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1-11.卑怯者

アイテムボックスにリュックを入れてみる。

手に持ち意識するだけで出来た、そのうち方法も進化するかも。


リュックが消え、ボックス内にグラフィックとして現れた。

名前は直接表示されないが意識すれば分かる。

中身がバラバラに収納されるかと思ったが大丈夫だ。


恐る恐る取り出し中身を確認すると元のままだった。



気づいて、誰にも見せられないスマホだけまず入れておく。

死んだらバラ撒かれるかもしれないが、知ったこっちゃない。

それより面白いことに気づいた。


スマホは一見ひとつの物だが、電池や内部の部品などは数え切れない。

だが1つの物として収納できている。

1つの包みや機械などは一つとして扱われないと大変だ。


後は、どんな大きさ・重さの物までが、どのような状態で保存できるか。

リュックの場合、重さは消えた。

普通に置くのと同じなら獲物の肉も劣化するが、そうでなく固定化されるのか。


今は20しか枠がないが、増えるかは時間を待つしか無い。



アイテムはまた調べるとして、取り敢えずは10秒で『自己加速』がどのくらい出せるかだ。


レベル27

体力75/75、魔力46/46、スタミナ75/75

強さ75、素早さ75、知力56、運100


ステータスは知力と運を除きほぼ3倍、どのくらい違うのか想像がつかない。

知力があまり伸びないのはショックだが、魔力と関係ありそうな。

裏でスキル画面の方が『動いている』ような感覚、切り替える。


『会話』(初期設定)

『治癒』

『加速』『自己加速』

『回復』『強奪(不活性)』

『剣技』『跳躍』『感知』

『洞察』『交渉』『冷静』

『模倣』『解体』


カテゴリー分け?

現在得意、あるいは重要な順に並んでいる気がする。

これまで使うのに支障なかったが、新たに増えた時分かりやすいかも。



自己加速を使うと、視界が少しオレンジ掛かった。

紙は空中に止まっている。

ゆっくり眠りに落ちた・・・。






アナタヲ、死ナセナイ



夢か、明晰夢というやつか、自分で夢だと分かる。


仕事場の風景が蘇った。


宇原さんだ。

はっきり好きとは思わなかったが、うちの職場で一番綺麗で可愛かった。

こんな人とずっといられたら。


でもこの人にはずっと付き合っている彼がいる。

部署は違うが同じ会社だ。

その彼に「綺麗でうらやましいな」と良く話した。


彼がいるので宇原さんには普通に接した。

それより自分には好きな人がいて、フラれて引きずっていたし。

その人には告白の答えを急かし過ぎたのだ。


宇原さんがなぜか盛んに近寄って来たりぶつかりそうになったりしたが、とっさに避けることも良くあった。

そのたびに首を傾げていたが、鈍すぎた。


そして・・・そうだ、こんな普通、中の下程度の男に告白するとは。

夢では無かった、彼とは別れるという。

30歳行くか行かないかの彼女が、40男に。


間違いなく本当の記憶だ。

一部だが戻った。



アナタヲ、死ナセナイ


これは・・・宇原さんではなく、人でもない

青い光・・・。




目が覚め、暫く呆然とした。


宇原さん。

戻らなくては。

少しの時間かもしれないが、これから夢のような日々が来るはずなのだ。


だが、18歳の体で戻っても自分とは別の人間だ。

普通の生活に戻る方法も必要だ、もしあればだが。

本当の自分に戻らなければ。


だが、今の自分も厳然として存在する。

大事なものを忘れている気がする。

この記憶は文字通り『夢』として諦めるべきなのか・・・。






いつの間にか朝日が差し込み目が覚めた。

再び眠りに落ちていたようだ。


宇原さんや仕事の事を思い出すが、今日の約束を守らねば。

リーナが待っている。



「今日はホントに遅いぞ」

「ごめん、変な夢で眠れなくて」

リーナとゴリ、同じメンバーだ。


「大した事ないさ、それより狩場が問題だな」

「オーク一択だろ、ゴリ案内しろよ」



「おいお前か、この間男が!」

いきなりの怒声、ケンカかな? と思うとその男はこちらを見ていた。

「リーナを賭けて勝負を挑む! 逃げないよな?」


金髪イケメンだ。

恐らく20代か、装備も良さそう、金属部がピカピカに磨いてある。

3人のパーティーメンバーらしき冒険者が一緒だ。


盾と大剣を持った体のでかい奴もいるが、そいつが言った。

「俺は降りるぜ」

イケメンは一瞬表情を歪ませ、大声で叫ぶ。


「我々“業火の剣”は、こいつに勝負を挑む。

ここにいる者たちは立会人となれ!」

おおーと歓声が起こり、ギルド内からも人が集まる。


「アタシはお前とカンケーねえよ!」

リーナが反論するがもう遅い。

まあ事情は大体分かった、イケメンのくせになにやってんだろう。



「何かあるまで下がってて」

別に格好つけたわけじゃない、加速が使えてレベルが上がったからには前にいるべきだと思ったからだ。


盾と大剣のでかい奴は離れて行き、群衆に紛れた。


イケメンが剣を抜き一気に近づく。

考えずとも加速がオンになる、前よりかなり速い。

『洞察』で自己加速10秒の速度に合わせてあるはず。


イケメンはフレディーよりも速いくらいだ、かなりやる。

だがこちらもレベルが一気に上がっている、加速中の動きも前より速い。

素早さが3倍くらいに上がっている、そのせいだ。


加速のおかげで考える暇がある。

『強奪』オンになっている、敵と認めるものに対する能力っぽい。

一気に奪って終わらせようとしたが、こちらが消費しないと無理なようだ。


相手はフレディーより上だが、こちらは3倍速?だ。

余裕を持って敢えて紙一重で避ける、諦めてくれればいいが。

だが、感情が昂ぶっているせいか一向にやめない。


これでは掠りもしないだろうが、どう終わらせるか?

動きを見ると、リーナやゴリには攻撃しないようだ。

3人に減ったが、パーティー対ひとりか、卑怯過ぎる。


斜めの斬り、袈裟斬りを避けると逆方向に斬ってくる。

こちらは依然紙一重で避ける、遠目には斬られまくって見えるかも。

イケメンがバックステップ、構え直す。


真後ろから弓を持った男がひょいと見えた、瞬間矢が来た。

この至近距離で、しかも隠れてとは卑怯過ぎ。

普通に加速のまま手を伸ばし掴めたが。


後2発矢を掴むとそれに合わせてイケメンのターン。

パンチでも入れてやろうと思うが、自己加速でも使わなければ無理だ。

イケメンがもう一度下がった。



瞬間、炎の球が斜め上に現れた。

リーナかと思ったが違う、こっちに向かっている。


軌道から考えると、直接出現させたようだ。

今まで何もしなかったローブを着た魔法師、女性っぽい。

狩りで使う必殺技のような物を急遽使ったのかも。


恐らく弓も含め、こういう時の手順を決めているのだろう。


この魔法、速い!

出現からもう半分の距離に来ている、避ければリーナ達に当たる。


一瞬だけ自己加速に切り替え、剣を抜き構える。

せめて防げそうな物は使う。


炎に焼かれるか爆発しても、死ななければなんとかなる。

怪我によっては復帰後化け物扱いされるかもしれないが・・・。


しかし、負けたらリーナは?

勝負というより一方的な卑怯な攻撃だが、恐らく勝負は成立している。


絶対に勝たなければならない・・・。

現在スキル:

『会話』(初期設定)

『治癒』

『加速』『自己加速』

『回復』『強奪(敵専用)』

『剣技』『跳躍』『感知』

『洞察』『交渉』『冷静』

『模倣』『解体』


ステータス:レベル27

体力75、魔力46、スタミナ75

強さ75、素早さ75、知力56、運100


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