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第二十四話 クエスト

すみません。

二章が増えて困惑されていると思われますが、考えていた案よりもダンジョンを脱出した方が区切りが良く、こうさせてもらいました。

今後、二章死神篇を書いていくのでよろしくお願いいたします。


「あ〜だるいなぁ」


 王都近くの草原にてそこに似つかわしくない格好をした男が女の子を二人連れて歩く。


 言わずもがな、雪たちである。


「そんなこと言っちゃダメ。これも仕事なのよ? シルバーだが、プラチナだか知らないけど頑張りなさい」

「そうだよ。主様」


 気だるそうに歩く雪に二人が注意するのだが、如何せんやる気がでないのだ。


 それにはもちろん理由があり、時は二時間前に遡る。


 早朝――


 雪は起こされてギルドにへと向かわされた。なんでも盗賊が出たらしく討伐して欲しいとのことだ。


「なぁ、カナ。なんで俺はこんな朝早くからむさいおっさんたちを殺しに行かなきゃいけないの?」

「知らないですよ! もうっ、しっかりしてください」


 ギルドに登録したまでは良かったのだが、それからことある事にクエストやら依頼やらで正直休みがない。


 未だ神が封印されているこの世界では、不祥事やら事件やら更には魔物やらが毎日のように問題となっている。


 それを解消するのが冒険者であり、雪たちだ。


 しかしながら、雪にとって冒険者とはもっと自由な奴らだと思っていたので、いくら金を貰えどだるいものはダルいのだ。


「俺が見た本の冒険者ってさ。もっと自由な奴らだって書かれてたんですけど」

「それはどこの馬鹿が書いたんですか? 仕事に休みは無いですよ?」


 死んだ魚のような目をしたカナがニッコリと愚痴をこぼす雪の方にへと向く、


(怖いよぉ、ヤバすぎだろ)


 その姿は正しく化け物、いやもののけ。もう、それほどまでの闇を抱えていた。


「もう、分かったよ。で? 今回は?」

「盗賊が出るとの事でしたので今回はそれの調査、あわよくば討伐です」


 雪は、クエストは掲示板にへと貼られ、そこから受注すると思っていたのだが、この世界は違うらしい。


 朝の集会で各受付嬢もしくはギルド職員に伝達がされ、担当の冒険者にへと依頼をするとの事だ。


 今回も泊まっている宿『ファンスの宿』から、引きずり出されてきた雪。過度な労働に、休む時間すらないとなると、金を貰えるからと言ってもテンションは下がるものだろう。


「ではよろしくお願いいたしますね」

「分かりました」


◆◆◆◆◆◆◆


 そして今に至るという訳だ。


「連日出勤に睡眠不足。どこのブラックだよ」


 ストレスは溜まるわ、テンションは上がらないわで色々と溜まっているのだ。


「そういえばストレスでか知らないが、白髪が増えてんだけど·····」

「それは神格を手にした影響なので気にしなくて良いですよ?」

「マジでか」


 将来の自分を見て、喜ぶ雪。


(白髪かぁ、地球だと変な人だが、この世界で白髪はカッコイイもんなぁ)


 少しばかりテンションが上がり、未来を妄想していたのだが、せっかく上がったテンションも下がってしまった。


「チッ! 楽しかったのによ。相手方が集まってやがる」


 約十五人ばかしの気配を察知したのだ。


 しかし、ここで不思議がる人もいるだろう。能力では気配察知がない雪が何故分かるのかと


そう、別にこれは魔術でもなんでもない。己の勘である。


 西の神殿(ダンジョン)で培った己の勘。恐ろしいのはそれがほぼ百発百中であることだろう。それほどの極限状態を生き抜いた雪が手にした魔術とは違うもう一つの力だ。


「だけど、これ俺らに意識が向いてねぇな」

「どういうことよ?」

「一人に集中している。多分これ襲われてんじゃねぇか?」


 それならヤバいと瞬時にセラとハクを抱き、蹴空を発動させ、気配のある森にへと向かう。


「アレっぽいね」


 ハクが指差す方向には女の子一人に十四人が群がっていた。


「じゃあ脳天をぶち抜くか」


 人差し指に魔力を集め、魔弾を出そうと狙いを定めるがしかし、それをセラが止める。


「ちょっと待って!」


 雪にとっては、この世界に来て初めてのテンプレだ。


 前はモブキャラかと思えばオカマであったりと色々と出鼻をくじかれたものだ。だからこそ、盗賊に襲われる女の子を助けようと必死なのだが


 瞬間、()()()絶命したのだ。


 そう、一瞬、ほんのコンマ何秒かの領域だった。女の子に触れた男を中心に一瞬で死んだ。


「は?」


 これには然しもの雪でさえも目を点にするしか無かった。


 か弱い女の子が返り血により、真っ赤に染まったその姿は女の子というより、化け物とさえ思ってしまったのだから

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