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嘘→死~ウソミギシ~  作者: 天かす入りおうどん
第1章 なんてことないデスゲーム
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第9話 凄いの見せてよね

第9話 凄いの見せてよね


"密告"

その言葉が3人に重くのしかかった。

何せ密告をするとされた相手は

死ぬ。


つまり密告とは殺人と何ら変わりは無いのだ。

3人はお互いの顔を見合せ、話を進める。


「と...りあえずアプリを...」


伸一は携帯を取りだし、"密告箱"を開いた。

また、1番上に少年の顔と名前が映し出された。

伸一は顔の上部の検索バーにゆっくりと美羽美子と打ち込んでいく。

その手は恐怖からか震えていた。


文字を全て打ち終えるとそこには美羽の顔と名前が表示されていた。

今日、散々見た顔である。

伸一が美羽の名前部分をタップすると、



嘘入力↓


次へ



と出てきた。


気づけば神田も謝恩も両隣りに来て伸一の画面に集中している。


「じゃあ進めますね」


2人に確認を取り、入力を始めた。



嘘入力↓

ギャンブル中毒

次へ



入力が終わり神田の表情を伺うと、何時に無く真剣な顔をしていた。

それを見てなのかこの状況からなのか、伸一の顔からまた液体が垂れてきた。

汗ではない事は確かだ。


「フゥ」


一息吐き、"次へ"を押した。

すると画面が切り替わり、



密告者↓


送信



と表示された。


「これは...?」

「通知で来る名前変えれるんじゃない?」


困惑していると、謝恩が助け舟を出した。


「なるほど。それだとまた色んな戦略が生まれてくるし...」

「どうします?」


ピンポンパンポン


「きゃあ!?」

「わ!?」

「!?」


3人が悩んでいると、通知音がなった。

今回で2回目だが、まだ慣れないものだ。

3人は画面を覗き込む。

画面には、



黄身蜂(きみはち)

が密告されました。

嘘→女児誘拐

密告者 蒼井翔太

残り98人



「あれ?この人...」


神田が記憶を呼び覚ます。


「この人...1番最初に密告したのも参加者で名前が1番若い人もこの人ですよ!」

「ホントだ!」

「でもこの人は名前変えてないですね...」


伸一はここである事に気がついた。


「神田さん。この人に出会いたいですか?」

「え?い...いや出会いたくないです。強そうですし」

「そうですよね!ていうことはここで名前をアピールする事であまり参加者と出会わなくて済む...!」


伸一は右手で銃を作り、その先を神田に向けた。

そしてニヤリと笑う。


「俺の名前でいきましょう!参加者に近寄られず潰し合いを見ときましょう!」

「そうですね!」

「??」


謝恩だけがこの状況を理解していなかったが、伸一は密告者の欄に自分の名前、"猿見伸一"と入れた。


「送信!っと」


そう言って送信ボタンを押した。


ピンポンパンポン


「わぁ!?」


3回目であったが、さっすがにボタンを押してからすぐ過ぎて唯一伸一だけが少し跳ねてしまった。

頬を赤らめる。


「す...すみません...」

「うふふふふ。いいんですよ!」

「神田さん...!」

「あっはは」

(黙れガキー!)


3人は続く文を画面をのぞき込んでまじまじと確認した。



美羽美子

が密告されました。

嘘→ギャンブル中毒

密告者 猿見伸一

残り97人



「やったんです...ね」


そう思うとドっと疲れが押し寄せてきた。

体の力が抜け、床に倒れ込む。

ふと横を見ると、2人とも同じ体制で倒れ込んでいた。

謝恩に関してはノリだと思うが。


「今日はもう寝ましょう。遅いですし...」

「寝る〜!」

「そうですね!」


伸一は自分の寝室、神田と謝恩は2人のために新しく作った寝室へ戻っていった。

長い一日が終わった。

密告したり尾行したり今までの日常じゃありえない事ばかりしている。

疲れるのは当然だった。


伸一は1人、部屋に戻りベットに横たわる。

電気をリモコンで消しすぐ眠りに入った。

激動の今日の一日とこれからの起こることに対する覚悟を噛み締めて。






一方神田は謝恩を寝かしつけていた。


「羊が1匹...羊が2匹...」


優しい声で謝恩の頭をさする。

謝恩も疲れていたのかすぐ眠りに入った。


それを確認した途端神田は子守唄を辞め、なにか思い立ち部屋を出た。

スマホなどの自分の荷物を軽く持ち、伸一宅を後にした。


音が消え、静まる伸一宅。


伸一は尿意を感じ、1度寝室を出てトイレに向かった。

尿を足し帰りに神田と謝恩の寝室の横を通りすぎた。

特に何も感じることも無くまた部屋に戻り布団を被った。


その部屋では謝恩が黒いスマホをベットの中、布団を被りながらいじっていたのだが......。






-モニタールーム


薄暗い部屋にモニターが10数個ある部屋に成瀬はいた。

ずっと男が写っているモニターを見て目を離さない。

すると、成瀬の後ろのドアが開いた。


「もう〜成瀬さんいつまで見てるんですか〜!まだそんなに動きないでしょ」

「飯行きましょうよー」


黒いスーツを着た小太りの男と黒いスーツを着た若い女が部屋に入って来て成瀬に駆け寄った。

だが成瀬はまだモニターから目を離さない。


「ごめんね。気になる人がいるもんで」

「え〜!?」

「じゃあ先行っときますねー?行こ咲ちゃん」

「名前で呼ばないで」


2人は少し怒って部屋を出ていってしまった。


そんな事は気にせず成瀬は缶コーヒーを1口啜った。

そして口角を上げる。


「僕が君を推薦したんだ。凄いの見せてよね。







伸一くん!」


第1章~完~

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