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1 プロローグ



ーー息を呑む



それは、あまりにも異常で不気味な光景だった。

地面に叩きつけれるような雨の音。

光すらも染める闇のような色の夜。



そして佐野黄泉の心臓に突き刺る太刀。



ーーーそんなものより遥かに異常な出来事が、黄泉の目に前にあった。


血が体の中から這い上がってくるのを無視し、黄泉は目の前の人物を見つめる。


それは少女だった。


少女が雨に濡れながら片手で太刀を持ち黄泉を刺している。


「、、、貴方、は、、、、」


 心臓を刺された激痛を無理矢理無視し黄泉は目の前の少女に問いかける。



 いや正確には少女ではない、何故なら一般的な少女よりも身長が高く170cmもある。そして


 

 雨に濡れたのか腰にまでのびる綺麗な紫色の髪

 青と白の配色があるショート丈の服装でお腹が見えるデザイン

 黒色のショートパンツ

 太ももまである黒色のブーツ

 その上から暗い水色の上着を着ている。


 だが少女というにはその瞳があまりにも悲しそうで弱々しく幼かったからだ。


「名前、、、か」


 その声はどこか薄暗く悲しそうだ。


「貴方は覚えていないかもしれないが、私は昔ニヒルと呼ばれていた」

「ニ、、ヒ、、、ル?そ、、、れに、、、覚えてないってどう、、❔」



 だがその言葉が言い終わらないうちに、黄泉は地面に倒れた。

血が心臓部分から流れ出し雨に濡れた地面を赤色に汚していく。


ーーーああ、これ私の血か


 黄泉は目を開けようとするが雨が傷口に入る激痛で目を開けられない。


「佐野黄泉、なぜ鳥は空を飛ぶ❔」


 痛みを感じながら、答えようとする。


「私、、、には、、、分からない。だって私はまだ、、、空を飛んだこともないし、、、鳥になったこと、、、もない」


 黄泉は自分でもなぜ答えようとしたか分からない。そもそも佐野黄泉は人間であり、生まれてから一度も鳥になった記憶もない。


「そうか、すまなかった。」


 そう言ったニヒルは黒色の太刀を持ち、黄泉の心臓部分をさらに貫いた。


 黄泉は、あまりの痛さに叫び声を上げそうになる。だが口から叫びでたのは声ではなく血だ。人の体に必要不可欠な命の源である血がさらに地面に流れてゆく。










 しばらく時間が経った後そこには1人の女の子の体とこの世界に存在しないはずである   がいた。


 暗く月の光と雨の音だけが照らし響く中   は佐野黄泉の心臓に太刀をさらに刺し何かを流しこむ。それは、どこか不気味で悲しそうな色をしている。


「貴方は私を助けてくれた。貴方は忘れていたかもしれないが、あの時私にかけた言葉は、本当に救いになり今でも私の心に残っている。だが、貴方が死んでしまってはもともこもない。だから私の全てを貴方に捧げよう」



 ニヒルの体から正確に言えば、左目から紅い線が出ておりそれが刀に伝って黄泉の心臓に流し込まれていく。


「もう、そろそろ私も限界か」


 全てを注ぎ込んだのかニヒルは刀を黄泉の心臓部分から外し、


・・・その場で空を切った。


 



 すると空は雨が激しく降り注ぎ月が光を照らす夜から朝日が照らす空に変わった。





 そして、もうその場には佐野黄泉の仰向けだった体もニヒルという女がいた痕跡も全てなくなっていた。


 朝日が照らす中、人々は今歩いている場所がさっきまで雨に濡れていて血が広がったことに気づかない。



 













 なぜならこの世界にはもう佐野黄泉とニヒルのことを覚えている人は誰もいないからだ。



 こうして、佐野黄泉いや   の物語が始まった。 





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