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第三十六話 神格化と暴走 後半

お久しぶりです。すみません。

今回、セラ、三人称、セラの順に視点が切り替わります。



 理解が出来なかった。


 突然、光の奔流が見えたかと思って全速力で向かえば、殺気を放つハクと明らかに常人とはかけ離れていたユキ。


 ハクが状況を説明をしてくるが、理解が出来なかった。


 何で?


 そうこうしている間にハクはユキに向かっていった。

 今までハクの実力に関しては半信半疑であったが目の前に行われている戦いは私には追いつけなかった。



 両者光を纏った状態でぶつかり合う。


「次の敵か?」


  ニタァした笑みは依然変わらず、ユキが問いかけるがハクは無視して腕を振り下ろす。

 大地が震える、裂ける。だが――


「ギヒッ」


 雪には、歯を見せ笑えるほどの余裕がある。これには歯噛みするしか無かった。


「神格化ッ」


 やはり神格化している雪には同じく神格化するしかないと、発動。

 すると長身は縮み、あの時の幼女の姿となる。


「これなら――えっ?」


  これならと思えば目の前には魔弾が接近していた。


(なんで主様の技をッ!)


 だが、そんな考えは目の前の魔術により打ち消される。

 直感で悟るこいつは主の皮を被った化け物だと。再度認識する世界を滅ぼすほどの力を秘めていると


「話と違う!」


 異世界からきたと語った主は自分が弱者と言っていた。

 魔術も見ただけでは対処できると思っていたが誤算だった。


「神の力を使いこなしている?」


 そう、神格化したのはついさっきだ。

  しかし、目の前の雪は使いこなしていると言っても過言では無い。


 それはあるいは自分よりも·····


「しまった!?」


 考えれば考えるほど雪に隙を与えてしまう。

  腹に左手を当てられ、瞬間的にその場を離れるが、蹴空にて間を詰められ魔弾に翻弄され、魔圧により動きを封じられる。


 こんな化け物にどうやって勝てる? 絶望しかない。

 隙がない、完璧な技の数々。


 ハクは知らなかったのだ。人間の思考とは既にかけ離れている雪の思考は高速化しており、常に360度全てが彼の間合いであるのことに

 神格化を使いこなしているのは全てはスキルの【適応】が故に言うことを


 適応とは異世界人である雪たちは全員所持しているのだが、異世界に適応する。異世界語が分かるの他にその場に適応する、その力に適応する力も含まれていることに

 故に勇者たちは自分の力に慣れること対し異常な程の力を発揮する。


 ハクは侮っていたのだ。

  主とはいえ人間。しかもついさっき初めて神格化を使用し、その力に振り回せられているとそう思い込んでいた。


 しかし、現実は違かった。あの時万物全てに作用する神の力を知ったのは【適応】があったからだ。

 故に雪は既に神の力を掌握している。


 真に警戒すべきは彼の精神的な成長が不十分だったことだ。

 極限状態(ダンジョン生活)により、力は手に入れた。


 生きる意味も手に入れた。悲しみも知った。しかし、それは全て彼の心に傷を与えるだけでその心は不安定なままだったのだ。

 生きる意味は手に入れた、だがそれは依存するという形となってしまった。


 セラを幸せにする? それは己で決めたことでは無い。それが自分に出来る罪滅ぼしとして、それしかないと依存している。

 それは一種の病気といっても過言ではない。


  彼の心はヒトガタに襲われた時に止まったままなのだ。


「主様·····」


 しかし、その心中はハクには伝わらない。だからこそ、ハクは全身全霊の技をもって雪を殺すために己の手に魔力を溜める。


 その神々しいほどの輝きはセラを我に返せるには充分だった。


「ハクッ!」


  呼びかけるが一瞥するだけで、耳を傾けない。


「ユキッ!」


 呼びかけるが見向きもしない。目の前の標的が放つ技を防ぐために、己の右腕を形成させる。


「·····――<魔腕>」



 何で?


 ユキが消える。ユキには魔力の超回復があるが、一発の溜めれる魔力量は圧倒的にハクの方が勝っていた。


 ユキが消える?


  また消える。


 私はそれを見るだけ、その場から逃げるんだ。


 私は成長していない、力も精神(こころ)も全て·····


 ユキに任せてきた。ダンジョンでの白虎戦も、ヒトガタ戦も私はユキに任せていただけ。


  いいや、違う。足でまといだった。ヒトガタ戦は担がれ、白虎戦ではユキを瀕死まで追い込んだ。

 いつだってユキを傷つけていたのは自分だった。


  何が狼人族だ。何が剣士だ。何がお姉ちゃんにあの世で話してあげるんだ?


 話せない。お姉ちゃんに顔向け出来ない。資格以前の問題だった。

 このままではまた奪われる。


 神様が奪うんじゃない、自分が奪ってしまうんだ。


 だから·····――


「セラちゃん!?」


 ハクの声が聞こえてくる。それもそのはず、だって私は彼女の前に立っているんだから


「お願いまって! 私が連れ戻してくる」


 今度は私が救うんだ。


 彼の右腕として、彼に魔腕を使わせる訳には行かない。仲間同士で戦わせる訳にはいかない。


「あれはもう主様じゃあ――」


 ない、と言おうとしたのだろう。だが、私は信じているんだ。

 だから何度でも呼び続ける。ユキは戻ってくる。神の力に負けるはずがない。


 だから、だから、だからッ!


「ユキ!」


 私は飛び込むんだ! 彼の胸に!

更新が遅れてしまいましたが、そろそろこの王都炎上篇も終盤に差し掛かってきました。

では、次の更新をお待ちください。

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