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潮風  作者: きりん
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1話

見てくださりありがとうございます。

初投稿なので色々と不備があるかもしれないですがよろしくお願いします。

何事も平凡が一番である。


それが私、湊遥みなとはるかの信条だ。

波風立てず、普通に学校に行って普通に仕事をして、結婚して子供を育てて幸せに暮らす、それが私の夢だ。

しかし、最近私はその夢を叶えられないのではないかと思い始めた。原因は...

「おーい、遥ー!」

この声の主、結城汐ゆうきうしおに恋しているのかもしれないからだ。


黒板を見つめていると、汐が窓から顔を出して話しかけてきた。

「ぼけーっとしちゃって、考え事でもしてるの?あ、わかった!学校終わったらどこに行こうか考えてるんでしょ!」

「違うよ〜、ほら休み時間終わっちゃうから自分のクラスに帰りなさい」

「今休み時間始まったばっかりじゃん⁉︎ボケちゃってるの?」

「まだボケなんか始まってないよ!汐がクラスにいると騒がしくなるから早く帰らせようとしているの」

「酷いなー、騒がしいと言っても友達もいなくて1人でいつも勉強するか読書してる遥よりはマシだと思うよ?」

「うるさいなー!友達なんかいなくても生きていられるからいいの!」

  そう、私は汐以外友達はほとんどおらず、所謂ぼっちというものである。

「遥はいつもその言い訳ばかりするねー、人生1人では生きていけませんよーっだ。」

 この言葉も何回聞いただろうか。

「はいはい、何回もその言葉は聞きましたよーっだ。本当に休み時間終わっちゃうからそろそろクラスに戻ったら?」

「あ、やば!次体育じゃん着替えないと!じゃあまた放課後ね!」

 忙しなく自分のクラスへと戻る潮を見てはぁ、と深いため息をついた。


  放課後といっても私や汐は部活をやっているわけではないので、もっぱら寄り道したりして一緒に帰っている。

  今日もいつも通り一緒に帰ると思っていたが...


 ブー、ブー!

 授業が終わり、担任の先生の話の最中にスマホにメールが届いた。まあ、友達のほとんどいない私にメールを送る人なんて家族か汐しかいないが。

「今日用事が出来ちゃって一緒に帰れない!ごめん先帰ってて(>_<)」

 やはり汐からのメールだった。交友関係の広い汐は勿論私以外にも友達がいっぱいいるのでその子たちと遊ぶこともよくある。

「今日は汐もいないしゲーセンでも行くか〜」

 そう独り言を呟いて私は校門を出た。


 ゲーセンで汗をかいてジュースを飲みながら椅子に座っていると、プリクラコーナーの方に汐の姿を見かけた。

 汐と同じクラスの女の子たちと仲良さそうにはしゃいでいる。

 胸のモヤモヤを感じつつもこれが何なのかは分からない。

 仕方なく、私は汐達に見つからないようにゲーセンを後にした。


 家に帰って色々と済ませ、寝る準備をしていると、汐からメールが来ていた。

「今日ゲーセンにいなかった?行くなら教えてくれれば良かったのに〜」

 行くことを教えたら汐の友達と一緒に行くハメになるから教えるわけがないのに。

「今日は1人で帰ることになると思ったから久しぶりにゲーセンで音楽ゲームがやりたい気分だったの」

 そう返信をして私は眠りについた。


 次の日の朝、学校に行くとなぜか私の席に汐が座っていた。

「朝から何してるの?座るからどいてよ」

「いやー、そろそろ定期試験があるじゃん?遥の席に座ったら頭が良くならないかなーっと思いまして〜」

 汐は馬鹿だ。それも学年で下から数えたほうが圧倒的に早いほどの。

「勉強が駄目駄目なのは知ってるけど行動まで馬鹿なのはどうなの?」

「本当に良くなるとは思ってないからね⁉︎そろそろ遥様に勉強の方教えていただきたいなーと思って。」

「テストの度に私に頼ってない?たまには他の友達に教えてもらったらいかが?」

「遥ほど勉強できて教えてくれる人はいないので教えて欲しいんですよ〜」

 自慢ではないが、私は常に学年で成績トップを維持しているのだ。まあ友達がいないから遊ばないで勉強している時間が多いだけかもしれないが。

「まあ今回もいつも通り遥の家に行って勉強!決まり!」

「仕方ないわねー、じゃあ見返りとして何か奢ってもらおうかな?」

「お手柔らかにお願い致します...」


 今日の放課後から勉強を教えることになり家に連れてきた。

「あらー、汐ちゃんがウチに来るなんて珍しいわねー。また遥に勉強を教えてもらいに来たの?」

 私の母である。いつも元気で明るい汐を母は気に入っている。

「お邪魔しまーす!やっぱり勉強の事は遥に任せるのが1番ですから!」

「他人任せにしないでちゃんと勉強してよー。じゃあ先に私の部屋に入ってて。飲み物でも持ってくるから。」

「あざす!じゃあ数学やってるから!」

「はいはい」


 ジュースを持って私の部屋に行くと、汐は勉強ではなく漫画を読んでいた。

「勉強やるんじゃなかったのかなー?う•し•おさん?」

「いや、これは...本が私に読んでと話しかけてきたんです!」

「帰って、どうぞ。」

「すいません!これから真面目に勉強するので許してください!」

 汐が勉強しに来る時のお決まりのパターンだ。

「教えてあげるんだからちゃんと勉強して平均点以上は取るんだよ?」

「いやー、さすがに赤点免れればいいかなーと思いま...」

「取ってね?(威圧)」

「はぃ...」


 小一時間ほど勉強していると不意に汐から好きな人は はいないのかと聞かれた。

「遥はさー、好きな人とかいないの?」

「いるわけないでしょ。友達すらロクにいないのにいるわけないじゃん。」

「分からないよー?話したことは無くてもすごくタイプな人がいるかもしれないじゃん!」

「だからいないってばー。ほら勉強しなさい。」

「はーい。」


 その後汐が勉強している傍で私はずっと考えていた。異性で好きな人がいないのは事実だ。だが、この汐に対する気持ちはなんなのだろうか...。友達としては勿論好きだし、こんな友達もロクにいないような人間に好意的に接してくれる人に対して嫌悪感を抱くわけがない。ただ、この「好き」が友達的な意味でなく違う意味の「好き」だとしたら...

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