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act4.Supreme treasure-至高のお宝-

 少女の父親から借りた車で地図の場所へ移動すると、ジジイの隠れ家の周りに見張りのような男が巡回していた。どうやら当たりのようだ。静まり返った住宅街。辺りは月と星の明かりだけだが、足元まではっきりと見えた。一見さびれた外見の家だが、しっかりとした骨組みと外壁を感じさせる造りだった。

 車を気づかれないようやや遠めに止め、忍び足で建物に近寄る。見張りの男は二人、それぞれライフルのような銃を首から下げている。

「やっぱりジジイの装備があったんだな……厄介なモン置いときやがって」

 エスは小声で毒づいた。

「でもどうする? 下手に飛び込んだら蜂の巣だぞ?」

 銃があると分かった以上、戦力は圧倒的に不利だ。中に何人いるかすらもわからない。

「とりあえず、あの見張りが邪魔だな……よし、いい事思い付いちまったぜ」

 そこで一旦エスは車のほうへ引き返した。残されたケイはじっくりと見張りの男たちを観察する。一見、暇そうにぶらついているが、その実お互いの死角をカバーし合っている。立ち止まって見まわす時も壁を背後にして隙を見せない。正面から突っ込んだとしても、抑え込むより先に発砲されたら終わりだ。


「いやいや、おまたせ」

 エスは両手一杯に何やら抱えて帰ってきた。その抱えてきたモノを一瞥して、ケイはため息を通り越して脱力した。

「お前……バカだろ。ふざけてる場合じゃ……」

「いいからいいから。見とけって」

 エスが持っているのは、つい今日の夕方に手に入れた宝物。

 つまりエロ本である。

 エスは中身を検分して手頃なページを見つけると、開いたまま手のひらに乗せた。

「これぞまさにパイ投げ……なんちって」

「面白くないぞ」

 エスは手にした本を勢いよく投擲した。空中で放物線を描いたそれは立ち止った見張りの男の顔面に直撃した。もう一人の男は別のほうを見ていて何も気づいていない。

 いきなり顔面に何かがぶつかった男は身を固くして顔面のものを確かめた。

「……!?」

 いきなり眼前に広がる桃色の光景に、男は再び身を固くした。

 意識が元に戻るまでのわずか数秒間、だが二人にとっては十分すぎる時間だった。見張りの男が顔を上げて銃を構えようとする瞬間、二人分の蹴りが腹部を直撃した。もんどりうって男が倒れる。

 その音を聞きつけたもう一人の見張りがこちらに銃口を向けると同時に、再び桃色の弾丸が宙を舞う。手榴弾か何かと勘違いした男はそちらに気を取られた。その間に二人は左右から挟み込むようにとびかかる。結局、どちらを撃てばいいのかわからなくなった男は迷ううちに拳を両頬に貰った。


「ふう、こんなもんか」

 細部の打ち合わせなど一切していない。しかし二人の呼吸は完璧にあっていた。これはもう経験のなせる業だった。文句を言っていたケイも、エスの意図がわかるとすぐに協力した。気絶した男達の持っていたライフルを二人とも回収して、縛りつけておいた。

「急ぐぞ、俺たちの存在がばれないうちに侵入しよう」

「へへっ、プロの犯行は五分以内に行われるんだぜ」

「それは空き巣じゃないか?」

 二人はいつもの調子でドアをくぐった。


 

 建物の内部は以外にも広かった。地図で見たときはHの形をしていたが、肝心の少女がどこの部屋にいるのかもわからない。

 手当たり次第に探すにしても、まだあの巨漢の男と二人の黒服がいるはずだ。迂闊に行動してバレるのだけは避けたい。

「二手に分かれるか。見つけさえすればすぐに脱出できる」

「そうだな、じゃ、いっちょ競争と行きますか」

「一人でやってろ」

 通路にある角を二手に分かれて、それぞれ別々の廊下を進む。

 

 ケイは一番廊下の奥にある扉にそっと張り付いた。部屋の中の物音をうかがうが、気配はない。意を決してそっと扉を開いた。

 部屋の中は広く、乱雑にものが押し込まれていた。どうやらガレージのような場所で物置として使われていたようだ。人の気配はなく、当てが外れたようだ。埃っぽい箱の中には銃器や火器などもあり、ジジイの当時の生活をうかがわせるものが数多く置いてあった。

「……?」

 ケイは咄嗟に身を横に投げ出した。

 その次の瞬間には、たった先ほどまでケイの体があった場所を巨大なナタが通り抜けていた。

「ちっ、いい反応だな。少しはマシになったか?」

 あの巨漢の男が、扉の前に立っていた。その手に握った大振りのナタを適当に放り投げて拳を鳴らしていた。

「気配を完全に消したつもりだったんだがなぁ。なぜ気づいた?」

「気配は消せても存在は消せないんだよ。埃が微妙にない場所があった。あれは先にこの部屋にいた誰かが足跡を意図的に消したからなんだ」

 埃が深く積もる部屋。長年放置され続けたこの建物に、最近住み着いた連中がいたとしても、足跡まで消すのはおかしい。

「慣れてるんだよ、こういう現場に」

 いつもは足跡を消して侵入する立場だが。

「ここで決着をつけてやる……」

 ケイは肩に掛けたライフルの銃口を男に向ける。だが男は不敵ににやりと笑った。

 構わずケイは引き金に指をかける。だが、銃弾は発砲されない。

「弾が入ってないんだよッ!」

 巨漢の拳が襲い掛かる。ケイは咄嗟に銃を盾にしたが、いとも容易くバラバラに大破してしまった。鉄製のパーツをまき散らし、銃が崩れ落ちる。

 巨漢の男はそこから肩をぶつける。ケイの体は後ろに吹き飛ぶが、何とか倒れずに持ちこたえる。

 ケイはじっと目を凝らし、男の動きを観察する。

 男はやはり油断している。だが、尋常じゃない筋肉で守られており、生半可な攻撃は通用しない。武器になりそうなものも、この部屋にはありそうだが探して構えるだけの時間もない。

(狙うは人体の急所……みぞおちだな)

 男は攻撃をわざと誘っているのか、正面ががら空きである。うまく攻撃を叩き込むしかない。

 ケイは迷わず飛び込んだ。男は攻撃を受け止める自身があるのか、平然と構える。ケイ拳が正確にみぞおちをとらえる。

 

「はっはぁ。そんな狙いはお見通しなんだよ」

 巨漢の男は体を微妙にずらした。そのせいで攻撃がうまくみぞおちに入らなかったのだ。ケイは慌てて身を引こうとするが、巨漢の男の手がケイの首根っこを捕えた。ケイも背が高いので持ち上げられることはなかったが、万力のような力で締め付けられる。

「ぐっ……」

「へっへっへ、本当なら弱い者いじめは好きじゃないんだが……お前にはもっと楽しませてもらいたいからな。このままボキッとやるのも楽しそうだ」

 男の顔が揺らいだ。

 ケイの意識がだんだんと遠のき始める。

 男は快楽に浸った顔で涎を垂らしながら、醜く笑っている。

 

(…………今だ)

 ケイは渾身の力を振り絞って足に力を入れる。ケイの足元にはとある金属の棒が落ちていた。先ほど銃を破壊された時に出てきたパーツの一つ、銃身にあたる部分だ。

 端を踏みつけられた鉄の棒は跳ね上がり、巨漢の男の顎に直撃した。

 その衝撃でケイを放してしまう。

 解放されたケイは息を整えるが、その眼前には相変わらず巨漢の男がそびえ立っていた。

「痛いなぁ……でもこの程度で反撃したつもりかな?」

 再び首をつかもうとする。ケイはまだ立ち上がれない。

 状況は再び絶望的に見えた。

 その時だった。


「っ、!?」

 巨漢の男の足取りが急に頼りなくなり、傍の木箱に手をついてしまった。だが、男は気を取り直して立ち上がろうとするが、失敗して後ろに倒れこんでしまった。

「な、なんだ……?」

 男は自分自身の体に起きたことがいまだに理解できていない。

 おもむろにケイが立ち上がり、勝ち誇った顔で男に告げる。

「お前は今、軽い脳震盪をおこしているんだ。顎にあたった攻撃自体は大した威力じゃない。だが、その振動が顎を伝って脳を揺らすのさ」

 ケイは落ちていた鉄棒を握り直し、倒れた男に歩み寄る。

「とりわけ、脳の中身が小さかったんだろうな。よく揺れたみたいだぜ」

「やめ―――」

 男が口を開く前に、鉄棒でこめかみを強打する。糸が切れた人形のように巨漢の男は崩れ落ちてしまった。その巨体をまたぎ、扉に手を駆けたところで、ケイの足が崩れた。

「ちっ、なさけねぇな……。この程度で動けなくなるなんて」

 まだ先ほどの戦闘のダメージも体に蓄積されていた。もう体は限界に近づいていた。

「あとはあいつに任せるか……くそっ、柄にもないセリフも吐いたのにだらしねぇな」

 そうつぶやくと、ポケットからタバコを取り出した。



 その頃、エスは額に二つの銃口を突き付けられていた。

 銃を持つ主は、あの黒服二人組である。エスは二人の顔を交互にじっと睨みつけるが、何の反応もなかった。

 H型をした建物のちょうど中央部分にある部屋の、そのまた中心部にエスは跪いて座っていた。肩からぶら下げたライフルは結局何の意味もなかった。

 この部屋だけは、他と違って内装が新しくされていた。カーペットは悪趣味なほど真っ赤なものが敷かれ、壁には鹿のはく製が四つもくっついていた。そして豪勢な椅子に腰かけるのは、黒いスーツにブロンドの髪を肩まで伸ばした鼻の高い男だ。彼は分厚い底のブーツをはいた足を組んで、愉快そうにエスを眺めていた。その隣には、口を縛られ、手に手錠をかけられなぜか首輪までつけられた少女が立たされている。もちろん首輪の手綱はブロンドの男が持っている。

「ほうほう、つまり、世界一のトレジャーハンターがこのハリディ様のお宝を盗もうとしたと……ハハハッ、これほど愉快なことはないよ」

 癇に障るようなイントネーションで喋るハリディというブロンドの男に、噛みつくようにエスは叫ぶ。

「いいからその子は放せ! てめぇらみたいな薄汚い悪党にお似合いのモンは俺が持ってる」

「……ほう、それはつまり、あの男性の使いが君ということかい? ずいぶん粋な計らいをするもんだ。ちなみに私は日本人は吐き気がするほど嫌いだが、日本語は好きだ。『粋』なんて言葉、実に愉快じゃないか」

 少女とエスの目があった。おびえた瞳の少女を安心させるように、バレないようにこっそりウィンクして、エスはポケットに手を伸ばす。

「……この地図がそうだ、これに、お前らの欲しがっている情報とやらが隠されてる場所が書いてある」

 エスが取り出したのは、本当の暗号のメモではない。エス達が日本の宝物庫で見つけてきたあの地図だ。ハリディはそれをひったくり、じっくりと眺めた。

「ふむふむ、見たところこの島の地図のようだが?」

「ああ、そうだ、その丸印のところに情報が……」


「馬鹿にするのも大概にしろ。私は今せっかく機嫌がよかったのだ。それを、貴様が悪くさせたのだ」


 ハリディは地図を放り捨て、唾を吹きかけた挙句足で踏みつぶした。

 エスはそれを苦々しく眺める。

「私の観察眼を甘く見るなよ? そもそも我々の欲している情報がこのような辺鄙な島にあるはずがなかろう。私は一刻も早くこの件で報酬をもらい、さらなる上を席を勝ち取るのだ。そのための猶予はもうない。貴様がふざけた態度をとるというのなら、こちらも考えがある」 

 そういうとハリディは手綱を思いっきり引っ張った。首が傾き、少女の顔が引き寄せられる。その頬を顎から絡めとるように手でつかむ。

「貴様もこのようないたいげな少女が痛めつけらるのを見たくはあるまい」

 少女は目に涙をためてグッとこらえた。だが、瞳から大粒の涙が零れ落ちた。

 

 その途端、エスは声を張り上げた。

「今だ! ケイ! やっちまえ!」

 エスに銃口を向けていた二人と、ニヒルに笑みを浮かべるハリディが咄嗟にドアを見た。

 しかしそこには誰もいない。


「ハッタリだっ、お前ら銃口をそらすな!」

「もうおせぇよ!」

 エスは二人の一瞬の隙に立ち上がり、肩に掛けていたライフルをハンマーのように振り回した。周囲を囲む黒服達をなぎ倒し、ハリディに跳びかかろうとした時だった。


「おっと、動くなよ? この距離じゃあかわせないぞ?」

 ハリディは懐から一丁の拳銃を取り出していた。

 金色に染め上げられたリボルバーだった。持ち主の悪趣味がうかがえる逸品だが、その威力もおそらく桁ちがいだろう。まっすぐエスの心臓を狙っていた。

「……ふん」

 エスはライフルを握りなおした。ハリディまでの距離はおよそ三メートル。一歩では埋めることのできない微妙な距離だ。銃弾をかわすにしても、部屋の中では狭すぎる。


 ほんの数秒。

 両者はにらみ合った。

 

「……たとえここで俺が死んでも、てめぇを倒せばじきに俺の仲間が来る。そしたらその子を救い出せる」

「ハハッ、貴様の正体には興味があった。何かの組織の人間かと思ったが……どうやら違ったみたいだね。ただの、馬鹿だよ。貴様は」

 視線が合う。

 撃つものと、撃たれるもの。

 だが、ただ撃たれるだけで終わるつもりもない。

(ごめんな……もう一回遊んでやりたかったが、次の機会になりそうだ)

 内心で謝りながら、エスは少女を見る。涙でくしゃくしゃになった顔でエスを見ている。わずかの間、視線が混じる。

 そして、


「行くぞおぉぉ!」

 エスがライフルをハンマーのように構えて跳びかかった。

「馬鹿め! 正面から突っ込んでくるとは!」

 ハリディが躊躇なく、引き金を引く。

 銃弾が発射され、まっすぐエスの体に吸い込まれ、心臓を射抜く。

 少女の声にならない悲鳴が響いた。

 だが、エスの体は止まらない。驚愕にゆがんだハリディの顔が見える。勢いに任せて振りかぶったライフルをハリディの脳天に叩き込む。

 エスとハリディは絡まり合いながらも、あたりのモノをまき散らし崩れ落ちる。

 ハリディは気絶し、エスは体から赤黒い血液を流し、ピクリとも動かない。

 

 その状況を見て、少女は膝から力が抜けた。

(嫌……。いやだよ……)

 口が縛られて、言葉が出てこない。

 胸の中で、さまざまな感情があふれだす。

 父の都合で見知らぬ島にやってきた少女はずっと心細くて孤独だった。そんな生活が続くと、次第に心がなれ、成長したふりをして父も安心させて、子供の心はずっと胸の奥に鍵をかけてしまいこんでしまった。

 ところが、偶然出会った男は背が低く、子供っぽいことを言っては楽しそうに笑っていた。その姿がまぶしくて、もう一度、日本にいたころに戻りたくなって。

 その日の晩に事件は起きた。

 知らない黒服達に捕まって、暗く汚い建物に連れてこられた。もう、二度と助からないと思っていたところに、物語の主人公のように駆けつけた彼が。

 少女を救ったが、もう動かない。

(世界一の、トレジャーハンターなんでしょ……? お兄さんに盗めない財宝はないんでしょ……? それじゃあ、こんなところで倒れていちゃ、ダメ、だよ……)

 少女の瞳から、止めどなく涙があふれ出す。

 恐怖ではない、安堵でもない。

 ただ、さびしかった。

 ずっとさびしかったのだ。忙しい父、すでにいなくなってしまった母。ろうごくのようなこの島に、鍵をかけた胸の奥。そんな胸の奥の鍵を、いとも容易くこじ開けてしまう彼こそ、この状況から連れ出してくれる彼こそ、今傍に立っていてほしいのに。

(また、私を、おいていくの?)

 約束は、守られないの?



「そんなに泣くなよ、女の涙は最終兵器だぞ?」



「えっ……?」

 エスは、血の流れる腹部を抑えながら、体をひねって仰向けになった。優しく口を縛る布を外してくれる。

 相変わらず血が流れる。だが、その量は徐々に減っている。

「どうして……?」

「俺は世界一のトレジャーハンターだからな、こんなところで死ぬわけにはいかないのさ」

「でも、銃弾が……」

 そういって血にまみれたシャツの内側を恐る恐る確かめる。

 そこには、数々のアクセサリの中に混じって、一つのリングがあった。ハートマークに見えなくもないネックレス。その輪の中に、銃弾が嵌っていた。

「これのおかげで銃弾が俺の体に入ることはなかったみたいだな。まぁ、若干広く切られたみたいだから血が流れちまったな」

 リングにはまった銃弾は完全に勢いを殺せず、ナイフのようにエスの肌を薄くえぐったようだ。つまり、致命傷を避けることができたのである。


「瑠璃のおかげだ……たすかったぜ」

「えっ、どうして私の名前を知ってるの?」

「親父さんに聞いたよ。いい名前だよな、瑠璃。さぁ、帰ろう。親父さんが心配してるぞ」

「……うん、ありがとう」

 瑠璃の瞳から涙が宝石のように零れ落ち、満面の笑みが自然とうかんだ。



 

 水平線の向こうがうっすらと明るくなった。

 もうすぐ、日が昇り、新しい一日が始まる。

 一同は見晴らしのいい海岸のやってきていた。辺りに人の気配はない。空と海の青紫を橙色が塗り替える。希望の光に照らされていた。

「本当に、ありがとうございました」

 瑠璃の父親は深々とエスとケイに頭を下げた。二人は困惑しながらも、照れ臭そうに笑っていた。

「それで、これからどうするんだ?」

 あの後、ようやく立ち上がることができたケイが地元の警察を呼び、一連の誘拐事件は幕を閉じた。しかし奴らの裏にいる組織達の実態はまだつかめず、今後も何かのアクションがあるかもしれない。

「私が本社に連絡を取った。どうやら一旦アメリカの警察機構にお世話になりそうだが、いつかは必ずこの子と日本に帰るつもりだ」

 どうやらエスとケイが戦っていたころ、父親も彼なりの戦いを挑み、一応の安全を確保したようだ。今日の朝にはもう迎えのヘリが島に来るらしい。


「お別れ、だな」

 エスは応急手当として包帯を胸に巻きながら、握手を求めた。

「うん、でも、絶対約束は守ってもらうから。私が日本に行くまでぜったい死んじゃ駄目だよ」

 小さな手で、けれどしっかりとエスの手を握り返す。

「はははっ、気を付ける」

 そこで、瑠璃は目線をちょっと泳がせながら、エスに言う。

「ねぇ、ちょっとしゃがんで」

「ん? こうか?」

 瑠璃と目線が合うように少し腰を落とす。

「目もつむって」

「ん」

 エスの頬に、柔らかくて暖かい感触があった。



「これが私からの宝物、ちゃんと盗んでね」

 


END

はじめましての方は初めまして。もしかしたらそうでないという方は本当にありがとうございます。


初めに書いたように、もともとは短編にする予定だったのですが、二万字を超えてしまい、「なんだかとっつきにくいかなぁ」と思って短期連載という形を取らせていただきました。反応によっては今後の投稿の仕方も考えようと思います。

このあとがきを書いている時点でまだ一話が投稿されていないのですが、……まぁ、どうせ俺の作品なんて……という心境です。もし、「ここまで読んでやったぞ」という方が居たら、短くてもいいので、気軽に感想くれるとうれしいです。


この話はここで完結です、けれども、二人の物語は今後どうなるかわかりません。


最後に、本当にありがとうございます。

今後も頑張るので、もしよろしければ、よろしくお願いいたします。

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