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第五話 シュタル先生のドキドキ講座

説明回です。


 「起きてくださいッ! ユキさん!」

 「んぁ!?」


  鼻ちょうちんを見事に膨らまして、居眠りをしていた雪に、シュタルの怒号が飛ぶ。


 「もう! ちゃんと授業を聞いてください!」

 「すみません」


 昨日のあまりにも慣れない訓練のせいで、雪以外もチラホラ夢の世界へと旅立とうとしている。


 今は、"絶賛シュタル先生のドキドキ講座"という事で、城のある一室で、魔法の成り立ちや、魔物(モンスター)の存在など、雪たちの知らない知識を叩き込まれているのだが、如何せん眠い。


 「すぴー」


 今ここに、雪の隣で新たな鼻ちょうちん職人が誕生した、珠鈴である。だが、当然の如くそれをシュタル先生が見逃すはずなく


 「そこッ!」

 「ふがッ!」


 黒板に文字を書いているシュタルが振り向きざまに、チョークを投擲する。まるで後ろにも目があるのか? と思われるほど、それが寸分の狂いもなく珠鈴の額にへと直撃する。


 「ごめんなひゃい」

  「よろしい! では説明します」


  どうやらガシュ曰く、実際シュタルは"王立学園"で教師として生徒の前で授業をしているらしく、今回雪たちの教師役との事で気合いが入っているとの事だ。


 「まず、"魔法"についての説明から入ります。ケイマさん、カイトさん、アカネさんは、魔法の適正があるとの事ですが、昨日の訓練で魔法を行使する事が出来ましたか?」


 シュタル先生の問いに、慧馬たちが首を左右に振る。


 「この魔法ですが、そんな難しく考える必要はありません。魔法はイメージで構成されるものなのです。例えばですが·····」


 ここで、シュタルが人差し指を上に向ける。


 「火をここに――<火炎フレア>」


  すると、人差し指に炎が出現した。


 「このように、今は小さい炎をイメージしていますが、大きい炎をイメージすると·····」


 次は、ゴオォと炎の勢いが強くなる。これには全員の眠気が吹き飛び、目の前の摩訶不思議な出来事に釘付けになる。


 「ほら! 簡単でしょう? ちなみに炎の成り立ちや、どうすれば燃焼が加速するのか? という観点を重点的にイメージすると、強力な魔法が放てますよ」


 さすが教師というべきか、実に分かりやすい授業である。昨日あれほど苦戦した魔法が今や簡単にポンッと出せるものとなった。


 「ほらっ! 海斗見ろよッ! 俺の指に風が巻きついてるぞ!?」

 「僕もあれほど出来なかったのに、今ではほら」


  慧馬は人差し指に風属性の魔法を、海斗は火属性魔法をお互いに出し合っている。だが、全員が全員できるという訳でなく·····


 「やっぱり無理か·····」


 ステータスの能力スキルで『魔法適正ゼロ』という前代未聞のステータスを出した雪は、苦虫を噛み潰したような顔で呟く。その呟きの呼応するように珠鈴が声をあげた。


 「私も無理だよぉ」


  机に突っ伏し不貞腐れる珠鈴。頬を少し膨らませている姿は実に可愛い。そんな珠鈴にシュタルが助け舟を出す。


 「ミスズさん。多分ですが、あなたは身体強化に関する魔法に適正があると思いますよ」

 「はい先生〜、身体強化ってイメージとしてはどんな感じなんですかぁー?」


 そんな珠鈴の問いにシュタルが見本として実践しながら説明する。


 「例えばですが、足の身体強化は足の裏にバネがあるようにとか、拳を強化するならガントレットをイメージするのも一種の手ですね」


 そんなシュタルの腕や足は薄く青白く光が纏われているように見える。


 「このように魔法には色々な種類があります。これは五大元素が元にされていて、順に『木』『水』『火』『土』『金』の五つの属性に分かれています。しかも、魔法はこれから更に派生していくことが出来るのです。ちなみに、身体強化は金属性に分類される魔法です」


 身体強化をそのまま維持して、解説をしていくシュタル。途中で足にかけている身体強化の魔法を見せながら説明してくるのだが、服装も相まってなんというかものすごくエロい。


 現在シュタルの服装はと言うと、黒のスーツに身を包まれており、下は黒のミニスカートである。足はストッキングが履かれており女教師という感じだ。そして、そのストッキングの肉感というのが、実にエロいのだ。


 健全な男子高校生としては、反応してしまうのも仕方がないのだろうが、女性陣の"圧"が怖いので男子全員が全力で見ないふりをしている。


 しかし、見ない"ふり"なので目線は自然と、その妖しいストッキングに向けられるわけで


 「ゆ・き? 何処を見ているの?」


 案の定、隣でギンっと目を見開いてる珠鈴に怒られたのは言うまでもない。近くで慧馬と海斗が雪に向け、合掌をしている。


 「す、すみません」


 急いで、謝りご機嫌をとる雪。しかし、そう簡単には珠鈴のご機嫌は取れない。


 フンっと顔を背ける珠鈴にあたふたしていると、次はシュタルからのチョーク攻撃ッ!


 「ユキさん、しっかりと授業を受けてください! 今日で何回目ですか! ほらっ、しっかりと顔をこっちへ向けてください!」


  一体どうすれば!? と訴えかける哀れな雪。


 「もう! ユキさんが聞いていなかったのでもう一回説明します! 次は魔物モンスターの危険性についてです。まず魔物とは、ローノが自らの身を守るために生み出した凶悪な生物の総称です。魔物は神殿ダンジョンはもちろんのこと、世界中に蔓延っています」


 曰く、その種類は未だ分かり切っていない


  曰く、大蛇から龍まで危険な魔物は存在する


 などなど、魔物が如何に危険なのかという事を計 二時間みっちりと叩き込まれた。


 「·····なので、呼び出した身としては心苦しいですが、十分に魔物には気をつけて下さいね」


 最後にこう締めて今回の"絶賛シュタルのドキドキ講座"は幕を閉じたのであった。

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