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嘘→死~ウソミギシ~  作者: 天かす入りおうどん
第1章 なんてことないデスゲーム
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第3話 行動

第3話 行動


-ゲーム開始から2時間

伸一、神田、謝恩の3人は、ターゲットを探すため最初の体育館辺りを散策していた。


「密告箱から参加者の一覧がわかるとはいえ100人もいるから全員見ていくのは厳しいな」


密告箱アプリには、顔写真や名前などが書かれているため、スクロールしないと1度に見れるのは4人までである。

1番上の検索バーや、並び順を変更することで特定の相手を探すのは簡単だが、未だターゲットが定まっていない伸一達にはあまり意味がなかった。

なかなか進まないでいると、神田がスマホをいじっている1人のおばさんを指さした。


「あの人!参加者です」


その指の先には、髪はボサボサでまるでホラー映画に出てくるような風貌の4.50代くらいの女が居る。


「なんでわかるんですか?」

「実は......初め、目を覚ました時ちょうど目の前にあの人が居たのを覚えてるんです。そこから少ししたらどっか行っちゃったんですけど」


3人は顔を見合せた。


ターゲットが決まり、まずは彼女を尾行することにした。

伸一は顔をしっかり覚え、50音順になっている密告箱をスクロールして彼女を探した。

そして、マ行に来たところでついに見つけた。


「神田さん。分かりましたよ」


その顔をタップすると、彼女の基本的な情報が表示された。


「読み上げます」

「あいつの名前は、美羽美子(みわよしこ)45歳の専業主婦だそうです」

「へ〜!あんな小汚たなそうなのに家族居るんだね」


謝恩の思わぬ辛口にギョッと目を見開き、神田は謝恩の口を塞いだ。


「もごもごもご」

「おっと」


気がつくと美羽は、文字通りのボロアパートに入っていった。

このアパートは体育館からそう離れてはいなく、歩いて10分くらいのところにある。

-スイレン荘-と書かれた看板が着いているのが見える。


「ここが美羽の家かー」

「なんか訳ありって感じですねって言うか凄いですね!こんな早く」

「えー、ありがとうございます!俺、人を追い回すの実は初めてなんですよ。鬼ごっこの鬼とかもやったことなくて」

「懐かしいですね。私はよく鬼でしたよ」


雑談をしてこの緊迫した状況を紛らわす。

だがお互いの心のキャパがどうなっているのかは、何となく見てわかった。


「ここでずっと待っとくのもあれなんで、家で作戦会議またしません?」

「作戦会議する!」

「了解です!」


3人はまた伸一の家へ戻って行った。

何者かがこちらを見ていたのに気づかずに。


--伸一の家

時刻は8時を回った頃作戦会議は難航していた。


「なんかの業者のフリして家の中漁るとかどうですか?」

「犯罪ですし、リスク高すぎませんか?」

「確かに、ルールにも犯罪していいとか書いてないですしね」

「犯罪は絶対にしちゃダメですよ!」


会議がなかなか決め手にかけていると、謝恩がぼそっと呟いた。


「僕が迷子のフリして近づくのどう?」


この案は2人の想像をふくらませた。


「確かにあの年齢だと子供関係の嘘だったとしてもおかしくない」

「家の中とかにいれて貰って中の様子とかも見れるんじゃ!!」


刑事ドラマバリの会話が展開される中、神田には1つ心配があった。


「子供にそんな危ないことさせれますか?」


伸一には全く頭にない事だった。

また場が沈黙に変わる。


「いいよ。僕やるよ。2人に助けてもらったから」

「でも!」

「僕だって力になりたい」


真っ直ぐな視線で2人を見つめる。

それに負け、 2人はその考えを了承した。

気づけば時刻は9時、外は真っ暗になっていた。

作戦会議が終わり、話は謝恩の話に変わる。


「謝恩は家あるの?」

「ない」

「寝るとこは?」

「ない」

「困りましたね。私の家めっちゃ遠いですし謝恩は伸一さんの家に泊まるしかなさそうかも」


その話を聞いて、伸一はウトウトしていた目を見開いた。


「いや...それは.....」


伸一は子供が嫌いだ。

この状況で一夜を過ごすなんて耐えられない。そう思っていた。

そこでひとつの提案をした。


「神田さんもどうですか?もう遅いですし」


時刻は9時だ。


「謝恩もそっちの方がいいと思うし。ねぇ」


伸一は、最高の作り笑顔で謝恩の方を向くと、謝恩もそれに応えた。

神田の思考が回る。


「分かりました。これからここで泊まっていいんですか?」

「もちろんです!!」



1日気を張って居たからなのか、3人はすぐ眠りに着いた。

夜も更け、家から動く音が無くなった頃、伸一は、じゃんけんで決まったリビングのソファから出た。

そして、神田と謝恩が寝る寝室を覗き込む。

ベットは膨らみ2人が布団にくるまっていることが分かる。

その状況に伸一は興奮を覚えた。

そこから玄関に向かい、ドアノブを押し外の街へ出かけて行った。

その時に感じた違和感を気にすること無く。

一方寝室では、ベットの横の窓から冷たい風がヒューと吹き込んでいた。

カーテンがその風に揺られている。

しかし、ベットの膨らみは一切揺れてはいなかった。

--続く

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