第1話 ツマミになる話
第1話→第39話 ツマミになる話
「あ〜仕事お疲れ〜!!乾杯!」
とある居酒屋で2人は乾杯した。
繁盛した店の席にスーツを着た男が2人。
その机の上には肉やら魚やらツマミやらが大量に陳列されている。
それは明らかに成人男性2人の1度の食事量を超えていた。
だが、2人はそれらを綺麗に平らげていく。
「食いますね〜田中先輩!」
「そういうお前もめちゃめちゃ食ってるじゃねぇか!」
「良いでしょ!先輩の奢り何ですから!あ、すいません!唐揚げ追加で!」
2人は中睦まじく箸を進める。
追加で来た注文もひとつ残らず平らげ数十分後、机に残ったのはお互いのビールと小鉢に盛られた枝豆だけになっていた。
「はぁ〜食った食った!で......先輩、話ってなんですか?」
田中は少し真剣な顔つきになり机をドンと叩いた。
「前にウチの元奥さんの事を心配で定期的に見に行ってるって話しただろ?」
「あ〜あのギャンブル中毒になっちゃった田中...美子さん...でしたっけ?」
田中は頷いて、枝豆をひとつ手に取って貪った。
「今はもう美和って苗字に戻っちゃってるけどね...」
「それがどうしたんですか?」
「それがこの前見に行った時に怪しい人と美子が会ってるのを見たんだよ!それでまた別の日に見に行ったら影すら見えなくてね。前まで律儀に毎日取ってたチラシもポストに溜まりっぱなしになってたんだよ...!」
田中の真剣な顔つきとは逆に後輩は酔った勢いなのか軽い感じで話を進める。
「ギャンブル中毒だったんでしょ?だったらその...怪しい人?は借金取り何じゃないですか?ていうか聞いてくださいよ!ウチも彼女が急に音信不通になっちゃってそれで、」
「違う!!!!」
田中の突然の大声に店内は1度静まり返るがまたすぐ活気を取り戻した。
後輩も目を丸くしている。
これまで一緒に働いてきた中で初めて見る真剣な表情だったからだ。
「なぁ愛島...聞いてくれよ。あれは絶対借金取りなんかじゃない!」
「な、なんでですか?」
思わず小声で話す愛島と対照的に田中は声を加減せず言い切った。
「その怪しいヤツ...あいつらは女と子供だったんだよ」
「は〜...確かに借金取りが女と子供で来るなんておかしいですね...」
山本は頭の横をトントンと人差し指を曲げて叩いた。
「なにか事件の香りがする...」
思わず愛島も表情が変え、田中に顔を近づいた。。
「......根拠は?」
「刑事の勘さ!」
田中はニヤッと笑った。
第5章~愛の形~"開幕"
--続く




