第三十八話 王都炎上その後
短いです。
王国炎上から数日後――
「ギルドマスター、次はこちらの家の修理です」
カナの声に合わせ、カマー含む冒険者陣は移動していく。
現在、冒険者ギルド全員で王都の復興を始めている。
王と姫の不在は伏せて、実質一番権力を保持しているのはカマーということで冒険者が復興の手伝いをしているのだ。
「ギルドマスター·····」
「そうね」
二人して脳裏に浮かばせる人物は一人――雪だ。
魔物襲撃の際、指揮する魔物を討伐を依頼し、森から帰ってきた彼らは酷く消耗し、特に雪とセラの様態が酷かった。
カマーとカナは知らないが、あの時放っていた雪の力は神と等しい程である。そこに生身で飛び込んだセラもまた外傷は酷い。
現在、冒険者病院で二人とも緊急入院している。
「さぁ、終わらせてしまいましょう!」
「「「「「おぉー!」」」」」
◆◆
「ヘックシュ!」
くしゃみをして鼻をすする雪。
「誰か俺の噂でもしてんのか?」
「さぁ?」
緊急入院と言っても人外レベルのステータスを誇る二人にとってはもう既に回復している。
現在は、雪が後ろからセラを覆い被さるような状態となっている。
「にしても、悪かったな」
あの時のことを思い出し何度言ったか分からないほど謝罪する。
「別にいいよ」
こういつも返すのだが、雪としてリリスとの約束も含め自分がセラをという思考なっていたので納得がいかないのだ。
しかし、あの時セラに言われ、雪の思考も変わりつつある。
それは壊れた心が回復している兆しでもあるのだ。
これにセラは笑みを浮かべる。
「ん? どうした?」
「んーん。なんでもないよ」
そして次は二人して笑い合う。
彼らが放つそれはリア充のそれと同等、いやそれ以上の何かが放たれている。
ハートの幻影がチラチラ見え始め、他の患者も生暖かい眼差しを向けているが、若干名殺気も向けているがそんなの気にしない。
そんな奴らには神格化の使用後に神の力の本質に適応した雪がピンポイントで魔圧をぶつけ黙らせる。
そんな、誰か止めさせてと願う彼らの願いを叶えられるかもしれない者が現れる。
「主様ー」
ハクだ。最初のうちは主である雪を信じることが出来なかったと会うことを躊躇っていたのだが、セラの仲介の元最近になって元に戻った。
そんなことも含め彼らは現在甘々な雰囲気である。
故に止まるどころか加速していく一方で、彼らが涙目になったのは言うまでも無いだろう。




