別れ
イベル『そうはいかせませんよ!悪魔。』
イベルの目の前には、人の形をし、2本の角、2つの尾がついた黒い悪魔 アドラメレク。
後ろにはミズールに乗り込んだジン、その入り口にガイル、ミラ。
ここから脱出するには誰かがアドラメレク(ヤツ)を足止めしなければならない。
が、ヤツはさっきまでの悪魔とはレベルが、格が違いすぎる。
4人の中でアドラメレク(ヤツ)と戦えるのはイベルくらいだ。
イベル『やるしかありませんね……。ジンさん!ここはボクが食い止める。3人で脱出してください!』
ガイル『は、はァ?何を言ってんだよ!バカなことは言うな!』
ミラ『そうだ、イベル。4人でヤツを倒すぞ!そして4人で帰るんだ!!』
イベル『……ジンさん!』
イベルの目は真っ直ぐジンを見つめている。
まるで、人生最後の頼みを聞いてもらうみたいに……。
ジン『く…………。わかった。』
ガイル ミラ『リーダーッ!!』
ガイルとミラは驚いている。
ジンは仲間を見捨てない。
2人がジンと出会ったのは1年前だが、これだけは理解している。
そのジンがイベルを見捨てた。
ガイル『なぜだ、ジンさ……』
ガイルがジンを問い詰めようとするのを
ジンが遮る。
ジン『イベルの……っ、イベルの決意を無駄にするな。このまま4人で帰るなんてことはアドラメレク(ヤツ)がいる限り不可能だ。かといって全員で挑んでも、俺達の実力ではかえってイベルの足を引っ張るだけだ。そして、アドラメレク(ヤツ)と互角に戦えるのはイベルしかいない。』
ジンの言葉を聞いたミラはしばらく塞ぎこんだが、すぐガイルを説得する。
ミラ『ガイル、ここはイベルの意思を尊重しよう。』
ガイルは拳を強く、血が出るほど強く握りしめ決意する。
ガイル『くそッ、わーったよ!イベル!死ぬんじゃねェぞ、俺達はお前を必ず助けに来る。だから、その時まで死ぬんじゃあ、ねェぞ!!!』
イベル『はい、待っていますよ、ガイル……。』