第8話 黒いボタン
第8話→第35話 黒いボタン
2ターン目~教祖チームと本田チーム~
ボックスは完全防音でこちらには何も聞こえない。
ので、俺たちは本田の提案について話し合おうとした...
その時だった。
バチンと共にボックスの中が白くなり伸一側からは何も見えなくなった。
伸一は中にあった黒いボタンの存在を思い出した。
『各チーム、ゲーム中1度だけ使用可能~暗転~』と注意書きが書かれていたボタンである。
そうか。このボタンはボックスの壁をマジックミラーにするボタンだったんだな。
そして、そのボタンをどちらかが使ったと...
だが、やはり俺たちにそんなどうしようも無いことを考えてる時間はない。話し合いを再開した。
「本当に本田は信頼できると思いますか?俺は正直微妙で」
「...私も最初から言ってる内容がめちゃくちゃでやばい人にしか見えない...」
「私も!ずっと気持ち悪い目してて怖い...!」
「うんうん」
神田の考えに皆が頷く中、今までずっと黙っていた荒木が手を挙げた。
「あの〜...ちょっと良いですか...」
「荒木くんどうした?」
いつもとは違う様子で少し心配になった。
「伸一さんが俺に本田の事について聞いた時に言おうと思ってたけど時間が来て無理だった事なんですけど...」
荒木の額からは汗が滲んできている。
「今考えるべきは本田じゃない...と思います」
本田じゃない?現状の敵は本田...と運営?じゃないのか...?
荒木はまだ中が見えないボックスの中を指さした。
「あの教祖とかいう奴......あいつは会員数日本一の会員制宗教"真実教"の教祖です...!そして...あいつは...あいつは...!本田よりも宮里よりも...!」
ピンポンパンポン
『会話終了です。次の会話にも参加する教祖チームは残り、本田チームは退場して下さい。』
その音と共にボックスの壁が元に戻った。
「な...なんだと...!」
思わず声を出してしまった伸一を横目に荒木は叫んだ。
「宮里よりも..."ヤバいヤツ"なんです!!」
声を出してしまった俺はもちろん、隣にいたチームの全員が息を飲んだ。
なぜなら...ボックスから出てきた...いや放り投げられた本田の姿が、ボロボロで体中アザだらけだったからである。
その本田をひとしきり眺めた後、教祖はこちらを向いた。
あのギョロっとした目で。
「さ!はよ次始めようや!」
その顔は、先程まで人をボコボコにしていたとは思えないほど優しさが滲み出ていた。
--続く




