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1-2.快適な魔法防護の出られない部屋・・・

「妻のエリザベートです。エリスって呼んでね」

「ヨウです、よろしくおねがいします」


「エリス、外で何でもいいから手伝いでもさせてやれ。

防御用の手袋とか使えそうなのを取ってくる。

リナが起きてくる前にな」


エリスさんは金髪の西洋美人で体も引き締まっている。

30代か、豊満でもあり、フレディーにはもったいない。

ただ、服装はそれなりに立派だが着古している、自宅だからだろう。


考えてみれば、どこの馬の骨とも分からない男にずいぶん砕けた口調だ。

フレディーの命令だろう。



「ここに浸けてる物を丁寧にもみ洗いしてもらえます?

握るように絞ったら、広げて汚れの落ちを見て良ければ水桶に移してね」

やって見せてくれ、広げるとでかいシャツだ。

高級な素材なのだろう。


エリスさんは他のことをすると言って消えた。


シャツは終わったようなので赤っぽい物をもみ洗う。

硬めの生地だ、型崩れにも気を使い丁寧に揉む。

色落ちはしてない、洗濯機に放り込むのと違い、そういう事まで分かる。


広げるとブラジャーだ、紛れ込んだか。

一応汚れを確認し、水桶に移す。


黒っぽいものを洗う、広げると女性物のパンツだった。

股間が落ちていない、もう一度・・・。


「おい! リナのパンツを広げて何してる!」

まずい場面を見られた・・・いや、洗濯してただけだ。

「エリスさんに言われて洗っていただけです、無実です。

落ちてないのでもう一度」


「それは落ちん、リナの股間を揉むんじゃない、変態が。

いやエリスのせいなのか?

おいエリス、ヨウに何をさせてるんだ!」


エリスさんが屋敷の端っこからひょこり顔だけ出した。

「手伝わせろって言ったのはフレディーでしょ。

ならお互い楽しいほうがいいじゃない!」


楽しいほうが? 確かにちょっと嬉しかったかもしれないが。

お互いってどういうことだ。



「もしかして男のひと?

パパが言った人ですか?」

いつの間に背後に女の子、向き直る。


「はじめまして、ヨウです。

フレディーさんや皆さんにお世話になると思います」

自己紹介、片手にパンツの右端を持ちながら・・・。


「いやー、えっちぃぃぃー!」

バチバチバチ・・・

全身に連続してショックが、脳にも火花。



「よりによって防具を渡す前に。

おおヨウ、死んでしまうとは何事だ・・・」

「初めて男性に会わせられる機会だったのに、私のせいで」


「ご、ごめんなさい。初めてパパ以外の人に会えたのに。

でも、わたしのパンツ持ってるから・・・。

ほんとにごめんなさい!」



「ま゛、ま゛だいぎでま゛ず」

「お! 死ななかったか、やはり計算通りだった!」

大嘘つきだ。


「もうぢょっとまってくらさひ、いぢぢがん」

最初、この世界に来たときはダメージの種類は違うがもっと酷かったと思う。

前は1時間で歩けたから、それより早いはず。


一応防御装備をつけたフレディーがリナを家に連れ帰る。

ヨウはここにいて動かないほうがいいという判断だ。




30分程で動けるようになり、洗濯中のエリス以外居間にいる。


リナは黒髪の少女、魔法映画のヒロインの最初の頃にかなり似ている。

というか、ヨウ視点でそのくらいかわいい。

歳は、多分13いかないくらいか


電撃耐性が付いたようだとフレディーが言う。

これは普通の人間でも得られるらしい、生きていればだが。


「本当に、本当にごめんなさい」

「パンツを洗わせたエリスにも責任はあるな」


「もう平気なんでいいですよ。

でも、男性に初めて会ったって、本当なんです?」


「ああ、話そう。


昔は、俺も結構有名な剣士だった。

“慧眼のフレディー”ってな。

冒険者だった“雷光のエリス”に一目惚れ、押しまくって結婚できた。


やがてリナが生まれた。

俺はすぐに、生まれ持って電撃を使えることを見抜いたが大した事はないと思ってた。

徐々にぐずるとエリスが気絶する程になり、装備をつけて哺乳瓶での授乳に。


ある時、フィット公爵が晩餐会をやることになった。

何度も理由を話して断ったが、俺達夫婦は『武』での目玉らしく無理だった。


会場でリナが泣き出し、3人を巻き添えにし、無防備なドレスだったが耐性のあるエリスは三日三晩生死を彷徨った。

そのせいで30キロ痩せて、いまだに戻っていない。


あの頃のエリスはもう戻らない」



「あの、リナさんの話をいいでしょうか?」


「すまん。

責任を感じたフィット公爵は色々な希望を聞き入れてくださった。

領地を減らしてもらい収入は減ったが、リナに充分な世話ができた。


リナの魔法はどんどん強力になると分かった。

そこで、感情がコントール出来る年令になるまで、できるだけ快適な魔法防護の、出られない部屋で過ごさせることにしたのだ。


公爵や周辺貴族だけの秘密で」


「大体分かりましたが、リナさんは外に出たことも無いんですか?」


「ないです」


「君に可能性を感じて鍛えることを考えたが、リナのことをどうにかしなければと悩んでいたんだ。

君さえ良ければ、リナが『他人に慣れる』手伝いをしてくれ」


ぴとっ

リナが横からヨウの首に手を回してくっついてきた。

2つの膨らみもピッタリ当たっている。

驚いたが文句はない。


「これっ何をしてる、離れなさい!」


「パパ、今後何かびっくりするたびに同じことになっちゃうでしょ。

だから最初から慣れておくの、パパとママみたいに」


確かにそうだ、不意に触れたりするたびに死にかけてはどうしようもない。


「む、胸だけは離しなさい!」

「なんで?」

「そのうち分かる!」



その後もリナはくっつきっぱなしだった。

離れないので剣の修行も出来ず。

夕食まで椅子ごとくっつき食べた。


快適な魔法防護の出られない部屋(檻)でどのように愛情を与えたかをフレディーとエリスは語る。

それは今の姿で分かる。

だが・・・今更仕方ないので何も言わない。


「ねえ、わたしもパパとママのようにこの人と可愛い子供とくらしたい」

「ちょ、おま・・・」


フレディーは慌てるが子供の発想だろう、嬉しいが気にはしない。

リナはヨウに抱きついたまま寝息を立てていた。

倒れないよう仕方なく支える。


「アヒルの子の話を知っているか?

生まれて最初に見たものをアヒルは親と思い込む、人形でもだ。

今はその状態に過ぎん、調子に乗らんことだ」


「ヨウさん、リナをベッドに連れて行ってくださいな。

まだ一緒に寝ちゃダメですよ」



~~~~~~~~~~~~



翌朝、朝イチ朝食前から剣の訓練が始まった。

信じられない速度でフレディーが打ち込んでくる。

木剣なのに、いや木だから、めちゃ痛い。


剣道と違うのは、当たったら終わりということ。

あとは、スキルみたいな物があるらしいが、それだけでは説明できない速度だ。

剣も、ステップも。



「いくら打っても大丈夫だからな、安心して鍛えられろ!」

不純な感情が混ざっているのでは。


痛いものは痛いんです! と言いたかったが言えなかった。


打ち身が出来るはずだが、そのたびに治っている気がする。

確かめて無いのではっきりはしない。



ああ、もしかしたら死ぬ前なのかも。

打たれそうになると、時間がゆっくり流れる。


しかし、体が速く動くわけではない。

スローモーションのようにぎりぎり避けられたり、(かす)ったり。


フレディーがバックステップで離れ、可憐(かれん)な目でじっと見つめている。

キモい。


■ブックマークとしおりで読み忘れなし!■


後半、フレディーがエディーになってましたw

教えてくださった方、ありがとうございます。

(修正済み)

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