第7話 ファンの鏡
第7話→第16話 ファンの鏡
「...実は...あいつに...あのオタクに..!.ずっと脅されてるんです......!!」
「あのオタク...って?...荒木くん...?」
指川は首を横に振った。
「...いえ...。あいつの名前は宮里巧。USO48 のファンです...!」
「その...宮里...?が何したの!?何されたの!?」
その時にはまだ、神田には話を理解してはいなかった。
「あれはゲーム開始の日です。私は他の参加者と同じ感じで戸惑っていたんです。それでルールもまだあんまり理解しないまま軽率に自分の嘘を確認しちゃいました。それがいけなかった...。宮里は私の後ろに立っていて嘘を盗み見られたんです......」
「...ちょっと待って?そもそも宮里って何者なの?」
指川はふぅと息を吐き、また続けた。
「そもそも宮里は私たちのライブによく来る方で、その見方がちょっと問題になったりもしてたんです...。ファン同士で喧嘩したり私たちに禁止なぐらい近づいたり...」
「...そうだったんだ」
「そうなんです。それで宮里に見られてから地獄が始まりました...。宮里はまず私にライブのチケットを要求してきました。本当は嫌でしたけど仕方なくそれに私は従いました。すると次はメンバーに会わせてくれと要求してきました。それにも私は従いました。それでいい気になったのかどんどん要求がエスカレートしてきて......」
先程から潤んでいたのだが、遂に指川は泣き出してしまった。
思わず顔を手で覆う。
肩で呼吸してるのがよく分かる。
それを見て神田は指川の背中をさすり出した。
そのおかげか、少しずつ喋れる状態に戻っていった。
「...ごめんなさい...続けます。...今の所私に直接の危害は無いんですけどいつヤバいのが来るのか怖くて......。それで私は強そうな伸一さんに助けて貰おうって思ったんです」
神田は驚愕した。
なぜなら、神田は指川と同じ境遇だったからに他ならない。
指川は宮里に、神田は伸一に開始直後に嘘を知られてしまった。
それがバレた人によってこうも違うのかと。
私はとても運が良かったのだと。
その事実に神田は震えた。
そしてもう1つ。
指川が伸一を頼ったのは懸命な判断だ...と思うかもしれないが、言い換えれば、
指川が伸一を巻き込んだ...と言えることが出来る。
その本質に、神田は気づいていた。
それに気がついた時、神田は何故か笑いが込み上げてきた。
口元が少し緩みつつ、ボソッと呟いた。
「結局みんな...自分が1番可愛いんだなぁ笑」
--続く




