1-14.決闘
リーナは15歳位の頃か、大きくなってからゴリに助けられたらしいが実の親についてヨウは知らない。
とにかく、ゴリが唯一の家族だったようだ。
ゴリの遺体は魔物エリアではないのでギルドに依頼でき、安置所にある。
一般人は余裕さえあれば墓を持つ。
遺体がなくても墓を作っていいはずだが、冒険者の場合は違う。
きりが無い、ということかもしれない・・・。
墓地を買った。
フィット領もここコレダもまともで領主の都合で勝手に接収される事も無さそうだ。
ギルドの職員が休日返上で全ての手順に協力する。
“業火の剣”メンバーのギルド命令による緊急呼び出し
決闘『ぽい』祭りの開催告知
露天商の募集
最後は首を傾げたくなるが、目撃者を引き止めるために必要だという。
これだけの事をしてもらうのは気が引けるが、『膿を出す』のと今後の見せしめの意味で絶対必要なのだそう。
そういえばリリさんは休日なのに朝からいた。
“業火の剣”は休日を狙っていたのだろう、まさかギルドがこれほど迅速に動くとは思っていなかったかもしれない。
既に逃亡している可能性もあるが・・・。
ぼちぼち人が増え、屋台も数台出ている。
祭りだ。
ヨウとリーナは敢えてギルドの近くで待つ。
ガデスは見物客に交じっている、でかいので丸わかりだが。
やがて、“業火の剣”の3人が現れた。
追求を受けても逃れる自信があるのか、尋問でバレるのは明らかだが。
なら、どうやって?
ギルドに近づく彼らを呼び止める。
「我々、ヨウとリーナは、おまえら“業火の剣”に勝負を挑む。
殺されたゴリの仇討ちだ。
ここにいる全ての者、立会人となれ!」
「殺したと言うなら証拠を早く出せ」
イケメンの口調に違和感を感じた、こいつは全て覚悟している?
ガデスがもう横に来ていた。
「俺は今朝はっきり『ゴリを殺した』とあの2人が言うのを聞いた。
尋問で逃れられるはずもないのに来たのはなぜだ」
「この勝負、受けた!」
イケメンが声も高らかに宣言した。
リリさんが勝負を促すはずだったが、必要もなかった。
もう弓師と魔法師は姿を隠している。
『感知』で場所は分かっているが。
既に一瞬『自己加速』を発動し、魔法師から強奪、全て奪った。
何も起こっていないように見えるが・・・。
ガデスは第3者であり、パーティー員でもあるが万一に備え構える。
リーナは後ろにいる、絶対守る。
イケメンが剣を振ってくるが・・・遅い。
振り下ろしを普通に避け、腕を掴み、腹を殴る。
悔しいことに加速頼りだが。
矢が前と違う、魔法が飛んで来ているがこれは軌道から矢だと分かる。
余裕を持って全て斬る。
こいつも奪って・・・。
魔法師の意識が戻った、魔力がもう無いはずだが。
背筋に何かが走る、ステータス復活した?
もう一度魔法師から奪う。
流れ作業で弓師も奪った。
イケメンはダウン寸前なので加速を切りガデスに指示を出す。
とにかく、先に魔法師を確保するようにと。
鎧に手を突っ込み、縄を取り出す。
実はアイテムボックスからだ。
特に魔法師の復活に注意しつつ、イケメンの背後に回る。
そして容赦なしの自己加速で――いや30秒バージョンだが――、超高速捕縛を行う。
ガデスが魔法師を担いで連れてきた。
手にはデカイ腕輪のような物を持っていて、光っている。
「多分ヤバいものだ、こいつの自信はこれがあったからだろうな・・・」
「ヨウとリーナの勝利を宣言します!」
リリさんだ。
魔法矢を斬るくらいしか見せ場は無かったが。
「なお、仇討ちと宣言されそれを受けた時点で“業火の剣”の3名の犯行は明らかになりました。
もちろん改めて尋問の上罪状は決定します」
一部の者達はヨウの『魔断』を見ていて、リリさんの裁定にもオオーとか盛り上がっていたが、その後は普通の祭りになった。
初っ端に魔法師を潰しておいて正解だった。
途中で復活されたが、放置すれば危なかった。
ガデスが持っていた魔法器の腕輪だ。
体力・魔力・スタミナの全て奪っても復活できるほどだ。
勝負を成立させた上で、尋問できない状況に・・・。
周囲の全員殺害どころか、ギルド倒壊させた上で逃亡しようとしたのだ。
どうせ腕輪は汚い手段で手に入れたのだろう。
リリさんだけには能力の詳細はぼかしつつ説明しようと思ったが、現に魔法師と弓師が昏倒し以前の件もある。
詳細は聞かれず、罪状確定後の報奨金があるとだけ言われた。
休日のほぼ人のいないギルド内でガデスとリーナと話す。
外は祭りで人だらけだ。
「俺と一緒にやってみるか、だが明日はどうする?
こんな事があったばかりだしな」
「午前中はゴリの埋葬だから・・・。
そのあとにまた話そうぜ」
リーナが意外としっかり答えた。
「家が無くなったが、どこに」
「リーナは守る、まかせろ」
ガデスに即答したヨウ、もう決めていたことだ。
二人部屋だ。
有無を言わさず決めた。
夕食も進まないようだが、今は見守るしか無い。
体を部屋で交代で拭く、もちろん扉の前で待つ。
リーナはすす汚れがあるので多めに布を借りた。
話せることは少ない。
フレディーに貰った本を読んで貰う。
リーナは普通に学校で字を習っていた。
先生がいると良い勉強になる。
少しの間、色々忘れられた。
リーナもそうだといいが。
古着を買っていたので着替えはある。
明かりを消し、それぞれベッドに横になる。
加速練習は今日はいい。
しばらく経つと、ベッドが揺れた。
リーナが潜り込んできた。
ぎゅっと抱きついてくる。
そっと抱き返す。
しばらくすると寝息が聞こえてきた。
よかった。
安心して、いつの間にか眠りについた。
~~~~~~~~~~~~
目が覚めるとまだリーナがいた。
そっと、起こさないように上半身を起こすが、目を覚ました。
「おはよう」
「冒険者のくせに、あんな立派な墓に入れるとはな。
ゴリも幸せもんだな」
ガデスとゴリの関係が分かる、言いたいことを言い合ってたのだろう。
「今日は小手調べだな、オークで試すぜ」
リーナから言い出した。
「ヨウはオーク楽勝だが、ガデスはどうなんだ?」
「俺はバカ力で盾役だったが、のろいぞ。
適当にサポートしてくれ」
「じゃあ、オークじゃないもしもの時は、リーナの守りに回って必要なら担いで逃げてください」
「逃げる前提か、まあ仕方ないが」
「いや、まず見てからですね」
オークは問題なかった。
盾でぶつかるように防ぎ、大剣を振るとオークは胴体が2つになった。
僅かに一緒にいただけだが、ヨウも1レベル上がり19に。
彼はCランクだった。
あの魔法師や他メンバーの力で上がったわけでは無いだろう。
彼らが欲しがったくらいの戦力だ。
「オーガーの経験はあるんでしょ?」
「あるにはあるが、俺じゃ追いつきようもないからな。
足を罠でも何でもどうにかしてコケさせて、主に魔法や弓で仕留める。
まともにぶつかられたら装備一式ボロボロだったからな。
あんな速いのどうしようもねえ」
ちょっと信じられなかった、ヨウは一撃で体が千切れたのだ。
「本当にぶつかられたんです?」
「あ、ああ、体は何とも無かった、メンバーは呆れてたな。
あいつらじゃなくて昔の話だ」
奴らとは主に地竜(ミミズ型魔物)を狩っていたそうだ。
オークより少し恩恵は大きいそうで、オトリがいれば簡単だからだ。
オトリはもちろん彼だ。
「取り敢えずはオークですが、もう少し腕を上げるのでそしたらオーガーです」
レベルと剣の腕を上げられればいけるだろう。
だが問題は・・・。
どこまで能力を見せ、話すか。
リーナにさえ話していないのだ。
ステータス:レベル19(2回目)
体力126、魔力75、スタミナ126
強さ126、素早さ126、知力94、運100
現在スキル・称号:
『会話』(初期設定)
『リワインド』
『治癒』
『加速』『自己加速』
『回復』『強奪(敵専用)』
『剣技』『跳躍』『魔断』『感知』
『洞察』『交渉』『冷静』
『模倣』『解体』
【多くの信頼】
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