2-6.伝説の?
昨日の夜はおかしい事ばかりだった、ヨウ自身含め。
刀を目の前で収納してしまったが、何事も無いように振る舞われた。
死にそうな程のダメージを、治癒を知っているかのように与えてきた。
本当に殺すつもりなら夜出向いてすぐにでも殺せただろう。
少なくとも、コレダのマスターと同様かそれ以上にヨウの事を知っている。
何も話していないが、あの対戦でそこまで見極めたのか?
違う、裏ルートがある。
ヨウ自身からの漏洩だ、そこまでは『解明』できた。
『窓』に尋ねても反応しない。
分からないとも返答しない、意外と馬鹿なのかワザとか。
織り込み済みか。
少し気分が悪いが、あの「狂気」を感じた時のように一方的でないだけ良しとしよう。
やるべきことは・・・
ルーナを護り、奴らを壊滅させる。
爺ちゃんのような敵がいないことを祈るばかりだ。
いや、それより強くなれば・・・なれれば。
日曜なのに午前からギルドマスターに呼び出しを食らった。
3人揃って来いという。
応接室に通される。
流石一流ギルド、有り余る広さに20人位座れるテーブル。
調度品もすべて高そうだ、カレンが目を輝かせる。
「あの剣、ほしー」
「泥棒は禁止だ、いいな」
「はーい」
壁にかかった剣を欲しがるカレンだが、言えば素直だ、今のところ。
ヨウの貰った刀は・・・善意の第三者というやつだ。
入手経緯を知らずに貰ったので問題無い、間違いない、そうに違いない。
ここの法律があるとすればもっと緩い気がするし。
マスターが入ってきた。
場所取りが分からず広いテーブルの真ん中あたりに3人座ったが、爺さんはその反対側に座る。
「ほれ、古いのは返しといて」
ギルドカードが3枚。
ヨウとリーナは登録済みだから分かるとして、カレンの分まである。
カレン ヒト亜種 女 122歳 ランク★A
ビックリだ、Aと刻印してある。
もしかしてカレンだけ?
いや、全員同じ ★A だ。
「あの、えっと」
何から聞くべきか見当がつかない、こんな時こそ冷静の使い時だ。
聞かなくとも爺さん・・・いやマスター様から説明してくれた。
「ドラゴンキラー・・・。
各地Aランクが集結したのは知っておったじゃろう。
誰も出来んかった仕事をやり遂げた事だけでAランク相当じゃろ」
ヨウがエリザベスを殺すまでの経緯はカレンも知っている。
ドラゴン殺しという言葉に反応は薄いようだ。
「『流星群』との試合で実質試験済みじゃし。
ナザルも強く推薦したし、謝って欲しいと言っておったぞ。
後は、わしが普通に書類を作らせただけじゃな、特例込みで」
普通なのか特例なのか、まあ権力で作らせたという事だろう。
マスター様が自分のカードを見せる。
ジー・サン ヒト 男 78歳 ランク★★A
ジーさんで合ってた、まさに見た目も歳も名前もジーさんだ。
そうか、この世界では言葉が違う。
きっと格好良く聞こえる名前なのかも。
星が多い、階級みたいなものか。
あと興奮で忘れていたが、カレンは「ヒト亜種」になっている。
少し事実と違うような。
「カレンの種族はどうやって?」
爺様は、ルートは分からないが『窓』と通じている。
事実を知った上で偽装しているはずだが、あえて聞く。
「うむ、最初に窓口で登録したら大騒ぎじゃろ。
この機会に当たり障りない感じにしといた。
このクラスは自由じゃから本人希望で歳を誤魔化すのも良くあるしのう」
爺ちゃんはギルドカードを渡すためだけに職員共々出勤したようだ。
礼を述べ、ギルドを後にする。
宿へ戻った後はショッピングへ、キリカも一緒だ。
キリカもショッピングが好きなようだし、こちらも物選びで助かる。
カレンの洋服を買いたいが・・・。
これからいろいろな場所で戦闘するだろう、そのために加わったのだ。
どうしても必要でなければ人型のままぶつかったり火を吐いたり?する。
キリカに尋ねる。
刀のように「破壊不能」とか付いた普通っぽい服があればいいが。
「そりゃ防具になるじゃろうな。
あの力で数回ぶつかれば防具でも無理かのう。
「不壊」属性防具なら何とかなりそうじゃが、高いぞえ」
「あたしが盗ってきてあげるよー」
「盗みは禁止だ、めっ」
「はーい」
カレンにはきちんと言っておかなければ。
返事はしたが今日2度目だ、大丈夫だろうか・・・。
「あと、リーナは魔杖は使わんのかえ?
あれ程の実力で持っておらんのは不思議じゃが」
「貧乏でぎりぎりだったから。
無くて当たり前だったよ、うちの近所では。
別にいらないし」
昨日の対戦相手は杖を持っていた。
ヨウが剣を使うように、リーナも杖を持つべきだろう。
思いつかなかった。
「カレンの服は当然だが、リーナの杖もできるだけ早く買おう。
気が付かなくてごめんな」
「ううんいいよ、ヨウがそう言うんなら安物でいいから使う」
いや、安物と言わず・・・まだ金が無いか。
ドラゴン討伐の報酬はどの位なんだろう、依頼状を見てもいない。
キリカが案内する気満々だったが、色々変わってしまったようだ。
試験で訪れて数年ぶりらしい。
あっちだこっちだと言いつつ店に辿り着けない。
「あのでっかい建物見てみましょうよ」
「あんなの前には無かったんじゃが」
近づくと、お馴染みの武器屋の看板、並んで魔法ショップらしき看板。
「魔法屋と武器屋一緒とは反則じゃ!」
普通は別々なのか、一緒のほうが便利だろうに。
服屋はまた別のようだが、これだけでもデパートみたいだ。
入ってすぐの案内嬢によるとこういう店舗が主流になりつつあるという。
用途の重複する物も多い、店にとっても客にとっても良い事だ。
1階は日用品から衣類まであった。
全て庶民向けだが、他店を侵食しつつあるようだ。
日本の家電量販店を思い出す。
2階から普通の武器防具が並ぶ。
ヨウが今身につけているくらいの物まである。
そういえば、もっとちゃんとした物を買うべきではないか。
先立つものが必要だが・・・。
まあ、当たらなければどうということはない。
昨日の爺ちゃんの攻撃で無傷なのが不思議だが。
3階からは武器防具に交じり魔道具も置いてある。
店員がジロジロ見てくる。
高そうな商品が多い、当然か。
「目ぼしい物は無いのう・・・。
仕方ない、上を見てみるか。付いてくるが良いぞよ」
壁に沿う4階への細い階段前には衛兵、ではなく警備兵がいた。
キリカがギルドカードを見せると敬礼する。
「連れのものじゃ」
「申し訳ないですが、貴族様のお付きでなければ無理です」
「なんじゃと、Aランクの連れが入れんじゃと」
「厳しくなりまして」
「はいれないのー?」
「いや大丈夫だから、カードを見せてあげて」
カードは特別な場合を除き、各自が所持しないといけない。
3人共ギルドカードを取り出し、見せる。
「失礼しました、どうぞ!」
「いや、すぐ出さなかったから。すまなかった」
ヨウが詫びる、なんとなくシステムが分かった時点で出すべきだった。
「なんじゃ、お前たちも昇進しとったか!
早う言わんから、恥をかくとこじゃったぞい」
「あの試合で相手と爺ちゃん・・・ジーさんに認められて」
上階には目も眩むほど高額な商品が並んでいる。
安くて数百万円・・・じゃなくて数百ゴールドだ。
カレンに使えそうな防具類を探す。
ファッショナブル?な子ども用の服っぽい鎧があった。
500ゴールド程だ、安い?
貴族が特注で作らせ、不要になり売ったそうだ。
成長して着れなくなったんだろう。
中古だが丈夫さは折り紙付きだ、我が子を守るために作らせたのだ。
一緒に試着室へ。
多分親子か兄妹と思ってくれるはず、多分。
「ダボダボの服を脱いで・・・パンツは履いていなさい!」
鎧を一旦ストレージに収納。
「泥棒するのー?」
「違うから」
「これでどうかな?」
成功だ、一発で着せられた・・・脱ぐ方もこれでいけたのか。
ちょっと大きめだが微調整で済みそう、このままでもいけるか。
せっかく来たので皆にもお披露目。
「かわいい、似合ってるよ」
「うむ、普通に舞踏会に出れそうじゃ、行ったことはないが」
「このままお持ち帰りになりますか?」
店員がスッと現れた。
「いやいやいや、着てみただけで」
「念の為カードを拝見できれば」
しぶしぶ見せる、偽物とでも思われたのか。
「警備から伝わりまして、ギルドにも問い合わせておりました。
このままお持ち帰りくださいませ」
「どういうこと?」
「ギルドマスターからご説明申し上げるようにと。
これらはギルドから支払われ、必要と認められる分は肩代わりされます。
それ以外の不足分はギルドに無利子でお納めくださいとの事です。
なかなか無いことですので当店でも戸惑っておりました」
「そんなのわしはやってもらったことないぞよ」
「はい、Aランクはそうですね」
「ちょっとカード見せてくれんかのう・・・」
キリカは納得行かないようだ。
「ランクに星が付いとるが?」
「はい、えーあの・・・、星の方はそういう扱いです」
「そういえば、ギルドの爺・・・マスターは星が2つあったな」
ヨウは思い出し、そのまま言った。
「マスターは伝説と言われるSSランクと噂されておる。
SやSSというのは実在するかさえ・・・」
「ギルド相互の取り決めでして、そのあたりはくれぐれもご内密に!」
現在スキル・称号:
『会話』(初期設定)
『リワインド』
『治癒』
『加速』『自己加速』
『回復』『簒奪』
『剣竜』『防御無視』『魔断』『跳躍』『空壁』
『感知』『威嚇』
『解明』『交渉』『尋問』『冷静』
『模倣』『解体』『騎乗』『上級鑑定』
【多くの信頼】
【剣の心】
【竜の同盟者】
ステータス:レベル125(37回目)
体力2368、魔力1352、スタミナ2368
強さ2368、素早さ2368、知力1921、運100
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