた。


「……疲れた。寝させて」


それ以上言葉を紡ぐこともできず、私はふらふらになりながら家に帰る。

家に入った瞬間、顔が歪んだ。


……ダメだ。

いたるところに残る、彼の匂い。

目を閉じれば、彼の姿が瞼の裏に映る。

……ここは、彼との思い出が多過ぎた。


ここに、いたくない。

ううん、ここにいたい。

相反する気持ちが、頭の中でぶつかり合う。



痛い。苦しい。

処理しきれない感情を吐き出したくて、自然と涙が溢れた。


玄関先から、一歩も動けなかった。

前にも、後ろにも進めなくて。


ふらり、視界が歪む。

そのまま私は、その場に倒れ込んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ