炎VS氷
イベル『今から30秒後、10秒の隙を作ります。その間に行ってください!』
自身の作戦をアドラメレクを含むこの場全員に聞こえるように、ジンに言う。
アドラメレク『10秒……だと………?我から10秒も隙をつくれん。いや、つくらん!』
今までの攻撃をことごとく妨害されてきたアドラメレク。アドラメレクにとって、少なくともこの場では、イベルは互角の相手と言っていいだろう。
だが、その逆でイベルは互角の相手から隙を10秒間もつくり出せるわけがない。
アドラメレクが隙をつくらないと断言した理由がコレだった。
イベル『……そろそろ30秒。いくぞ!』
アドラメレク『クリムゾン・シャイン・バースト!』
先に仕掛けたのはアドラメレクだった。
右手をミズールに向け、手のひらから赤く輝く炎のエネルギー波を放出する。
アドラメレク『……ッ! 』
アドラメレクは攻撃してから気がついた。
先ほどはなぜイベルは自分にも聞こえるように作戦を言ったのか。
だが、もうすでに遅かった……。
攻撃を相手に先に出させる……相手にコレをさせてメリットになる戦術は1つだ。
そう、カウンターである。
イベル『それを待ってました!』
アドラメレクが放ったエネルギー波は真っ直ぐミズールへと向かっていくが、その間にイベルが入り込む。
間違いない、カウンターだ!と、ここにいる誰もがそう思っていた。
イベル『氷刃・牙竜衝!!! 』
イベルはカウンターなどしなかった。
アドラメレクの攻撃があたる直前にイベルが繰り出したのは、カウンターではなく、攻撃魔法。
両手から2頭の巨大な氷の竜をアドラメレクめがけて放った。
アドラメレク『………ッッッ!!』
当然アドラメレクは攻撃を放った後なので防御できる筈がなく、
イベルも、攻撃を回避せず攻撃したため防御などしなかった。
炎のビームがイベルを襲い、
氷の竜がアドラメレクを襲った。
2つの技は互いに直撃した。