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第081話 最強のドラゴン!


(さぁ、力を示せ! 挑戦者よ!!)



 めっちゃ嬉しそうな響きでカッコいいことを言っている至竜アルバーに。



「じょ、冗談じゃねぇーーーーーーー!!」



 俺は全力の絶叫をもって、お返事する。



(いやそりゃLRだよ? 伝説級アイテムだよ? 手に取ったよ?)



 だからって、世界にこの怪物が6体解き放たれる? 自由にふるまう?



(ちょっとその規模のミッションが発生するってのは聞いてませんねぇ)



 せいぜい、我の宝を狙うのは誰だー? くらいのね。奴を予想してたからね?




(ハッハッハ! いまさら何を言う挑戦者! すでに賽は投げられたぞ!!)



 ですよねー。


 至竜アルバー様のおっしゃる通り。すでに賽は投げられている。



(死にたくなければ足掻け! 今の貴様にそれ以上のことはできまい!)


「はい! できません!!」



 ということで、竜の試練はもう始まってしまったのだ。

 そして今は、世界がどうのではなく、俺がここからどうやって生き残るかが問題だ。




「主様ーー!!」


「白布ーー!!」



 吹っ飛ばされたナナとメリーが、それぞれの場所から俺を呼ぶ。

 この二人の生存も、俺的ミッションに必須項目として刻みつける。



「二人ともそっちで合流してくれ! すぐに俺も向かう!!」



 声を張り、返事は待たない。

 なぜならもう、俺の目の前で世界最強クラスだろうドラゴン様が、お口を開いているからだ。



(さぁ! 数十年ぶりの“吐息”だ。存分に味わえ!!)


「それを味わった人はどうなりましたか!?」


(そこらに降り積もっておるさ!)



 致死ーーーー!!


 俺は装備していた『ぎんの手』を、正面に構える。

 直後!!



「スゥゥゥゥゥ!!」



 強烈な吸い込みから――



「ゴルワァァァァーーーー!!!」



 絶対に食らってはいけない24時、至竜アルバーのドラゴンブレスが放たれた。




      ※      ※      ※




 迫りくる死! 絶対の死!

 これは挨拶代わりだぜ☆ ってノリで放たれた雑魚殲滅のブレス!



「ぐぉああああ! 『ぎんの手』ぇぇーーーー!!」



 そんな一撃を相手に、俺は俺の持つ最高最強の防御の一手を開放する。



「ぎゃあ!!」



 吐息が展開された障壁と衝突し、強烈な閃光を放つ。

 知ってる! これ防災訓練の動画で見た! 火事で炎上中の家の中の映像!!


 『ぎんの手』の障壁じゃ庇いきれない範囲から届く熱で耳が熱い!




(ククク、いいのか? その場に立っていれば、死ぬぞ?)


「へぁ?」



 アルバーからのありがたいお言葉に目を凝らして見ると。



「げっ! 障壁が!!」



 あの時、つよつよミミックの一撃からも守ってくれた頼れる相棒が、吹きつける竜の吐息を前にあっさりと砕け散ろうとしていた。



(やっべ、どうする!?)



 相手のそれは広範囲をカバーしているブレス攻撃。攻撃を逸らすとかいう次元で対応できるものでもない。

 だがこのまま突っ立っていたら、待っているのは確実な、死!



(うおおおおおお、考えろ考えろ考えろ! 何か手はあるはずだ!!)



 無い知恵絞り、全力全開で頭を回す。

 こんなお試し感覚で殺されてたまるかってんだ!




(あっ! これならワンチャンあるか!?)



 閃いた俺は『ぎんの手』を装備していない方の手を前へと構え、声を張る!



「『銀白の大盾』よ! 俺の呼び声に応え、その力を示せ!!」



 瞬間、構えた手に美しい装飾に彩られた大盾が装備され、力を開放する!

 装備適性Aのおかげで、片手持ちでもギリ行ける!!



「俺を、守ってくれぇぇぇ!!」



 叫びと共に展開された新たな障壁が、『ぎんの手』の障壁をカバーする!



「おおおおおおおおおお!!!」



 それでもビシビシと音を立てて障壁たちはひび割れて、今にも砕け散りそうで。



「ボァァァァーーーー!!!」


「なぁぁぁぁーーーーーー!!」



 さらに勢いを増したブレスの圧に押されて、俺は派手に吹き飛び宝の山を転げ落ちた。



「ぐぁぁぁぁぁ!?!?」



 金貨やらアイテムやら、ガシャガシャと色々な物が体中にぶつかって前も見えない。

 衝撃と熱に顔をしかめて、いっそ殺せと心が叫んだ、その直後。



(善哉。我がブレスに耐えるとは、数十年前の冒険者よりは備えがあるらしい)



 そんなアルバーからの言葉に、俺は相手の初撃を乗り越えたのだと理解した。




      ※      ※      ※




(さぁ、ここからが本番だ。我に殺されず、我に確かな一撃を与えてみせよ!)



 ドラゴン様は俺がブレスを乗り越えたのがよほど嬉しかったらしい。

 目に見えて上機嫌な様子で首を振ったアルバーが、その大きな翼を羽ばたかせる。



「きゃあ!」


「わぅぅぅ!!」



 巻き起こる風に、合流できたらしいメリーたちの悲鳴が混じる。

 どうやら風圧だけでも強烈な力が巻き起こっているらしい。



(そして俺は宝の山に埋もれて大ピンチ!!)



 そう、俺は今、動けないのである!

 『もぐらクロー』で掘ったわけでもないため、しっかりと半身が沈んでしまっていた。


 おかげで風がすごくてもよくわからない!



(さぁ、次は我が巨体を受け止めてみせよ! 挑戦者よ!)



 ご親切なことに次に何をするのか教えてくださるアルバー様。

 ゆっくりとあのやばいくらいのサイズを誇る巨体が宙へと浮かび上がり、天井近くまで遠ざかっていくのが見える。


 あんなのがドーンっと俺めがけて飛んでくるだなんて、わかっていても現実感が沸かない。

 ただ、確実な死が待っていることだけはよくわかる。


 っつーか、さっきからやることなすこと全部即死級なの何とかなりませんかねぇ!?



(ならん! 耐えられぬなら、いよいよもって死ぬがよい)



 ですよねー!!


 一切の容赦がない感じ、さっすがー至竜アルバーさんは最強ドラゴンっす!



「死・ん・で! たまるかぁーー!! 《イクイーーーップ》!!」



 俺はとっさに装備をチェンジ! 左手に補助杖を握り、次々と己に強化魔法をかける!



「《マテリアップ》! 《レジアップ》! 《マッソー》《テクニカ》《カソーク》そして《オールゲイン》!!」



 いつもはナナをスーパーナナへと強化する魔法セット。

 だが今回は、普段彼女を強化している以上に、俺の能力は強化される!



「『増魔の剣』!! 俺にかかった強化魔法の効果を高めろ!!」



 右手に装備していた長剣が、効果を発揮した強化魔法の力をさらに引き上げる!



「脱出ぅぅぅーー!!」



 俺は埋まった状態から勢いよく飛び出すと、間一髪でドラゴンの体当たりを回避した。



(見事!!)


「うおっ!?」



 巨体が巻き起こす風に吹かれ、空中を舞う俺の体がまた勢いよく吹っ飛ばされる。

 さすがに今度はしっかりと着地を決めて、俺は竜の飛び去る姿を目に映し――。



「ひぇっ」



 さっきまで自分がいた宝の山が、なくなっているのに気がついた。

 宙を舞うキラキラとした物は、弾け飛んだ宝たちだろう。


 あの中にどれだけの価値あるお金と、レアアイテムがあったのか。

 命には代えられなくても、心は痛む。



(善哉、善哉。さぁ、耐えられるなら打って出よ! 我に確かな一撃を加えてみせろ!)



 だが当の破壊の権化様は、ますますご機嫌麗しく楽しげでいらっしゃる。

 自分の物だから壊しても問題ないのだろう。いいなー!



(無強化『ギガントアクス』はノーダメだった。強化魔法(バフ)かけた今なら、いけるか?)



 俺の持ちうる可能性で算段をつけようとするが、正直言って無理筋じゃなかろうか。

 不意打ちですらない大振りを、向こうが素直に受け止めてくれるとは、とてもじゃないが思えない。

 プロレス的なノリでワンチャン……あったらいいな!




(来ないなら、我から行くぞ、ホケキョッキョ!)



 ホトトギスこの世界にもいたー!!

 じゃねぇ!!


 空中で再びブレスの構えをみせるアルバーの、その攻撃範囲から俺は全力で逃げながら。



「い、生き延びるだけで精いっぱいだコレー!!」



 相手との力量差に、どうしようもなく絶望を感じているのだった。




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