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2-1.竜の涙

第二章開始です。


「お前たち、本当にワイバーンは初めてか?」

かなり高空なので景色はゆっくり流れる。

町らしいものが見えてもいつの間にか後方になっている、かなり速い。


「訓練無しの者を乗せてこれだけ安定して飛べるとはのう。

1日で着いたりして」


ドラゴンやワイバーンは魔法で飛んでいるそうだ、風圧も感じない。

翼が飾りかと言うとそうでもない、片翼でも怪我したり失うと飛べない。

その辺は正確には解明されていないようだ。


体重が均等になるようにヨウはキリカと、リーナは騎手と一緒だ。


「アレは多分ストコの町じゃ」

最初はあちこち地名など教えてくれるが話が続かない。


「のう、まだ結婚しておらんのじゃろう?

いつするのじゃ? こどもは何人作るのじゃ?」

本性を出してきたようだが、その方が楽だ。


もちろん下世話な質問には答えない。

「キリカさんはどちらから来たんです?」


「忍者の里じゃ」


通称ではなく、そういう名前の町だった。

ハーレム勇者か別の異世界人が残した物かも。

住む者は殆どが観光で身を立てていて、忍者物の芝居が有名らしい。


一方、多くの若者が本物の忍者を目指して冒険者となる。

ほぼ冴えない冒険者で終わる中で突如現れた才能がキリカだ。

単独Aランク、それ程の者は世界でも滅多に出ないのだ。


「小さい頃イノシシに吹っ飛ばされてのう、その時地面に砂粒が。

青く光っておって吸い込んでしまったんじゃ・・・。

あ、親にその時話したきり誰にも言わんかったんじゃが」


『尋問』が働いたが、本人は単なる思い出話のつもりらしい。

「こんな超どうでもいい事、何で思い出したんじゃろうな」


キリカの元の「底の深さ」は知らないが、光は関係しているはず。

試合では出さなかったが、もっと強力な能力を持つかもしれない。

ヨウも普通の加速しか使っていないし。


リーナも光が入ってきたと言っていた。

元々才能、「深さ」もあり、光も毎晩注入して・・・やめておこう。



思いのほか話は弾んだ。

ヨウは「へえー」とか「そうなんだ」位しか言っていないが。

リーナは暇そうだ。


突然ワイバーンが旋回しだした、二匹とも。

振動が起きている?

ワイバーンがブルブル震えているのだ。


キリカが降りるように手で示したようだ。

夕方にはまだ間がある、1日も経っていないが速すぎてもう着いた?

少し戻り、安全そうな平原に着陸。



「ドラゴンがけっこう南まで来とるぞよ、走って向かう」

まだ感知には引っかからない、相当遠いがワイバーン達は怯えている。

キリカには分かるのかもしれない。


荷物も持たず、すぐに走り出すキリカ。

この辺は打ち合わせ済みだろう、お付きの方がちゃんと。


かなり速い、どれほどあるのか分からないのにこのペースでいいのか。

リーナが遅れている、ヨウは待ってからお姫様抱っこする。

この状態で付いていけるか、無理なら自己加速を使うが。


一旦視界から消えたが、キリカを感知で捉えている。

ヨウは後を考え無理のないペースで走るが、一旦加速を使うか・・・。

いや追いつきそうだ、ああ見えてペースを落としてくれている。


「お、追いつかれてしもうたか・・・」

言葉から察すると、ペースを落としたんじゃないのか。


「地上にいそうじゃが、はあはあ、飛ばれてしまうと、はあはあ、いつおいつけるか、はあ、はあ、わからんぞ」


「位置や遠さは分かります?」


「きっちりは、はあはあ、わからんがあと、はあはあ、30分くらいか」

ヨウも感知した、でかくて強い、その程度だけ分かる。

「感じました!」


ヨウはなぜか余裕がある。

先に行ってもいいが、キリカの疲れが心配でペースを合わせる。




煙が上がっている。


赤いドラゴン、西洋型の胴が太く首の長い竜だ。

尻尾を除いても20メートルはありそうだ。

砦か、いや崩れかけた城か、内部で燃えているのだろうか黒煙が凄い。


騎士が足元付近にいるが近づけないようだ。

多くの鎧が・・・死骸か、ころがっている。

弓などは撃ち尽くしたのか。


「リーナ、この辺から魔法が撃てるか」

「うん、いける」


ドラゴンのステータスは敵意があるので見える。

ヨウは見た瞬間ショックを受けた。

まさかそんな・・・。



城内から脱出しようとしているらしい気配が見える。

だが、まずドラゴンをどうにかするのが先だろう。


キリカとともにドラゴンへ走る。


目が合った、ドラゴンと。


接近するとブレスが来た、数十メートル伸びてくる。

黒焦げになりそう、慌ててなんとか躱す。


リーナの氷槍が当たるが、弾かれている。

キリカは足を斬りつけている、彼女くらい素早くないと踏み潰される。


頭か目を狙おう、逆側へ一気に跳ぶ。

壁があれば一気に跳ねて攻撃できそうだが、一旦着地する。

スキルが生えた。


まともにブレスが来た、ヨウはタゲられ着地を狙われた。

タイミングぴったりで加速でも避けられない、即治癒コースだな。

ダメ元で、いや勝手に魔断が発動。


ブレスが消えた、炎は魔法だったのか。



生きている騎士がいる、巻き添えになりそうなので抱きかかえて離れる。


暴風が巻き起こった。

ドラゴンがはばたき、もう浮き上がっている。

真下へ跳ぶが、もうドラゴンは数十メーター上がってしまった。


間に合うか。

跳ぶ瞬間だけ自己加速オン、景色が真っ赤になりロケットのように跳ぶ。


さっき出たスキルは『空壁』、どこかに壁を作り軌道修正を・・・。

薄い壁のような塊が見える、蹴って軌道を変えつつ加速、届く。

翼の根本を斬りつける、自己加速で何度も。


グガァー、キィー

悲鳴を上げるような鳴き声だ。


ドラゴンは斬りつけられた右翼側に傾き、落下していく・・・。


下に怪我人がいないか!

ヨウはまだ落下を始めていない、上側に『空壁』を作り手を付き、蹴る。


ドラゴンを追い越して落下する。

なんとかバランス修正、片手と両足で着地。


通常加速、上を見上げ落ちてくる場所や周囲を確認する余裕がある。

そのまま5人移動させる、動けるものは自分で逃げている。


自己加速ならもっと早いが、オーガーの体当たりと同じで人が耐えられないかもしれない。

洞察が告げているから本当にそうなのだろう。


加速を切ると普通の速さでドラゴンが落下。

爆発のような轟音が響く。



リーナがいつのまにか近くまで来ている。

墜落したドラゴンはリーナを一瞥、瞬間尻尾を振った。

狙われてる! 加速を・・・リーナが消えた。


少し離れて現れていた、覚えたばかりの次元魔法か、スキルか。


キリカは首を斬りつけているが、弾き飛ばされた。

自分で跳び逃げたのか、何とも無さそうだ。



ヨウは一気に跳ぶ、首を狙い仕留める。


まともにブレスが来るが魔断で斬る。


首をひねり躱すドラゴン、だが『空壁』で跳ね頭に乗れた。

だが翼を斬りつけても切断はできなかった、斬れるのか。


『防御無視』が増えた。

都合が良すぎる。

違う。


理解した。

『洞察』は『解明』に進化していた。


光か、「何か」が必要なスキルを探っている。

「何か」がなんなのかは知らない。

戦いと危機でスキルが増えるのは、身を守り勝つ方法を探っていたのだ。



ドラゴンは動かなかった。

覚悟したのか。


(ゆるして)

声がどこかから聞こえた。

目に涙が見えた、ドラゴンの目に。


ウミガメの産卵で涙を流すのをTVで見た。

確か塩分排出の生理現象だったと思う。

そういうのとは違うと思った、声が聞こえたせいもあるのか。



多くの人を殺したに違いない、ここでもそうだ。

許すことはできない。


脳天に剣を突き刺した。

更に突き入れる。


キリカとリーナは離れて見ていた。

ドラゴンの動きが止まったせいか。

やはり声が聞こえたのか。




最初にドラゴンのステータスを見てショックを受けたのは・・・。


全て900台だった、1000に満たなかった。

ヨウよりも遥かに低かったのだ。

もちろん体格や属性などがあり、そのまま適用はできないはずだが。



リワインドされて1からのレベル上昇は・・・

125だ、オーガー5匹分でしか無い。

そんな事を思うのはヨウだけだろう、特殊過ぎる。


だが大きな意味があった。

ドラゴン討伐というだけでなく、未解除ウインドウのロック解除。

全てのウインドウが開放されたようだ。



そして、もう一つ称号が増えていた。

【竜の涙】

不思議な称号だ・・・。


現在スキル・称号:

『会話』(初期設定)

『リワインド』

『治癒』

『加速』『自己加速』

『回復』『簒奪(さんだつ)

『剣王』『跳躍』『魔断』『防御無視』(NEW)『空壁』(NEW)

『感知』『威嚇』

『交渉』『冷静』『尋問』『解明』(NEW)

『模倣』『解体』『騎乗』

【多くの信頼】

【剣の心】

【竜の涙】(NEW)


ステータス:レベル125(37回目)

体力2368、魔力1352、スタミナ2368

強さ2368、素早さ2368、知力1921、運100


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