第10話 余裕の笑み
第10話→第37話 余裕の笑み
3ターン目~伸一チームと本田チーム~
ボロボロな本田がボックスに入ってからも、俺はニヤけが止まらなかった。
なぜなら...俺たちの勝利が決まったから。
どうして確信してるのかって?それはそうだろ。
だって......
俺にはもう本田の嘘分かっちゃったからね!
「どうしたんですか伸一さん。そんなにニヤニヤして...」
「あ、ごめん何でもない...笑」
「本田との同盟どうするの?さっきの教祖の言ったこと信じるならあれは嘘らしいけど...」
「あぁそれはね...」
俺はチームのみんなに本田もいる状況で説明した。
教祖を信じる訳では無いが、本田は信用ならないからあの交渉は断るという事と、、
もう本田の嘘が分かったから教祖の事も本田の事も考えなくていい事を。
「な!?俺の嘘が分かったって!?なんでだよ!」
会話を聞いて思わず身を乗り出して本田が叫んだ。
無理もないだろうもし密告されたら先程教祖にやられた事よりも辛い事が待っているのだから...
「あ〜説明しないと分からない感じ?じゃあやってやるよ」
この時の俺はもうアドレナリンが限界量まで分泌されていた。
あ〜人の嘘を見破るって最高...!!
「まずお前は1ターン目からずっと殺人した事しかほとんど言ってなかったよな?それがミスなんだよ」
「お、俺の作戦は完璧だっただろ...!」
「あのわざと殺人したと言って逆に分からなくさせる作戦か...」
俺は本田の焦りの限界値を迎えたような様子を鼻で笑った。
「お前何でお前が不利な状況でこのミッションに参加させられたと思う?」
「わ、分かんねぇよ..」
「いや!分かってるはずだね!そもそも嘘→死は嘘を上手くつくゲームだ。そのゲームでいらない人間は誰だ?」
「そうか...!それは嘘をつかなかった人間!」
指川の答えに伸一は頷いた。
「お前は第1週で嘘をつけずペナルティを受けた...違うか?」
「......」
もう本田からは何も出なかった。
「これでもう16択。ゆびー!思い出してくれ!ペナルティで公開された嘘を」
指川は通知を遡り、その一覧を見てあることに気がついた。
「ある!"殺人鬼"が!」
「そう!そこから考えるにお前は殺人鬼ではあるけど1人とかしか殺したことない...って感じだな多分」
もうチェックメイトだ。
あ〜最高!もう本田も教祖とかも怖くない。こいつらを踏み台に俺たちは明日もまた生きれるんだ...!
俺は携帯を開き、密告の為に入力を始めた。
これをこうして...名前もちゃんとしないとな...
ピンポンパンポン
例の音が体育館中に響き渡った。
『本田密告により、ミッション終了』
「やった!!勝った!」
「伸一さんめちゃめちゃ頭良いじゃないですか!俺...教祖にビビりまくってたけど伸一さんがいれば怖くないかも!!」
「ぼくたちさいきょ〜!」
チームメイトが喜びを体で全力で表す中、伸一だけがまだ心の内で震えていた。
......
「伸一さんナイスです!もっと全力で喜んでいいんですよ!」
「そうだよ!もうぼくダンスしちゃうからね〜」
仲間の陽気な様子を見ても、まだこの震えは収まらない。
違う...違う......
まだ震えている俺に神田は隣に屈んで背中に手をぽんと置いてくれた。
「分かりますよ!こんな経験した事ないから震えますよね!でもこれが勝利ですよ...!」
違う...違うんだ......!
みんなはまだ分かっていない。俺が震えてるのは嬉しさから来ているのでは無い。
それは...それは...!
俺は防音のボックスが壊れるかのような勢いで叫んだ。
「...みんな違う!!密告したのは......"俺じゃない"...!!!」
伸一の手にはまだ、入力途中の画面の携帯が握りしめられていた。
「え?どういう...」
その状況を説明するかのごとく、アナウンスが続く。
『ミッション終了により、このミッションの勝利者であり、密告者の
"教祖様"
に報酬が与えられます。』
透明なボックスを挟んで、教祖がこちらを見て笑っているのが見えた。
俺たちは......負けた。
--続く




