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第076話 ドラゴン温泉の罠?!


「あるじさま、あるじさま、あるじさま~~」


「あ、こら、待てナナ。ステイ、ステイ!!」



 我、全裸。

 装備、なし。


 暴走するナナのパワーに勝てる要素、なし。



「わふわふ~~」



 ぺろぺろぺろぺろ。



「おうわーー!!」



 がっちりと抱き着かれて逃げられなくされた上でのひゃくれつなめ。

 愛情いっぱい込められた動きに、温泉でプルプルになったお肌がでろでろにされる。



「メリー! メリー!!」


「ちょ、待って……」



 頼みの綱であるメリーの助けも、ナナと同じくその身に異常が襲っているのか期待できない。



「っていうか、ナナさん。本当にいったい何を……」


「あるじさま、お慕いしております。はむっ、ちゅ、ちゅううう!!」


「本当に何してくれちゃってるのよー?!?!」



 状態異常中でも冴え渡るメリーのツッコミも空しく、俺の唇はナナに奪われてしまった。



(ぐっ……俺も頭がクラクラしてきた)



 プレートに書かれた礼儀に則って入った温泉だったが、まさかこんな事態になるなんて。



「ん、ちゅ、ちゅー」


「んぐっ!!」



 いや、ナナにキスされたりすりすりされたりぺろぺろされたりするのは嫌じゃないけれど!



「ぷはっ、あるじさま……」



 お目目ハートマークついてるナナは滅茶苦茶かわいいけれども!!



(なんとか、なんとかしなければ……!)



 今は間違いなくピンチ、ピンチなのである!!




      ※      ※      ※




「白布……この原因が、わかったわ!」


「本当か! メリーんぐっ!」


「ちゅううう……」


「キスされてていいから、そのまま聞いて」



 《神の目》を使用したメリーが、この状況に至った原因を見つけてくれた様だ。

 思わずそっちに目を向けたら、キッと睨み返されたので目を瞑る。



「んっ」


「うぐっ」



 すると、引っ付いているナナの感触を滅茶苦茶に感じ取ってヤバい。

 耐えろ俺!! お早い説明プリーズ、メリー!!



「原因は……このお湯! 『竜血水(りゅうけつすい)』のせいよ!」


「!?!?」



 メリーの言葉に俺は驚き、目を見開く。

 なぜならそのアイテムについては、湯に浸かる前にメリーに視てもらっていたのだから。


 『竜血水』。

 高い魔力を持った水と竜の血や汗を混ぜて作り出される、ポーション系のアイテム。

 経口摂取も経皮摂取もでき、疲労回復やスタミナアップ等のさまざまな強化(バフ)を得られる。


 っていう説明だったのに。



「ごめん、なさい。視るのが……浅かったの」



 まだ完全には《神の目》を使いこなせていない彼女が、それを悔しそうにしながら告げる。



「『竜血水』が与えるバフ効果。特に品質の高い『竜血水』の場合、追加効果があったのよ」


「ちゅ、んっ、ぷはっ。それは……?」


「超強力な滋養強壮効果。わかりやすく言えば……媚薬の類に属する精力剤として使えるようになるの」


「あっ」



 察し。



「つまりこれは……」


「体が小さかった分、ナナさんが一番最初に効果を発揮したってことね……その、アレを」



 発情(アレ)だな。



「あるじさま」


「なんだむぐっ!? んん~~~~!?!?」



 やばいやばいねじ込むなねじ込むなぬるぬるして気持ちよくなっちゃうだろ!!


 っていうかもうだいぶん気持ちいいですありがとうございます!!



「んん~~っぷぁ。わたくしを、見てくださいませ」



 発情しているナナもかわいいね。


 じゃねぇ!!



「アウトーーーー!!」


「「!?」」



 突如として声を荒げた俺に、目の前のナナどころかメリーまでびっくりしてるが構わず言葉を続ける。



「メリー! 今のうちに俺の本と白布を持ってきてくれ!」


「っ! わ、わかったわ!」


「ナナ! よしよししてやるから俺の拘束を外せ!」


「お望みのままに、あるじさまっ!」


「良ぉお~~~~~しッ! よしよしよしよしよしよしよしよし、かわいい奴だなぁナナはなぁ!」


「わぅーん!!」



 ナナが俺を逃がす気がないならこっちがナナを押さえ込む!



(ああ~~……『竜血水』の効果が俺にもだいぶ染み込んできてる。ヤバい)



 なんとか理性を保ち続けているが、限界が近い。

 体の至る所が熱くて、今にもはち切れてしまいそうだ。



(なんとかここを耐えきって、メリーが持ってきてくれた『財宝図鑑』から錫杖取り出して、こんな時のために習得しといた浄化魔法の《リフレ》でバッドステータスを解除して……バッドステータスを解除、して?)



 『竜血水』による発情=バフ



(ば、バッドステータスじゃねぇ!?!?!?)



 今の俺に、バフを解除するための魔法は――ない。


 その絶望と。



「あっ」



 メリーの困難体質から発生した、もはやそれは運命ともいえる転倒。


 俺の横を通り過ぎようとしたときに見事にすっ転んだメリーが、俺の顔面にそのほどよく美しい双丘を押し付けて。



「きゃんっ」



 甘い声とともにずるりと滑って顔を擦った、その瞬間に。



「――――っ」



 俺の頭のてっぺんまで、『竜血水』は染み渡った。




「きゃあ! ご、ごめんなさい白布。すぐにとってくるわ!」



 恥ずかしそうに駆け去るメリーの、プルンと揺れる背面の桃を見届けてから。



「あるじさま……」



 蕩けた顔のナナが、その目で欲しいと訴えているのを見た、次の瞬間。



「……そうだな。何を取り繕うとも、しょせん俺は……雄なんだ」



 ナナを押し倒した。




 ………。



「白布! 本と布を持ってき……ひんっ!?」


「あるじさま! あるじさま~~~~!!」


「ナナ! ナナ! ナナ!!」


「あわわわわ……!」


「あぁ、わたくしは、ナナは、ナナはもう!」


「まだだ! まだ俺は足りないぞ!!」


「わうっ。でしたらもっと、もっとわたくしをおもとめください……! それこそがわたくしのよろこひぅっ!!」


「ナナっ! ナナー!!」


「な、ななな……何をおっ始めてるのよこのすかぽんたーーーーーん!!!!」



 この時の記憶は俺にはない。

 ので、説教とともにメリーに教えてもらった。


 メリーは顔を真っ赤にして怒ってたが、バッチリ見ていたんだなってのがよくわかりました。


 まる。




      ※      ※      ※




 脱衣所に置かれたベンチの上。



「あ~~~~」


「う~~~~」



 精も根も尽き果てるまで盛り上がった俺とナナは、当然のように湯当たりしてダウンした。



「ほんっと、バカじゃないの? バカじゃないの? バカじゃないの!? あんな、あんな、なななな……!」



 ぐったりした俺たちを温泉から引きずり出し、介抱してくれたメリーもこの調子である。


 俺たちは見事にここで、休憩を余儀なくされた。



(これが足止めトラップだったら完璧に発動したな……)



 こんな状況があるなら、バフ解除の魔法も探して習得しなきゃいけないな。

 俺の場合装備すればパパッと使えるようになるし、覚えられるアイテムを探さないとだ。



「うぇ……考え事したら頭がいてぇ……」


「本当にバカやってるんじゃないわよ。はい、お水」


「ありがとうおかあちゃん」


「誰かおかあちゃんよ! もぅ……」



 正直まだ『竜血水』の効果が残っているのか、湯当たりとは別に体が熱い。

 メリーみたいな美人さんが傍にいるってだけで必要以上にドキドキしてしまう。



「……今はちゃんと休まないとダメよ?」



 メリーも絶対キツいはずなのに、優しい彼女は俺たち二人の額にそれぞれ手を当ててくれる。



「ここちよい、冷たさにございます……ありがとうございます、メリー様」


「ナナさんも、小さい体で無理をしてはダメなんだから」


「はい……」



 明らかに、前世世界のそれと同じ造りの脱衣所。

 超科学的な造りをしていた扉の存在などから感じられる、俺より前の来訪者の気配。


 言いようのない懐かしさの中で、メリーの優しさは殊の外、俺の心にぶっ刺さった。



「ぁー、メリー好き」


「!?!?」



 眠りに落ちる前の、混濁した意識の中で呟いた言葉は、推しへの愛を告げる軽口で。



「………」



 確かに眠りに落ちた。そんな意識の暗黒の中。



 ちゅ。



 柔らかな何かが、俺の唇に触れたような気がした。



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