4話目
教室に歴史担当の先生が入ってきた。
「今日は近代史の大事な部分を扱っていきます。近代史において・・・」
私は頭がよくなった気がするので歴史を学ぶのは好きだった。テストは嫌いだけど・・・
「やはり近代史の中で特筆すべきなのは亜人に対し基本的亜人権を制定したことにあります。それまでは存在があやふやで基本的人権ではカバーしきれない部分が多く見られました。
人間関係や資産など様々な形態で役職や地位を気付いてきた亜人いて多くの亜人がその庇護下に入るもしくは自由に村を作ったり、旅をして過ごしていました。」
「しかし基本的な亜人権によって亜人は平等になりましたが、それと同時にいくつかの文化は主流の文化に飲み込まれて途絶えてしまいました。さてここで問題です。どうして文化は混ざり合うと途絶えてしまうものがあるのでしょうか?
皆さん一人ひとりで考えてみて下さい。」
文化が混ざり合うと消える? そんなの分かるわけない。
しばらくすると先生がどんなことを考えたかクラスに説いてきた。
様々な意見が上がる。
「音楽性がちがうから・・」 「どっちかが便利だから・・」「需要がないから・・」
「はい みなさん素晴らしいですね。みなさんが考えたように文化が消えるにはさまざまな要因があります。
しかし共通点もあります。それは人の生活と密接にかかわっていることですね。残って現在に続いている文化は生活に必要とされているため残ってきました。
皆さんの生活が未来では伝統になっているかもしれませんね。」
そんな風に先生は言った。
お昼時、教室に香ばしい匂いがたち
「私たちの生活かぁ・・・」
「どうしたの香月?」
「いやぁ 昨日の物語を思い出して、お話が中途半端すぎて覚えちゃってさ」
「ああ あの変な物語ね・・あれと今日の授業がなんか関係あったの?」
「あれも昔話じゃない? だから昔のなんか参考にしたんじゃないかなと思って」
「香月ってたまにぶっ飛んだこと言うよね・・あ、そういえば昨日のUPされた動画見た?」
今日もまたいつものお昼が過ぎていく。
放課後になり空は元気よく訪ねてきた。
「香月! 今日も調査に行く?」
「うん 行こう。 早く終わらせて楽になりたいよ。」
私がそう言うとだったら歴史とか別の情報で適当に穴を埋めてさっさと終わらせようと空は言った。
「そうだね また図書館にでもいこうか。」
と私は答えた。
町の図書館に行った。
私たちは館内限定資料にアクセスした。この地域周辺の歴史がずらりと出てきた。さらりと内容を眺めて関係がありそうなものをどんどん抜き出していった。
「へぇ 昔はここら辺に小さい村がたくさんあったんだね。
作物を作ったりして集団で暮らしていたみたいだよ。 見てみて! あんまり見かけない吸血種もいたらしいよ。今は同学年に1人いたよね?」
確かに一人いる。何度も話したことがある。吸血種は特別な液体による食事が最も効率がいいので専用の飲み物をよく飲んでいる。
私も食事用に専用のジュースを友達と一緒に飲んでいるところを何度も見ている。
「なんでかはわからないけど、このころは今とは違って種ごとに集まって
生活していたみたいだね。」
「昔は効率のいい栄養価の高い植物があったんだって。この資料に載ってる。水が多い地域じゃないとうまく育たなかったんだって」
空は集中力が完全に切れたのか、思い返したように話し出した。
「でも大変だよね。吸血種って栄養摂取の方法が普通の食事でもとれるみたいだけど、特殊な液体からの摂取のほうが効率いいなんてねー。今はいろいろ開発されて楽に生活できているみたいだけど、この頃はそんな物はないからねー。」
「この前、聞いたことあるんだけど今は色々な味があって選び放題だって言ってたよ」
「へぇ~そうなんだ。今の技術はすごいね」
この時代の村人はこの資料に載っている特別な植物を多く栽培していた。
資料には詳しい植生が記載されている。花はガーベラに似た花をつけ、身はムスリカのような実をつけるようだ。
「見て!こっちの花はすごくきれいだよ。」
空は興味をころころと変えながら資料に目を通していった。
ある程度、内容に目を通し課題を終わらせる目途をつけた私たちは図書館を後にした。