第7話 利害の一致
第7話 利害の一致
男は引きつった笑顔でこう言った。
「ハァハァ。驚かせてごめんね。実は僕......美羽美子の元夫なんです」
「!?!?」
神田と謝恩は驚きのあまり目を丸くした。
それは2人にとって衝撃的な事実な事には変わりないが、ふと冷静になると先程からこの状況は何も変わっていない。
まだ何一つ安心する事はできないのだ。
「だ...だからなんだって言うんですか!?」
神田は恐怖におののき震えが止まらないでいた。
さらにその震えは手を伝って謝恩にまで響いていた。
だがその震えは男の次の発言ですぐに止まることとなる。
「あ〜!怖がらないでください!!全然何しようとかないんで!!」
「ただ1つ...美子の近況だけ知りたくて...!!」
「......え?」
2人は先程とは少し違う形で目を丸くした。
「君たち...美子と知り合いだよね?昨日揉めてたのも実はこっそり見てて...」
その時神田の脳内にはある言葉が浮かんだ。
(これは...使えるかも......!)
そこで神田は男にある提案をした。
「確かに私たちは美羽さんと仲良くさせてもらってます。...ここじゃあれなのでそこにあるカフェでも行ってお話しませんか?」
-カフェ
3人はテラス席に1対2の格好で座席に着いた。
「あの...すいません。自分...田中祐輔って言います...。僕はまた、美子とやり直したいって思ってます...!ぜひ...協力してはくれないでしょうか!!」
田中は深々と頭を下げた。
それに対し神田は少し考えるような素振りをした。
だがここに着く前からその回答は決まっていた。
「分かりました。良いですよ」
田中は顔をあげた。
その顔はどこか喜びが入っている。
「ですが...」
神田はにっこりと笑って首を少し傾けた。
それを見て謝恩も真似をする。
「私たちにも情報をください」
田中の喜びの顔に少し暗雲が立ちこめる。
「じ...情報って...?」
「端的に言えば美羽美子さんについて...こちらが質問したことやそれ以外もなんでも教えてください」
「ください!」
2人は田中の目を真っ直ぐ見た。
「逆にそんなぐらいで良いんですか?」
「はい!じゃあまず子供の事から......」
-2時間後 ~伸一の家~
入口の鍵を開け、伸一は自宅の中へ入っていった。
すると中には既に神田と謝恩が帰ってきており、2人で仲良くテレビを見ていた。
「おかえりなさい!」
伸一は持っていた荷物を机の上に置き、羽織っていた布を脱いだ。
「神田さん...俺いい情報手に入れましたよ!」
伸一のアイコンタクトに神田も合わせる。
「ホントですか!?実は私たちも良いの掴めて...!!」
改めて3人は机を囲み、成果会議をする事となった。
「じゃあまず私から良いですか?」
伸一は軽く手でどうぞ。とやった。
「私たち2人はなんと...美羽の元夫と接触出来たんですよ!」
「え〜凄いですね!」
と言っているが、伸一の内心では
(早く自分の手柄を話して優越に浸りてぇ...!)
と思っていた。
そんな事はつゆ知らず、神田は続ける。
「その方...田中さんって言うんですけど、田中さん曰く美羽は昔からずっと子供が嫌いで作ろうとすらしなかった見たいです」
(だから謝恩を突き飛ばしたり子供の話をした時微妙な反応だったのか...)
「なので嘘は子供関係ではないかと...」
「ただ嫌いってだけじゃ嘘にはならないよね〜」
相変わらず謝恩はずっとニコニコしている。
「そこで美羽の嘘って2人の離婚の原因での事じゃないかなと私は思ったんですけど...それは...」
「ギャンブルですよね」
神田の話に伸一は食い気味に入っていった。
「なんで知ってたんですか?」
思わず聞き返した神田に伸一は鼻を右手人差し指で擦り答えた。
「尾行っす」
--続く